アメリカにある博物館を32に絞って紹介している「アメリカの博物館32選!」の第18弾です。
この「アメリカの博物館32選!」も残すところ,今回を入れてあと2回になりました。
今回は,ペンシルベニア州にある博物館とメリーランド州にある博物館を一つずつ紹介します。
一つ目はペンシルベニア州フィラデルフィアにある「独立記念館」,2つ目はメリーランド州ボルチモアにある「ヒストリック・シップス・イン・ボルチモア」です。
独自ランキングでは2つの博物館は以下のようなランキングになっています。
第14位【独立記念館】
第27位【ヒストリック・シップス・イン・ボルチモア】
それでは,独立記念館から紹介します。
独立記念館:Independence Hall(ペンシルベニア州フィラデルフィア)
ご存じの方が多いと思いますが,アメリカ独立宣言が行われた建物です。
アメリカ合衆国建国期に重要な役割を果たし,ユネスコ世界遺産にも登録されています。

これまでの記事の中で,下のページでペンシルベニア州についての独立記念に関することが書かれています。
植民地時代,独立戦争に関係する州ニックネームの話 mohamoha26
mohamoha20~27までのアメリカ風景画像紹介 mohamoha29
「キーストーン・ステイト」と呼ばれているペンシルベニア州は,アメリカの独立記念に関しての一番主要となった州と言ってよいと思います。
独立記念館は「独立国立歴史公園:Independence National Historical Park」内にあります。
独立記念館についての,これまでの歴史を箇条書きで書いていきます。
・1732年に着工し,1752年に竣工した建物です。
・1799年にランカスターの庁舎に移転するまで,ペンシルベニア州議会の議事堂として使用されました。
・1775年~1783年に,大陸会議の議事堂として使用されました。
・1776年7月4日(アメリカ独立記念日),13州の代表者がこの建物に集まり,アメリカ独立宣言に署名しました。
・この時以来,「独立記念館:インデペンデンス・ホール」と呼ばれるようになりました。
・1787年,独立記念館にてアメリカ合衆国憲法が制定されました。
・1790年~1800年,アメリカの恒久的首都としてワシントンDCが選ばれ,その建設中はフィラデルフィアが首都となりました。
・1966年,アメリカ独立国立歴史公園としてアメリカ合衆国国立公園局管理下の観光地となります。
・1979年,ユネスコの世界遺産として登録されました。
見どころ
独立記念館は,2階建てのレンガ造りの建物です。
観光名所として一般に公開されており,多くの観光客が訪れます。
建物内部では,当時の歴史的な部屋を見学することができ,アメリカの独立に関する展示も行われています。


内部を見学すると,独立時の雰囲気が味わえます。
独立記念館を訪れる場合は,周辺の「独立国立歴史公園:Independence National Historical Park」も観光するべきです。
かつては,独立記念館には鐘楼があったのですが,独立記念館は,「独立の鐘」として知られる自由の鐘を収めるために設計された建物でもあります。
その自由の鐘は,今は記念館の近くの「リバティーベル・センター:the Liberty Bell Center」にあります。
アメリカ独立の象徴として広く認識されています。

「自由の鐘」は1751年に,ペンシルベニア州議会によりロンドンにある鐘メーカーのホワイトチャペル社に鋳造を委託されました。
そして,1752年にフィラデルフィアまで鐘が届けられました。
そして,最初に鳴らされたときにひび割れたことで知られています。
このひび割れは,特徴的な音の響きになり,アメリカ独立のシンボルとなりました。
しかし,「自由の鐘」はその後,2回造り変えています。
現在のひびはいつできたかわかっていません。
そして,そのひびの修理が1846年にされています。
しかし,1846年に数時間に渡って鳴らされたときに,修復された割れ目部分の上部から亀裂が広がってしまい、使用不能になってしまいました。
現在もその表面にその亀裂が残っています。

フィラデルフィアがアメリカの首都となっていた時期は,独立記念館に隣接する「フィラデルフィア旧市庁舎」がアメリカ合衆国最高裁判所でした。
また,「コングレス・ホール」がアメリカ合衆国議会議事堂として使用されていました。
二院制だった国会では,「元老院」がコングレス・ホールの二階を使用し,「代議院」が一階を使用していたことから今の「上院」と「下院」という語の語源となったそうです。
コングレス・ホールは,独立記念館に向かって左の建物です。
National Historical Park Pennsylvania(リバティベル・センター,独立記念館)公式HP
ヒストリック・シップス・イン・ボルチモア:Historic Ships in Baltimore(メリーランド州ボルチモア)
「ヒストリック・シップス・イン・ボルチモア:Historic Ships in Baltimore」は,メリーランド州のボルチモアの港にある4つの艦船と一つの灯台が見学できるところです。

メリーランド州のボルチモアは港町として繁栄してきました。
とても美しい港町で,アメリカ合衆国の歴史があふれている街でもあります。
また,アメリカ合衆国の国歌が誕生した地としても知られています。
港の美しい景観地区を「インナー・ハーバー:inner Harbor」と呼び,その区域の中に「ヒストリック・シップス・イン・ボルチモア」があります。
インナーハーバーのエリア全体を「ボルチモア・ナショナル・ヒストリック・シーポート:Baltimore National Historic Seaport」と呼ぶときもあります。
「ヒストリック・シップス・イン・ボルチモア」のランキング・ポイントは,このインナー・ハーバー全体を含めての評価だとも考えられます。
インナー・ハーバーは広い区域で,歴史的な海事関連の施設や博物館,ビジターセンター,国立水族館,レストラン,ショッピングエリアなどがあります。
見どころ
見どころと言うよりも,ヒストリック・シップス・イン・ボルチモアは,4つの艦船と一つの灯台で成り立っている博物館なので,それぞれを紹介したいと思います。

「USSコンスティチューション:USS Constitution」
この船は,米国海軍の歴史的な戦闘艦で,愛称「古鉄板:Old Ironsides」で知られています。
米英戦争時に活躍し,米国の海軍力を象徴する船として重要です。
訪問者は船内を探索し、その歴史に触れることができます。
1853年から1855年に建造され,1861年まで地中海戦隊に使用された後,1865年にアフリカ戦隊の旗艦として割り当てられ,アフリカ奴隷貿易パトロールに使用されました。

「USCGCタネイラ:USCGC Taney」
アメリカ沿岸警備隊のカッター船で,第二次世界大戦時の歴史的な出来事に多く関連しています。
船内では,沿岸警備隊の活動や歴史について学ぶことができます。

「トルスク:USS Torsk」
Torskは,第二次世界大戦時の潜水艦で,冷戦時代にも使用されました。
訪問者は潜水艦内部を見学し,潜水艦員の生活や任務について知ることができます。
トルスクは,1986年に国定歴史建造物に指定されています。

「チェサピーク:Lightship Chesapeake(LV-116)」
沿岸警備隊の灯台船で,航海安全のために沿岸の危険な場所に配置された船です。
船内で灯台船の歴史を学び,船の展示物を鑑賞できます。
40年間使用されましたが,そのほとんどをチェサピーク湾の入り口に駐屯していました。

「セブンフィートノールライト:The Seven Foot Knoll Light」
セブンフィートノールライトは,1855年に建てられ,メリーランド州で最も古いスクリューパイルの灯台です。
チェサピーク湾のセブンフットノールの頂上にありましたが,近代的な航行援助施設に置き換えられ,ボルチモアのインナーハーバーに移されました。
Historic Ships in Baltimoreを訪れると,これらの歴史的な船舶に乗り込んで船内を見学し,当時の状況を想像することができます。
ボルチモアと言えば「星条旗」
ボルチモアは,とても美しい港町で,アメリカ合衆国の歴史があふれている街でもあります。
アメリカ合衆国の国歌が誕生した地としても知られています。
国の史跡である「マクヘンリー砦:Fort McHenry」は,アメリカ国歌の歌詞が生まれた場所です。
マクヘンリー砦は,インナー・ハーバーから南へ車で約5分のボルチモア港入口の半島に位置する星型の砦です。
1776年にイギリスからの独立宣言をしたアメリカですが,その後もイギリスとの戦いは絶えず,1814年にボルチモアで激しく戦います。
ワシントンDCの弁護士フランシス・スコット・キーは,捕虜にされたアメリカ兵の解放を求め,マクヘンリー砦の沖に停泊するイギリスの船に乗り込みました。
そこから見た無傷で翻るアメリカ国旗を見て感動して,わずか数分で詩を書きあげます。
その詩が,現在のアメリカ国歌の歌詞です。
正式な題名は「The Star-Spangled Banner」と言って,日本語に訳すと「星条旗」になります。
Oh say can you see, by the dawn’s early light, : おお、君は見えるだろうか。 夜明けの薄明りの中
What so proudly we hailed at the twilight’s last gleaming, : 黄昏の僅かな光の下に掲げられた我々の歓喜を浴びる誇り高きものが
Whose broad stripes and bright stars through the perilous fight, : その太い縞模様と輝く星々は危険に満ちた戦いを潜りぬけ
O’er the ramparts we watched, were so gallantly streaming. : 城壁の上で勇ましく翻っているあの旗を
And the rocket’s red glare, the bombs bursting in air, : ロケットの赤い光が、空中で破裂する爆弾が
Gave proof through the night that our flag was still there; : 我々の旗がまだそこに在るのを夜を徹して証明していた
Oh (O)say does that star-spangled banner yet wave : おお、あの星条旗はまだたなびいているだろうか
O’er the land of the free and the home of the brave? : 自由の大地であり、勇者の故郷でもある場所で
ウィキペディアを参考にしていますが,非公式の訳なのだそうです。
その点はご了承ください。
ボルチモアは,他にも,スポーツや芸術,文化の中心地でもあります。
作家エドガー・アラン・ポー,野球のベーブ・ルース,公民権運動の父フレデリック・ダグラスなどアメリカの歴史に名を残す著名人ゆかりの地であります。
さて,自分たちのアメリカ旅行では,ボルチモアには2回目のツアーで訪れる予定です。

2回目のアメリカ旅行は,ニューヨークを始まりとして,フィラデルフィア,ボルチモア,ワシントンD.C.という順で訪れる予定です。
この4つの都市だけでひと月以上は要するのではないかと推測します。
今回はこの辺で。
コメント