「ハートランド」,「ミシシッピ・リバー・カントリー」
アメリカには,他にも地域の呼び名があるんじゃないか…そう考えた私は,いろいろと探します。
ことわっておきたいのは,私の言う「呼び名」は中西部とか西海岸などの行政的に州を分けたものではなくて,そう呼ばれる「文化的な風土や歴史的な背景がある」やつ。
数は少ないけれども,見つけました。
それと,その土地的特徴を表した名前もあります。
前回の調査で見つけた「プレーリー」や「ブルーグラス」などが「土地的特徴」に入るのかなと思います。
「ミシシッピ・リバー・カントリー」もミシシッピ川の通る州ということで,「土地的特徴」になると思います。
他にも「○○ベルト」と呼ばれる地域がいっぱいありました。
州にもいろいろな愛称ともいうべきニックネームがありました。
ということで,アメリカの「地域の呼び名の話」始めます。
「ディキシーランド」
「ディキシーランド」=「南部」の呼び名です。
アメリカでは,ランドをぬいて単に「ディキシー」と呼んでいるようです。
この名前を見つけたとき,私はピンときました。
「ディキシーランド・ジャズ」
確かにニューオリンズの方のジャズをこう呼んでいた。
私の新婚旅行(オーランド)では,ダウンタウンのライブハウスにて「ディキシーランド・ジャズ」を聞いて過ごしました。
ディキシーランド・ジャズをYouTubeで聴いて雰囲気を感じてみてください。
もう一つ,女性のブルーズシンガーになりますが,この曲は自分にとってはディキシーを感じさせるので,紹介します。
「ディキシーランド」は南部と言いましたが,州で言うと,若干,曖昧です。
ルイジアナ州,ミシシッピ州,アラバマ州,ジョージア州,サウスカロライナ州,ノースカロライナ州,アーカンソー州,テネシー州は間違いなく,ディキシーです。
場合によっては,テキサス州,オクラホマ州,ミズーリ州,ケンタッキー州,ウェストバージニア州,バージニア州,フロリダ州のことを指すときもあるようです。
地図で言うと,この黒枠のところです。
早く,一つ一つの町を調査したい気持ちですが,それは先に取っておきます。
まだ旅行に行くのは約10年も後のことですから。
いちおう,なぜ「ディキシー」と呼ばれるようになったかと言いますと,諸説あるようです。
ディキシーという人の名前からという説とルイジアナ市民銀行が発行していた紙幣からという説…。
間違いがない事実は,ダニエル・エメットという作曲家が作った「ディキシー」という曲が,南北戦争の時に南部の軍歌として歌われていたということ。
実際に,youtubeで聴いてみたのですが,紹介するにはちょっと…というものでした。
「フロンティア・ストリップ」
「フロンティア・ストリップ」=西部開拓時代に西部の起点とされていたところ
まずは,地図を見てください。黒枠の6州が「フロンティア・ストリップ」と呼ばれている6州です。
6州とは,上からノースダコタ州,サウスダコタ州,ネブラスカ州,カンザス州,オクラホマ州,テキサス州です。
ん,アメリカの西と言えば,カリフォルニア州だぞ???
西部開拓ってカリフォルニアの話じゃないのか?っていうところから,いろいろ調べて理解しました。
まず,「西部開拓時代」と呼んでいる時代の「西部」の概念です。
この頃の「西部」は,白人がアメリカに移住して定着していた地域があって,その地域から西全部が未開拓地だったので,その未開拓地全域のことを「西部」と呼んでいたわけです。
だから,この頃の「西部」はある特定の地域を表す概念ではなく「未開拓地」という概念だったということになります。
「frontier」=「辺境,未開拓の境界,最前線」「strip」=「細長い土地」
という意味から「未開拓の境界である細長い土地」あるいはもっと簡単に「未開拓の最前線地」という感じになると思います。
当時の政府は,西経100度線(ちょうどフロンティア・ストリップの真ん中を通る)で東部と西部に分けていたそうです。
実際の西部開拓は,最初にカリフォルニアでゴールドラッシュが起こり,そこに人が群がったことで,フロンティアストリップからの開拓と西海岸のカリフォルニアからの開拓の両方があったそうです。
次のページで書く予定ですが,地形的にはこの西経100度線から乾燥した地域になるので,灌漑がなかった頃はかなり住みにくいところだったと推測します。
しかし,現在では,国立公園が目白押しのところで,ミシシッピにこだわらなければ,ゆっくり旅してみたいところであります。
この辺りを調べることにワクワクしているのですが,まだ先になりそうです。
開拓時代の話で言えば,私のイメージは2つあります。
一つは,前回でも少し紹介したローラ・インガルス・ワイルダーの「大草原の小さな家」
もう一つは,ケビン・コスナーの「ダンスウィズウルブズ」
この2つについては,また別のページで詳しく書こうと思っています。
本で紹介しようと思ったのですが,映画やテレビ番組の紹介の方がピンとくる方が多いと思いまして。
この2つの物語が描かれた年代を調べると,ちょうど,西部開拓時代に当たります。
西部開拓時代は,主に1860年~1890年だそうです。
西部開拓時代を英語では「Old West」とか「Wild West」と言うそうです。
アメリカにおける西部開拓はもっと前から行われていましたが,南北戦争の時にリンカーンが出した「お金持ちでなくても公有地の払い下げを受けられる」法律によって盛り上がりを見せます。
そして,大陸横断鉄道が開通したのが1869年。
鉄道が開通して環境が整い,開拓は一気に進み,やがて終わりを迎えます。
ちょうど盛り上がりを見せた頃から開拓の終わりまでを「西部開拓時代」としているのだと思います。
南北戦争の期間も言いますと,1861年~1865年です。
ちょうど「西部開拓時代」と呼んでいる初めの4年間ということになります。
「大草原の小さな家」のちょっとした話
「大草原の小さな家」は,「インガルス一家の物語」シリーズの一つで,作者はローラ・エリザベス・インガルス・ワイルダー。
子どものころの体験やお父さんから聞いた話を基にして書かれた,子どものための小説です。
1932年に出版されると,当時の大人たちの記憶と思い出を映し出しているようだと称賛されます。
作者の子どもの頃の物語であれば,作者の生まれた年からおよその年代が推測されます。
ローラ・インガルス・ワイルダーの生まれた年は,1867年です。
ということは,1870年代の話ということになります。
南北戦争が終わって数年経ってからの,西部開拓時代のど真ん中になりますね。
「ダンス・ウィズ・ウルブズ」のちょっとした話
続いて,「ダンスウィズウルブス」の年代の話になりますが,原作はマイケル・ブレイクという方だそうです。
物語は,1863年の南北戦争の激戦地であるテネシー州から始まります。
その後,サウスダコタ州に舞台を移して,ネイティブアメリカンのスー族との心の交流が始まるのですが,物語の最後まで北の軍隊が登場するので,大まかに言って,1863年~65年の物語だと言えます。
西部開拓時代の初めということになります。
西部開拓の盛り上がりを見せる西部開拓時代の初めの頃の様子が「ダンスウィズウルブズ」で描かれていて,その後の西部開拓時代の終わりまでは,「インガルス一家の物語」シリーズで描かれているということです。
両方とも「ちょっとした話」としたのは,後々,それぞれで一つのページを書こうと思っているからです。
「セントルイス」西部への玄関口のちょっとした話
西部開拓の話には,絶対欠かせない町があります。
ミズーリ州の「セントルイス」です。
西部開拓の記念モニュメントである巨大な「ゲートウェイアーチ」があるからです。
ミズーリ川がミシシッピ川に合流する地点で,西部開拓時代には「西部への玄関口:Gateway to the West」として賑わっていたそうです。
セントルイスの近くの「インディペンデンス」という町には,開拓時代に幌馬車が通った「メイン街道」や「オレゴン街道」「カリフォルニア街道」など多くの街道の起点があります。
ジェファーソン・ナショナル・エクスパンション・メモリアル(公園)にある巨大アーチの地下には「西部開拓博物館」があり,アーチの足のところが入り口になっているそうです。
なぜ,公園に第3代アメリカ大統領トーマス・ジェファーソンの名前がついているのかというと,ジェファーソンがルイジアナ州をフランスのナポレオンから買ったことで,西部開拓が始まったためだということらしいです。
はい,ここの見出しも「ちょっとした」をつけたわけは,もっと調べて紹介するページを予定しているからです。
終わりになりますが,「ハートランド」「ディキシーランド」「フロンティア・ストリップ」と呼ばれる地域の文化的歴史的背景を調べるだけでも,アメリカがだんだん近くの存在になってくるから不思議なものです。
次のページは,冒頭にちょっと書いた,土地的特徴を表した名称で呼ばれる地域や「○○ベルト」と呼ばれる地域,州の愛称などを紹介したいと思います。
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