前回から「アメリカの国立公園32選」のランキング1位の国立公園を紹介しています。
グランドキャニオン国立公園です。
グランドキャニオン国立公園は,大きくサウスリムとノースリムに分かれており,観光客の9割はサウスリムに訪れます。
前回は,そのサウスリムの詳細を紹介しました。
今回は,ノースリムを中心にお送りしたいと思います。
グランド・キャニオン国立公園:Grand Canyon National Park(アリゾナ州)
「グランド・キャニオン:Grand Canyon」は,アリゾナ州北部にある峡谷です。
コロラド高原が,長年のコロラド川による浸食作用で削り出された地形になります。
グランド・キャニオン国立公園は,1979年に世界遺産に登録されました。
グランド・キャニオンは,東西約450㎞もあるとても長い峡谷です。
それは東京から滋賀県の距離になります。
峡谷ですから,大きな長い谷です。
その谷にはコロラド川が流れています。
その谷やコロラド川を崖の上から見下ろすように,見学するポイントがあります。
大きく分けて,2つの見学ポイントがあります。
サウスリムとノースリムです。
地図の茶色いところが,峡谷になります。
サウスリムからノースリムに行くには,峡谷を車で通るわけにはいきませんから,ぐるっと回ることになります。
約3時間半かかります。
ノースリム
ノースリムは,グランドキャニオン国立公園のコロラド川を挟んで北側の渓谷の淵になります。
ノースリムの標高は2,438mを超えており,冬のあいだは雪のために閉鎖されます。
車での行き来が,12月1日から5月15日までできません。(2023年の場合)
ロッジの利用については,もっと短い期間になります。
しかし,サウスリムのように多くの観光客が来ないため,落ち着いた雰囲気です。
ノースリムの中心は,「ノースリム・ビジターセンター:North Rim Visitor Center」になります。
サウスリムには,複数の宿泊施設がありましたが,ノースリムには二つの宿泊施設しかありません。
グランドキャニオン・ロッジとノース・リム・キャンプ場です。
グランドキャニオン・ロッジは,ノースリム・ビジターセンターに隣接する宿泊施設で,ノースリムで唯一のロッジです。
建築家ギルバート・スタンリー・アンダーウッドが,当時の国立公園局長のスティーブン・マーサーの意向に従い,素朴なロッジを設計し,1928年にオープンしました。
オリジナルのロッジは1932年に全焼し,1937年に新しいロッジが建てられました。
渓谷の淵に並ぶベンチから,グランドキャニオンを眺めることができます。
ロッジの手前には,ノース・リム・キャンプ場があります。
ロッジは,2023年については7月23日から10月15日までしかオープンしていなく,それも予約はすぐにうまってしまうようです。
キャンプ場は,6月9日から10月15日までです。
ロッジの予約は13か月前から,キャンプ場の予約は6か月前から開始です。
もし,ロッジにもキャンプ場にも泊まれない場合は,一番近くの宿泊施設は以下の2つになります。
ノースリムから約29㎞離れた「Kaibab Lodge」・・・近くにキャンプ場もあり。
ノースリムから約72㎞離れた「Jacob Lake Inn」・・・近くにキャンプ場もあり。
この二つも無理な場合は,「カナブ:Kanab(128km車で約90分)」か「ページ:Page(197km車で140分)」の町で宿を見つけることになります。
もし,グランドキャニオン・ロッジに泊まれなくても,食事は絶対,ロッジで摂った方が良いです。
なぜかというと,ダイニングルームからの眺望がすばらしいからです。
夕食は要予約で,朝食はバイキングのようです。
ロッジのロビーからの眺めも最高です。
ちなみにラスベガスからの距離は,425㎞で車で4時間半かかります。
ラスベガスからグランドキャニオンを楽しみたい場合は,サウスリムに行く方が良いと思います。
理由は2つです。
日帰りならば,サウスリムの方が手ごろな時間と歩行距離の観光コースがあるからです。
道中にルート66の観光地「セリグマン:Seligman」などの町に立ち寄ることができるからです。
サウスリムとノースリムを行き来しているシャトルバスがあります。
期間中は,サウスリムからノースリム行きが朝とお昼の2便運航しています。
ノースリムからサウスリム行きも朝とお昼の2便運航しています。
さて,ノースリムとサウスリムの主な違いを紹介します。
ノースリムの方が,場所によって300~600m標高が高いことから,違いが出てきます。
サウスリムの植物が針葉樹ばかりなのに比べ,ノースリムはポプラの木を中心に広葉樹が混じっています。
夏には,いろいろな花も見られます。
しかし,秋になるととても涼しくなり,10月の道路の凍結も珍しくありません。
それでは,ノースリムのビューポイントを紹介します。
ノースリムのビューポイント紹介
グランドキャニオンロッジ:Grand Canyon Lodge
このロッジ自体が,素晴らしい景色を提供しており,日の出の時には美しい景色を楽しむことができます。
ブライトエンジェル・ポイント:Bright Angel Point
ノースリムのメイン・ビューポイントです。
ノースリム・ビジターセンターから徒歩約10分のところにあります。
サウスリムにあるビューポイントに比べ,300m高い位置にあり,広大なパノラマを楽しむことができます。
キャニオンの中にある巨大なアーチ「ロアーチボウ:Roaring Springs Canyon」があります。
日の入りよりも日の出の方が,光と影のコントラストが大きく,良い眺望だと言われています。
日の入りも日の出も,ロッジやキャンプの宿泊客でにぎわいます。
ケープ・ロイヤル:Cape Royal
ノースリムに来たら,絶対はずせないビューポイントです。
ビジターセンターから車で約50分かかります。
駐車場からは徒歩で約20分ほどです。
トイレがあります。
エンジェルズ・ウィンドウ:Angel’s Window
ケープ・ロイヤルのポイントに向かって歩いている途中に,二つのポイントがあります。
まず,一つは「エンジェルズ・ウィンドウ:Angel’s Window」です。
画像のアーチの上に人がいるのが分かると思います。
このアーチの上がビューポイントになっています。
そして,この画像をとったところが,ビューポイント・フォー・エンジェルズ・ウィンドウです。
アーチの窓の中には,コロラド川が流れています。
駐車場よりも前にあります。
ビューポイント・フォー・エンジェルズ・ウィンドウ→エンジェルズ・ウィンドウ→ケープ・ロイヤルの順になります。
エンジェルズ・ウィンドウとケープ・ロイヤルの間にも,非公式の柵のない崖があり,先端まで行くことができます。
これらのポイントを合わせて,「ノースリムに来たら絶対はずせないポイント」と言われています。
ポイント・インペリアル:Point Imperial
ノースリムで最も高い場所(2683m)にあります。
また,グランドキャニオンの最も北にある展望台です。
グランドキャニオン東部の壮大な展望が広がっています。
車で約20分かかります。
夕暮れの景色が素晴らしいです。
周辺では,野生動物をよく見かけるそうです。
トイレがあります。
ケープ・ファイナル:Cape Final
ノースリムの奥深くにある,静かで自然豊かなポイントです。
車で,約35分かかります。
キャニオンの中を流れるバーニング・スプリングス川を見下ろすことができます。
ルーズベルト・ポイント展望台:Roosevelt Point Overlook
車で約25分かかります。
サウスのイーストリム方面が対岸に見えます。
テディ・ルーズベルト大統領にちなんで,名前が付けられています。
ノースリムのハイキングコース紹介
ノースリムでは,それぞれのビューポイントで,けっこうな距離を歩く必要があるため,それ自体がトレッキングと言えます。
まずは,ビューポイントで紹介しているトレッキングルートを紹介します。
ケープ・ロイヤル・トレイル:Cape Royal Trail
まず,駐車場に就く手前で,ビューポイント・フォー・エンジェルズ・ウィンドウに寄って,エンジェルズ・ウィンドウを見ます。
駐車場に車を停めると,片道約750mの簡単なトレッキングの始点があります。
途中で,エンジェルズ・ウィンドウへの分かれ道がありますから,こちらも寄ります。
最後に,ケープ・ロイヤル・ポイントで景色を楽しみます。
さらに,もう一つの小トレイルを楽しみたい方は,駐車場から約500m戻ったところに「クリフ・スプリング・トレイル:Cliff Spring Trail」の始点があります。
クリフ・スプリング・トレイルは,片道約800m,標高差94mのトレイルです。
所用時間は1時間弱です。
崖のくぼみに泉がありますが,飲料には適していません。
過去にテディ・ルーズベルト大統領がここでキャンプをしたと言われています。
ケープ・ファイナル・トレイル:Cape Final Trail
ノースリムの一番奥に位置し,比較的穏やかなハイキングルートです。
片道約3.3kmの,高低差約116mの簡単なトレッキングです。
森林と峡谷の2つの景色を楽しむことができます。
グランド・キャニオンの場合,峡谷に下ることをしないと,トレッキングと言えないという方もいるかもしれません。
サウスリムの場合は,いくつかの峡谷に下りるコースがありましたが,ノースリムでは峡谷に下りるコースは一つしかありません。
次に,そのコースを紹介します。
ノースカイバブ・トレイル:North Kaibab Trail
ノースカイバブ・トレイルは,ブライト・エンジェル・トレイルやサウスカイバブ・トレイルとつながっていて,ノースリムからサウスリムに行くことが可能です。
しかし,トレッキングに慣れていなければ,日帰りで行くことは不可能で,峡谷の中で宿泊することになります。
宿泊には許可書が必要です。
峡谷の谷に下り,グランド・キャニオンの奥をトレッキングするには,このノースカイバブ・トレイルを使用します。
ノースカイバブ・トレイルの良いところは,途中で引き返すことで,自分のトレッキングの距離や時間に合わせることができる点です。
不都合な点は,ノースカイバブ・トレイルの始点は,ビジターセンターから約約4㎞離れたところにあり,近くに駐車場がありません。
そのために,早朝に2便,シャトルバスが無料で出ています。
ロッジで前日までに予約をしておきます。
スパイ・トンネル:Spy Tunnel
始点から片道3.2km,標高差440mの所にある岩のトンネルのところで,折り返すコースです。
往復で約3時間の半日コースのトレイルです。
飲料水とトイレがあります。
ローリング・スプリングス:Roaring Springs
始点から片道7.6km,標高差1070mの所にある休憩所で,折り返すコースです。
往復で約6時間の1日コースのトレイルです。
日帰りの場合は,ここで折り返すのが無難です。
飲料水とトイレがあります。
マンザニータ・レストエリア:Manzanita Rest Area
始点から片道8.7km,標高差1196mの所にある休憩所です。
片道で約2.5時間かかります。
コットンウッド・キャンプ場:Cottonwood Campground
始点から片道10.9km,標高差1361mの所にあるキャンプ場です。
片道で約4時間かかります。
キャンプの装備をしていて,予約をしていれば,宿泊できます。
宿泊所は,このコットンウッドキャンプ場かファントムランチのロッジ,キャンプ場になります。
予約が取れていなければ,ローリング・スプリングスで折り返します。
リボン・フォールズ:Ribbon Falls
始点から片道13.4km,標高差1484mの所にある憩いを提供している滝です。
片道で約4.5時間かかります。
ファントム・ランチ:Phantom Ranch
始点から片道22.8km,標高差1903mの所にあるロッジ及びキャンプ場です。
片道で約7時間かかります。
ここで,1日目の宿泊でもよいし,2日目の宿泊を考えてもよいと思います。
他のコースも紹介します。
ウィッドフォース・トレイルヘッド:Widforss Trail
ノースリムで人気のあるハイキングトレイルの一つです。
始点から「ウィッドフォース・ポイント:Widforss Point」まで,片道7.7km,標高差185mです。
往復で約5時間のちょっと長めの半日コースです。
このトレイルは「ウォールハラワー・カニオン:Widforss Canyon」を抜け,森林と峡谷の2つの景色を楽しむことができます。
以上で,ノースリムについての情報を終わります。
グランドキャニオン・ウエスト:Grand Canyon West(ワラパイ族居留地)
グランドキャニオンには,サウスとノースだけでなく,ウエストも存在します。
しかし,グランドキャニオン国立公園内ではありません。
ウエストは,ワラパイ族居留地にあります。
よって,高額な料金が発生します。
「入園料,ワラパイ・ランチ,イーグル・ポイント,グアノ・ポイントへのシャトルバス」のパックとそれらにスカイウォーク入場料と昼食が加わったパックがあります。
もちろん,スカイウォークが加わったパックの方が高いです。
100ドル弱が必要です。
しかし,利点があります。
ラスベガスに近いのです。
車で,ラスベガスからサウスリムまで4.5時間もかかりますが,ウエストまでだったら約2時間で到着します。
高額だけど,スカイウォークを経験してみたいという方もおられるでしょう。
グランドキャニオン・ウエストを紹介します。
ウエストのポイント紹介
グランドキャニオン・ウエストには2つのビューポイントがあります。
グアノ・ポイント:Guano Point
手すりなどが一切ないため,やろうと思えば,崖のぎりぎりまで立つことができます。
スカイウォークでは個人での撮影ができませんが,このポイントでは撮影ができます。
イーグル・ポイント:Eagle Point
ここから,スカイウォークを撮影することができます。
グランドキャニオン・スカイウォーク:Grand Canyon West Skywalk
個人の写真動画撮影がダメで,専門のカメラマンがスタンバイしており,写真を撮って,後で写真のデータを買うようになっています。
ビューポイントではないですが,ワラパイ・ランチも紹介します。
ワラパイ・ランチ:Hualapai Ranch
ワラパイ・ランチでは,アクティビティが体験できます。
西部開拓時代のセットができており,カウボーイの恰好をして写真を撮影したり,投げ縄,機械のロデオ体験ができたりします。
ジップライン体験もあるようです。
コロラド川での川下り体験もあります。
ヘリコプターで,上空からグランドキャニオンを眺めたり,峡谷の下に降りたりすることができます。
食事を美しい景色を見ながらとることができることも利点になります。
このようにグランドキャニオン・ウエストをまとめると,ウエスト全体で一つのテーマパークのようになっていると感じます。
テーマパークと考えれば,高額になるのも仕方がないなとも思えますし,日帰りで時間いっぱい楽しめるところなのだと感じます。
観光モデルコース紹介
まず,ラスベガスから短時間で日帰りでグランドキャニオンを楽しみたい場合は,普通はサウスリムへの日帰りツアーを申し込めばよいと思います。
しかし,帰りが夜遅くになり,夕方には戻って,夜のラスベガスを楽しみたいと考えるなら,ウエストへの日帰りもありだと思います。
レンタカーの場合でも,ウエストを一つのテーマパークと考えれば,丸1日かけて訪れてもよいのではないかと思います。
ノースリムの場合,ラスベガスからの日帰り観光は厳しいと考えます。
それならばサウスリムを選ぶべきです。
ノースリムは,時間的に余裕がある旅行に向いています。
現在,私が考えているノースリムの観光モデルを紹介します。
1日観光の場合
ノースリム・ビジター・センター
↓
ブライトエンジェル・ポイント
↓
ロッジにて昼食or軽食
↓
ケープロイヤルまで車で移動
↓
ビューポイント・エンジェルズ・ウインドウ
↓
エンジェルズ・ウインドウ
↓
非公式の柵のない崖
↓
ケープ・ロイヤル
↓
時間と相談で,もう一つポイントに行くか,観光を終えるか
2日観光の場合
1日目は1日観光と同じ
2日目
ノースカイバブ・トレイルのローリング・スプリングスで折り返すルートでトレッキング
ノースリムの場合,できれば,ロッジを予約したいと思っています。
予約できなければ,カナブにある宿泊施設に泊まり,ザ・ウェーブの抽選を受けながら,外れた場合にノースリムを訪れるのもありかなと思っています。
自分たちがグランドキャニオンを訪れるときは,ノースリムを先に訪れて,その後,違う国立公園などを観光した後に,サウスリムを訪れる計画を立てようと思っています。
前回と今回の2回に分けて紹介したグランドキャニオンですが,これで終わりです。
次回も,アメリカの国立公園32選!をお送りします。
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