「コヨーテ州」「アリゲーター州」「競走馬の本場」:動物由来の州ニックネームの話② mohamoha17

州のニックネーム

前回に引き続き,動物由来の州ニックネームを紹介します。

当然,大方はその州に生息する動物にちなんだニックネームなのですが,中には,その州にとって嫌なイメージを揶揄されたニックネームもあるようです。

コヨーテ州は,どこの州?

coyote: by mana5280 @mana5280 unsplash

サウスダコタ州
コヨーテ・ステート:The Coyote State
コヨーテ州

サウスダコタ州はコヨーテを1949年に公式に州の動物に指定しました。
コヨーテはアメリカのほとんど全域に生息しているようです。
近縁種のオオカミと外見はよく似ていますが,体格がオオカミよりも小柄で黄色がかった体色をしています。
オオカミはもっと寒冷な地域にも生息していて,コヨーテは比較的温暖な地域しか生息しないそうです。
吠え方に特徴があり,1匹が遠吠えをするとそれに続き他の個体が順番に遠吠えをするそうで,それが数分間続き,コーラスをしているようなんだそうです。
その遠吠えを昔の人は「歌声」と感じ,「歌う犬」の意味の「コヨーテ」と名付けたそうです。
全米に広く生息しているため,特にサウスダコタ州の特色といったわけではありません。
以前は「コヨーテ州」と呼ばれたサウスダコタ州ですが,今は「マウントラシュモア州」の方が主で,1992年に正式に指定されています。

コヨーテの遠吠えをどうしても聞きたくて,YouTubeで調べました。

ご紹介します。

オオカミの遠吠えとはちょっと違うようです。

ロングホーン州は,どこの州?…ロングホーンって角だよね?

Bay City, TX, USA: Vivian Arcidiacono @varcidi

テキサス州
ロングホーン・ステイト:The Longhorn State
ロングホーン州

「ロングホーン」は,特徴のある角で知られている肉用牛の品種の一つです。
特にテキサス州のそれらは「テキサス・ロングホーン」と呼ばれています。
17世紀後半にメキシコから持ち込まれた牛が野生化したそうです。
1995年にテキサス州は,公式の大型哺乳類に指定しました。
テキサス州は「ビーフ・ステイト」とも呼ばれますが,有名なステーキ用の品種は「Hereford」であり,ロングホーンではありません。(mohamoha15参照)
1920年代までに絶滅の危機に瀕したことがありましたが,森林局の職員による小さな群れの収集と州立公園への配置により絶滅は免れました。
テキサス州は,公式大型哺乳類を「ロングホーン」に指定しましたが,実は小型哺乳類も指定しています。
その哺乳類はなんと……「アルマジロ」です。

ワニ州は,どこの州?

American Alligator Florida Keys, Florida, USA: Jack Kelly @jackkelly

フロリダ州
アリゲーター・ステイト:The Alligator State
ワニ州

アリゲーターは,1987年にフロリダ州の公式爬虫類に指定されました。
他にはルイジアナ州とミシシッピ州も州の爬虫類のシンボルとして採用しています。
革製品のために人間による狩猟により絶滅に向かい,1973年の絶滅危惧種法にリストされました。
州法でワニ革製品の販売が禁止されたり,正常に再繁殖したりしたため,現在はリストから外れていますが,しっかりとした管理下で生息地を保護しています。

フロリダ州の公園の遊歩道に4mを超えるワニが出現し,その映像が話題になったようです。

競走馬の本場ってどこの州?

photo by Brandon Randolph

ケンタッキー州
ホーム・オブ・サラブレッド:Home of Thoroughbreds
競走馬の本場

年間1万2千頭ものサラブレッドを生産することから「馬の首都:The Horse capital of the world」とも呼ばれているケンタッキー州です。
ケンタッキー州ルイビルにある「チャーチルダウン競馬場」で行われる「ケンタッキーダービー」は競馬界のみならずスポーツイベントとしてもアメリカ国内でとても知名度が高いです。
3歳牡馬のクラシックレース3冠の一番最初に行われるレースです。
日本でいう「皐月賞」「日本ダービー」「菊花賞」ですが,ダービーを1番最初に行うのがアメリカらしいです。
しかも,その2週間後に2冠目,その3週間後に3冠目のレースがあります
から,短期間に3つ行うという競走馬にとってかなり過酷なことで知られています。
上の画像について,これ以外の画像は生き物が主になっているものですが,競馬中の画像はこのページに合わない気がして,牧場が主の画像を選びました。
このような景色の中で,のんびりしてみたいものです。
北海道とはちょっと違うイメージが私はケンタッキー州にはあると思っています。

アメリカンクラシック3冠馬は,これまで12頭いますが,知名度が高いのは何といっても「セクレタリアト」でしょう。

私は,競馬予想現役の時に,新聞の馬柱によく名前が出ていた「シアトルスルー」の方がなじみがありますが…。

「セクレタリアト」の映画を紹介します。

チェックしてみてください。

https://paypaymall.yahoo.co.jp/store/surpriseweb/item/vwbs-1354/?sc_i=shp_pc_search_itemlist_shsrg_img

ナマズ州は,どこの州?

catfish: Image by Deedster from Pixabay

ミシシッピ州
マッドキャット・ステイト:The Mudcat State
泥ナマズ州

これは紹介するかどうか迷いました。
アメリカのサイトには一つしか記載がなく,しかも解説が全くなかったからです。
ミシシッピー川にはたくさんの支流があり,周辺には沼地も多くあるはずですから「ミシシッピリバーカントリー」の州では,どこにもナマズがいそうです。
ノースカロライナ州の「キャロライナ・マッドキャッツ:Carolina Mudcats」という野球チームを見つけました。
チームロゴが強烈でした。
面白いので検索してみてください。
他には,ミシシッピ川ではとんでもなく巨大なナマズが釣れるようです。
いくつかのとんでもない画像を見ました。

モンキー州は,どこの州?

テネシー州
モンキー・ステイト:The Monkey State
猿州

1925年,テネシー州でダーウィンの「進化論」を学校教育の場で教えることを禁止した「反進化論法」が制定されました。
高校の生物教師が裁判を起こすまでの騒動になりました。
この法律は1967年に廃止されるまで続くことになります。
人間は猿から進化したという進化論からモンキー裁判と呼ばれ,反進化論法を制定したテネシー州も「猿の州」と呼ばれることになります。

なんと,アメリカには猿はいない

調べて驚いたのが,アメリカやヨーロッパには野生のサルはいないとのこと。

何らかの環境要因によって北アメリカの霊長類は絶滅したのだそうです。

外国からの観光客が,日本の温泉に入る猿を見たりモンキーセンターなどで楽しんだりしているのをYouTubeなどでよく見かけるけれど,本当に珍しいからだってわかりました。

若い時のインド滞在の時にはしょっちゅう見かけたので,猿はどこの国にもいるものだと思っていました。

ちなみに猿はもともと熱帯の動物で,ニホンザルが最も高緯度にいる猿なのだとか。

アナグマ州は,どこの州?アナグマって熊?

badger: Image by skeeze from Pixabay

ウィスコンシン州
バジャー・ステイト:The Badger State
アナグマ州

アメリカアナグマは,アメリカの東以外で広く生息しており,イタチ科なのだそうです。
クマとなっていますが,間違いなく熊ではありません
ウィスコンシン州の紋章や印章,州旗に描かれ,州の公式動物です。
また,ウィスコンシン大学のマスコットでもあります。
農地開発や害獣駆除により,数は減少とのことです。
1800年代にこのニックネームが付けられたそうで,理由は,鉱山労働者が丘の中腹にトンネルを掘り,時にはそこに住んでいたので,アナグマのようだとのことからだったようです。

ミツバチ州は,どこの州?

Honeybee:: Image by Anja🤗#helpinghands #solidarity#stays healthy🙏 from Pixabay

ユタ州
ディゼレット・ステイト:The Deseret State
ミツバチ州

これは,かなりの番外編になると思われます。
ミツバチは英語でHoneybeesなので,まるで違います。
「Deseret」はモルモン教徒の言葉で「勤勉なミツバチ」という意味だそうです。
ユタ州に敬虔なモルモン教徒が多いことは前から知っていました。
「ジェロー・ベルト」の記事でも書きましたが,小学校の頃,私の町にも布教活動で数人のアメリカ人がいましたから。
ユタ州北部のあまり人が住めない乾燥した盆地に,東部での迫害を逃れてやってきたモルモン教徒が入植したそうです。
モルモン教徒の共同生活と勤勉であるのをミツバチに重ねてモルモン教徒の土地を「ディゼレット州」と呼んだそうです。

実際にユタ州は,1983年にミツバチを州の公式昆虫に指定しています。

ミツバチは農業において,とても重要な役割を果たしているため,ユタ州だけでなく,17の州で,公式に州のシンボルと認識されているようです。

しかし,驚いたことに,ミツバチはアメリカにもともといたわけではなく,最初に入植したスペイン人やイギリス人とともにやってきたそうです。

ネイティブ・アメリカの人たちは,ミツバチのことを「白人のハエ」と呼んでいたそうです。

2回に分けて,動物由来の州ニックネームを紹介してきました。

知らなかったことがかなりあり,興味深く調べられたことと,実際に旅行中に出会える動物がいると思うと,けっこうワクワクしてきます。

しかし,最初から最後まで,いつ出てくるのかと待ち望んだ動物がいますが,結局出てきませんでした。

「アメリカと言えば」の動物です。

みなさん,お分かりになりますか?

何かは次回までのお楽しみ。

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