「アメリカの国立公園32選」の第5弾です。
「グランドサークル:Grand Circle」エリアにある国立公園を紹介していますが,今回,メインに紹介する2つは国立公園ではありません。
「ナバホ・ネイション・パークス&レクリエーション:Navajo Nation Parks & Recreation」にある「アンテロープ・キャニオン:Antelope Canyon」と「モニュメント・バレー:Monument Valley」を紹介します。
アンテロープ・キャニオンのオリジナル・ランキングは,第9位,モニュメント・バレーのランキングは,第4位です。
また,周辺のネイティブ・アメリカン関係の観光地も紹介します。
そのうちの一つは,オリジナル・ランキングで21位にランキングしています。
さて,まずは,「ナバホ」について紹介します。
- ナバホ・ネイション(ナバホの国):Navajo Nation
- アンテロープ・キャニオン:Antelope Canyon(アリゾナ州,ナバホ・ネイション)
- モニュメント・バレー:Monument Valley(ユタ州・アリゾナ州,ナバホ・ネイション)
- キャニオン・デ・シェイ国定公園:Canyon de Chelly National Monument(ナバホ・ネイション,アリゾナ州)
- フォーコーナーズ・モニュメント:Four Corners Monument Navajo Tribal Park(ナバホ・ネイション,ユタ州,コロラド州,ニューメキシコ州,アリゾナ州)
- チャコ文化国立歴史公園:Chaco Culture National Historical Park(ニューメキシコ州)
- メサ・ヴェルデ国立公園:Mesa Verde National Park(コロラド州)
- タオス・プエブロ:Taos Pueblo(ニューメキシコ州)
ナバホ・ネイション(ナバホの国):Navajo Nation
ナバホとは,アメリカの南西部に先住するネイティブ・アメリカンの部族です。
ナバホ族は,アリゾナ州からニューメキシコ州にまたがる沙漠地帯に,「ナバホ・ネイション(ナバホの国):Navajo Nation」という自治区を持っています。
ネイティブ・アメリカンの部族が居住しているエリアを「保留地:Reservation」と言って,全米いたるところにあります。
ナバホ・ネイションは,アメリカ最大の保留地です。
連邦政府から自治を認められているからこそ「ナバホの国」と名乗っているのですが,選挙で選ばれた大統領も存在します。
自分たちの警察だけでなく,軍隊も組織しています。
ただ,自治警察官の数が足らず,治安の面では不安なところがあるそうです。
ナバホ族の人口は約100万人です。
ナバホ語もあり,ナバホ族のアイデンティーの面から,同世代でナバホ語を使用することもあるそうです。
ナバホ語は,太平洋戦争の時にアメリカ軍の暗号に使われたことは有名です。
ナバホ・ネイションは,独自の公園レクリエーション局を持っており,それが,「ナバホ・ネイション・パークス&レクリエーション:Navajo Nation Parks & Recreation」です。
ナバホ国にある景勝地,観光地は,このナバホ・ネイション・パークス&レクリエーションが管理しています。
HPに記載されている管理地は以下の5つです。
モニュメント・バレー:Monument Valley Navajo Tribal Park
レイク・パウエル:Lake Powell Navajo Tribal Park
↑この公園の敷地にアンテロープ・キャニオンがあります。
ツェイ・ディネ・ヘリテージ・エリア:Tséyi’ Diné Heritage Area
フォーコーナーズ・モニュメント:Four Corners Monument Navajo Tribal Park
リトル・コロラド・リバー・ゴージ:Little Colorado River Gorge
他に「キャニオン・デ・シェイ国定公園:Canyon de Chelly」のツアーオペレーターの紹介もしています。
キャニオン・デ・シェイ国定公園は,ナバホ族の居留地にありながら,アメリカの国定公園になっている珍しいエリアです。
グランド・サークルやその周辺には,ナバホ・ネイション・パークス&レクリエーションをはじめとしたネイティブ・アメリカンに関連のあるの観光地がたくさんあります。
今回は,ランキング4位と9位のアンテロープ・キャニオンとモニュメント・バレーを紹介することが目的ですが,ネイティブ・アメリカンに関連のある主な観光地も紹介します。
まずは,アンテロープ・キャニオンとモニュメント・バレーを紹介します。
アンテロープ・キャニオン:Antelope Canyon(アリゾナ州,ナバホ・ネイション)
まずは,この画像を見て,あれっと思われた方はいないでしょうか。
このサイトのヘッダー(どのページも同じように一番上にあるメニューのところ)に,使用している画像です。
それだけ,アメリカを代表する光景と言ってもよいかもしれません。
アンテロープ・キャニオンは,通り道の幅がとても狭い渓谷です。
水や風によって浸食された砂岩が,トンネルのような地形を作り出しています。
このような渓谷を「スロット・キャニオン:Slot Canyon」と言います。
スロット・キャニオンの代表的なところが,アンテロープ・キャニオンです。
ナバホ・ネイション・パークス&レクリエーションの公式HPには,「アッパー・アンテロープ・キャニオン:Upper Antelope Canyon」と「ロウアー・アンテロープ・キャニオン:Lower Antelope Canyon」が紹介されています。
他には,「キャニオン・エックス:Canyon X」というところもあります。
それぞれの特徴を紹介します。
アッパー・アンテロープ・キャニオン:Upper Antelope Canyon
・道幅が広く,平坦な道が続くコースです。
・キャニオン内は,けっこう明るいです。
・「ザ・ビーム」と呼ばれる光の筋が有名です。(4月〜9月の日中11時〜13時の間にしか見られません)
ロウアー・アンテロープ・キャニオン:Lower Antelope Canyon
・入り口の急な下り坂を降り,狭い通路を進んで行くコースです。
・入口と出口が別です。
・薄暗い場所が多いです。
・ユニークな形の岩が多いです。
・出口からは,地上からキャニオンの裂け目が見下ろすように見え,自分が通ってきた通路を確認できます。
アンテロープ・キャニオン・エックス:Antelope Canyon X
・人が少なく,写真撮影に時間をかけられます。
・通路が比較的広いです。
・アッパーやロウワーよりも,写真映えするポイントが少ないです。
・入り口までは,ハイキングをするような感じで歩きます。
・「X」の名がついたのは,入り口近くにある見上げると「X」に見えるポイントからです。
アンテロープ・キャニオンは,入場料とツアー代の料金,そして,ガイドさんへのチップが必要です。
ガイドなしでの見学はできません。
入場料は,アッパーとロウワーで兼ねることができます。
2つ観光予定の場合は,入場料のレシートを保管しておきます。
特にハイシーズンの夏は,ツアーにはあらかじめ予約をしておいた方が良さそうです。
予約無しでも大丈夫なのですが,約1時間待つことになります。
アッパーには,所要時間が眺めでじっくり時間をかけて撮影ができるフォトグラファーツアーがあります。
もちろん,ツアー料金は高くなります。
最後に,旅行者にとって大切なことを言わないといけません。
アンテロープ・キャニオンは,写真撮影は可能なのですが,動画撮影は禁止されています。
アッパーやキャニオンXでは,許可される場合もあるようなのですが,基本的に動画撮影はできないと思っていた方がよいです。
ゴープロや三脚の携帯も禁止されています。
ツアーの出発場所は,パウエル博物館近辺にあります。
そこから,ツアー会社の車に乗って,入り口付近まで行きます。
モニュメント・バレー:Monument Valley(ユタ州・アリゾナ州,ナバホ・ネイション)
過去のページに,モニュメントバレーについての記事を書いたことがあります。
まずは,それを紹介します。
アラバマ州のニックネームと映画「フォレスト・ガンプ」の話 mohamoha27
モニュメントバレーに続く一本道は,この映画により,有名な撮影ポイントになりました。
そこは「フォレスト・ガンプ・ポイント:Forrest Gump point」と呼ばれています。
163号線にあるのですが,このポイントはユタ州になります。
この道路は,「163 Scenic」と呼ばれています。
163号線を園内に入ると,ビジターセンターがあります。
バレー内には,約27㎞の未舗装の道路が通っていて,「バレードライブ」が楽しめます。
ただ,未舗装のため,車高が高い車や四駆以外の車は,避けた方が良さそうです。
ビジターセンターでは,ツアーの申し込みができます。
1.5時間,2.5時間,半日,1日の中から選べます。
1日コースでは,一般車が行けない「ミステリーバレー:Mystery Vallry」にも行ってくれるそうです。
モニュメントバレーに来たならば,誰もが泊まりたいホテルがあります。
「ザ・ビューホテル:The View Hotel」です。
ビジターセンターに隣接し,絶景がいつでも広がっている素晴らしいホテルです。
凄い値段だと思われますが,そんなに驚くほど高くなく,ためらわずに予約できます。
ただ,予約が取れるかどうかは,混雑次第です。
予約は,ナバホ・ネイション・パークス&レクリエーション公式HPの専用サイトのみ受け付けています。
さて,今回,紹介予定のアンテロープ・キャニオンとモニュメントバレーを終えたのですが,ここからは,ナバホ・ネイションを中心に,その周辺にあるネイティブ・アメリカンの観光地を紹介したいと思います。
まずは,ナバホ・ネイション内にある2つを紹介します。
キャニオン・デ・シェイ国定公園:Canyon de Chelly National Monument(ナバホ・ネイション,アリゾナ州)
冒頭にも書きましたが,キャニオン・デ・シェイ国定公園は,ナバホ族の居留地にありながら,アメリカの国定公園になっている珍しいエリアです。
国定公園に指定されてからも,ナバホ族が土地を手放さなかったことに起因しています。
なぜ,手放さなかったのかというと,この地は,部族にとって聖地だったからです。
高さ約300mの絶壁が約42㎞にもわたって続いています。
その絶壁に,紀元前の古代プエブロ族の住居遺跡が見られます。
国定公園であるにもかかわらず,入園料はなく,ゲートもありません。
しかし,ナバホ族の生活とプライバシーを保護するため,谷底に行くには許可が必要です。
自由に観光ができるのは,「サウスリム:South Rim」と「ノースリム:North Rim」に点在する展望台です。
それと,「ホワイトハウス遺跡:White House Ruin」については,許可無しで峡谷に下りることができます。
片道約2km,往復で約2時間のトレイルです。
キャニオン・デ・シェイ国定公園の見どころは,何と言っても「スパイダーロック:Spider Rock」でしょう。
高さ約240mの2つの尖塔は,頂上に創造主スパイダーウーマンが住むというナバホ族の聖地です。
峡谷に下りるいろいろなツアーがあります。
申し込んで,先住民遺跡巡りをするのも良いと思います。
フォーコーナーズ・モニュメント:Four Corners Monument Navajo Tribal Park(ナバホ・ネイション,ユタ州,コロラド州,ニューメキシコ州,アリゾナ州)
フォー・コーナーズとは,ユタ州,コロラド州,ニューメキシコ州,アリゾナ州の4つの州の州境界線が1点で交わる場所のことです。
アメリカ国内では,4つの州が交わっている唯一の場所です。
フォー・コーナーズは,インディアン居留地に属しています。
コロラド州は山岳ユト居留地,その他の3州はナバホ居留地です。
この公園自体は,ナバホ族が管理していて,有料です。
周辺には,大きな街や観光地がなく,しいて言えば,モニュメントバレーが近くになりますが,それでも約170km離れています。
ナバホ・ネイション・パークス&レクリエーション公式HP内フォー・コーナーズサイト
次は,世界遺産を2つ紹介します。
一つは,私のオリジナル・ランキング32に,ランキングされている国立公園です。
チャコ文化国立歴史公園:Chaco Culture National Historical Park(ニューメキシコ州)
1987年に登録された世界遺産です。
世界遺産への登録名は,公園ではなく「チャコ文化:Chaco Culture」です。
ここは,10世紀から12世紀中頃まで,プエブロ族の文化の中心地でした。
プエブロ族なのに,なぜ,「チャコ」と呼ぶのかというと,この辺りの地域がチャコ・キャニオンだからです。
プエブロ文化の遺跡が集まっているところが「チャコ文化国立歴史公園」です。
大きなな集落は15ヶ所ですが,公園内にある遺跡の数は2400ヶ所あります。
発掘が行われているのはほんの一部です。
最大の集落跡は,プエブロ・ボニートと呼ばれています。
プエブロとなっていますが,ポピ族の集落です。
繁栄していた頃は,プエブロ・ボニートのような大きな集落が150もあったそうです。
面白いYoutubeを見つけました。
おそらく,テレビ番組「世界ふしぎ発見」だと思いますが,ポピ族とプエブロ・ボニートを紹介しています。
近くにはキャンプ場がたくさんあり,周囲に町らしい町がないため,夜には満天の星空を拝めるそうです。
メサ・ヴェルデ国立公園:Mesa Verde National Park(コロラド州)
チャコ文化よりも早い1978年に世界遺産に登録されたのが,「メサ・ヴェルデ国立公園:Mesa Verde National Park」です。
なんと,アメリカで最初に世界遺産に登録されました。
イエローストーン国立公園も一緒に登録されました。
私のオリジナル・ランキングでは,21位にランキングしました。
メサベルデの歴史は550年頃から始まります。
アメリカ先住民の一部がこの地に来て,定住しました。
「メサ」とは台地のことです。
彼らの住居は,崖のくぼみや台地の上に建てられました。
造り方は,地面を四角く掘り,柱を立てて,天井を機や漆喰で覆うというものでした。
それが,泥や石を使うようになり,二階建て,三階建てが造られるようになります。
1100年頃には,数千人の村になっていたそうです。
1200年頃に,台地の上から断崖の洞窟に移ります。
画像は,断崖に見られる住居です。
砂岩のブロックを積み上げ,漆喰で固めた建物です。
内壁には,絵が描かれていました。
しかし,1300年頃にこの地を捨て,どこかに移住してしまいます。
その後,メサ・ヴェルデは誰にも見つけられずに存在することになります。
そして,1888年に発見され,1906年に国立公園に指定されます。
遺跡によって,自分たちだけで行けるところとレンジャーツアーでしか行けないところがあります。
レンジャーツアーは,有料で2日前から申し込めますが,直接ビジターセンターでしか申し込めません。
画像の遺跡は,「クリフ・パレス」というところで,メサ・ヴェルデと言えば,ここの写真がよく使われます。
ここはレンジャーツアーでしか行けないところです。
レンジャーツアーに参加したい場合,メサ・ヴェルデに来たら,まず一番最初に「メサベルデ・ビジター・アンド・リサーチセンター:Mesa Verde Visitor and Research Center」に行かなければなりません。
ビジターセンターの開店時間は時期によって異なります。
できるだけ早く,参加したいツアーに申し込みます。
人気のツアーは,「クリフパレス・ツアー」と「バルコニーハウス・ツアー」です。
朝早くであれば,この2つのツアーには参加可能です。
所要時間は,どのツアーも約1時間です。
朝,申込み,9時からと11時からのツアーにすると良いと思います。
メサ・ヴェルデ国立公園は,年中オープンしていますが,10月下旬から4月上旬の冬期は,レンジャーツアーは行われないので注意してください。
タオス・プエブロ:Taos Pueblo(ニューメキシコ州)
このページで,3つ目のアメリカの世界遺産を紹介します。
ニューメキシコ州の「タオス・プエブロ:Taos Pueblo」です。
アメリカには,ネイティブ・アメリカンの文化遺産が3つ,世界遺産に登録されています。
一つ目が,1978年に登録された「メサ・ヴェルデ国立公園:Mesa Verde National Park」です。
二つ目が,1987年に登録された「チャコ文化国立歴史公園:Chaco Culture National Historical Park」です。
三つ目が,今回の「タオス・プエブロ:Taos Pueblo」です。
1992年に登録されました。
「タオス・プエブロ」の「プエブロ」は,プエブロ族を指していますが,「タオス」は,地名を表しているそうです。
この辺りはニューメキシコ州で,ナバホ・ネイションからはかなり離れていますが,プエブロ族の集落が8つほどあり,その一つがタオス・プエブロです。
タオス・プエブロの集落は,西暦1000年から1450年の間にできたと推測され,1000年以上の間,約2000人の人々が生活していたそうです。
現在は150人程に減りましたが,今でも伝統的な生活を続ける人々が暮らしています。
タオス・プエブロの人々は,昔からの生活様式を維持し続け,今でも電気や水道施設のない住居で暮らしています。
携帯やインターネットもないそうです。
タオス・プエブロの見どころは,赤茶色の壁に囲まれた住居です。
土に水とわらを混ぜたものを日干しにしてレンガを造り,それを積み重ねていくという方法です。
古代からその建築方法は変わりません。
建物の出入り口には,梯子がかけられています。
これは,内部に2 階に上がる階段がないからです。
もともとは身を守るため,玄関も作らず,梯子を上って中に入っていました。
今ある青色のドアは,近代になってから付けられたものです。
一際目を引くのは,サンジェロニモ教会です。
周囲の赤褐色の住居と違い,この教会には外壁と屋根の装飾の一部に白が使われています。
元の教会は,1847年にメキシコとの戦争で破壊され,1850年に再建されました。
タオス・プエブロでは人の撮影は禁止されています。
教会の内部の撮影も禁止です。
今回はここまでです。
次回も「アメリカの国立公園32選!」をお送りします。
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