植物が由来のアメリカの州のニックネーム紹介の第3弾です。
と言っても,植物の由来はこれが最後の回で,2種類しか紹介しません。
たぶん,かなりの情報量になると思い,最後に残しておきました。
前回の予告でお伝えした通り,2つとも南国の植物です。
ヤシの木州は,どこの州?
サウスカロライナ州
パルメット・ステイト:The Palmetto State
ヤシの木の州
画像は,サウスカロライナ州チャールストンのフレンチクォーターにある「セントフィリップ・エピスコパル教会」です。
実は教会を紹介したくてこの画像を選んだわけではなく,その前にある「ヤシの木」に注目してほしかったのです。
ヤシの木にはいろいろな種類があるので,「ヤシの木」の州としてしまうと,ちょっと乱暴かもしれません。
ヤシの木の中でも「サバルヤシ」とか「パルメット・ヤシ」と呼ばれる種類です。
英語では「Sabal palmetto」で通称「キャベツ・パルメット:Cabbage Palmetto」と呼ばれているそうです。
なぜ,「キャベツ」と呼ばれるのか。
詳細は調べることができなかったのですが,「パルメット・ヤシ」の幹をよく見ると推測できます。
クマデのように広がった葉が上の方で四方八方にたくさん伸びていますが,その葉が重なるように,網目を描きながら成長し,落ちていくため,幹肌がキャベツのようになるからだと思います。
かなり,面白いというか,素敵な構造をしています。
サウスカロライナ州は,州のニックネームだけでなく,1939年にパルメット・ヤシを公式の「州の木」に指定しました。
アメリカ独立戦争の「サリバン島の戦い」では,アメリカ軍がモールトリー砦でイギリス艦隊を打ち負かしたそうです。
イギリス艦隊の大砲の砲弾は,この砦の厚い壁を貫き通すことができなかったそうです。
なんとこの砦は,パルメットの丸太で作られていました。
この出来事から,パルメット・ヤシは,州のニックネームや州の木の他,州旗,大印章に描かれています。
また,米国造幣局200周年記念のサウスカロライナ州25セントコインのデザインにも採用されています。
「THE PALMETTO STATE」の綴りとともにパルメット・ヤシと州鳥(Carolina wren),州の花(yellow jessamine)が描かれています。
サボテンの州はどこの州?
結論・・・・・サボテンの州は無い!
「じゃあ,言うな!」という話なんですが,載せたのには理由があります。
日本のあるサイトには「ニューメキシコ州」が「サボテンの州」になっていました。
が,アメリカのサイトでは,そのように記載しているサイトを見つけることができなかったのです。
「サボテン」や「ニューメキシコ州」に関する公式なサイトも含めて,くまなく探しましたが,ニックネームとして「サボテンの州」と呼ばれているところは,「ニューメキシコ州」どころか,どこの州も見つかりませんでした。
冒頭に紹介した画像は,アリゾナ州の「サワロ国立公園」の風景です。
「サワロ国立公園」の存在で,私は「アリゾナ州がサボテンの州」と勝手に思っていました。
でも,アリゾナ州も「サボテンの州」ではありません。
ニューメキシコ州のサボテンの話
「ニューメキシコ州」と「サボテン」を結び付ける唯一の情報がこれでした。
これは,「ニューメキシコ州」の印章です。
よく見ると,鷲が爪にサボテンを握っています。
公式のサイトでは「メキシカン・イーグル:The Mexican eagle」と紹介されていました。
くちばしに蛇を,爪にサボテンを握っています。
古代アステカ神話を表し,ニューメキシコ州がスペイン,メキシコ,ネイティブアメリカンの伝統を大切にしていることを象徴しているそうです。
「メキシカン・イーグル」のバックには,羽を伸ばし,爪に3本の矢をつかんでいる大きなアメリカンイーグルが見守っています。
これは,メキシコの領地であった「ニューメキシコ州」が,1846年にアメリカの領地になったことの象徴だそうです。
ニューメキシコ州の遺産と文化に対するアメリカの保護という意味もあるそうです。
印章にある「CRESCIT EUNDO」の文は,ラテン語で「進むにつれて成長する:It grows as it goes.」という意味だそうです。
では,このメキシカン・イーグルが握っているサボテンの種類は何かと気になりました。
調べてみると,おそらくですが,「オプンティア:Opuntia」かその仲間ではないかと思われます。
画像は,ニューメキシコ州ではなく,テキサス州のチャウチャウ砂漠でのショットのようです。
ニューメキシコ州では,あまりサボテンのフリー画像が豊富ではありませんでした。
さて,ちょっと話がサボテンからそれます。
「ニューメキシコ州」と言えば,「アルバカーキ」と「サンタフェ」の街が思い浮かびます。
このブログを始める以前に,地球の歩き方を流し読みしていた時に,頭にインプットしました。
「アルバカーキ」と言えば,なんといってもこれですよね。
「アルバカーキ・バルーン祭り」です。
10月に約10日間行われる熱気球の巨大イベントです。
なんと観光客が約90万人も訪れ,約500機の熱気球が飛ぶそうです。
アメリカの公式サイトでは「気球の首都:The Balloon Capitol of the World」と紹介されていました。
旅行の計画では,アルバカーキの10月に行われるこのイベントは要チェックです。
話をサボテンの話に戻します。
アリゾナ州のサボテンの話
詳しく言うと,ここで紹介するのは,サボテンの話のようでサボテンの話じゃない話です。
先ほども書きましたが,サボテンの州というと,私は真っ先にアリゾナ州を思い浮かべました。
「砂漠の王者」と言われるアリゾナ州特有のサボテンがあるからです。
しかし,ページの文字数が多くなってしまうので,その話は次回にしたいと思います。
ここでは,何を紹介したいかというと「オコティーヨ」です。
日本のサイトで「オカティロの州」として「アリゾナ州」を挙げているサイトがありました。
しかし,ニューメキシコ州と同じように,アメリカのサイトで調べても「オカティロの州」は見あたりませんでした。
日本のサイトでは,「オカティロ」になっていましたが,アメリカでは「オコティーヨ」「オコティージョ」「オコティロ」など,いろいろな読み方をされているようです。
英語では「Ocotillo」ですが,もともとはスペイン語なのではないかと推測されます。
スペイン語で「小さなトーチ」を意味するとの紹介があったからです。
ここでは,一番多かった「オコティーヨ」で呼びたいと思います。
長い茎には,かなりの棘があります。
そのために,家の周りにこのオコティーヨを何本も植えて,フェンスにしている家がけっこうあるそうです。
日本にも家の周りに灌木を植えて,フェンスにしている家がありますが,棘付きの木を植えているところはほぼ見かけません。
インド滞在中に,私の家の周辺の住宅で気が付いたことがあります。
インドの家を囲む壁には,上部にガラスの瓶を砕いてそれを埋め込めこんでいるところが多いです。
乗り越えようとすると,間違いなく血だらけになります。
このオコティーヨのフェンスも,人の侵入を防ぐのに適したものなんだと推測されます。
オコティーヨは,雨の時に葉を出し,花を咲かせます。
3月から6月頃に茎の先端に燃えるような赤い花の房を付けます。
スペイン語で「小さなトーチ」を意味する訳が分かりました。
この花が咲く様子からつけられたのですね。
生花はサラダに使用され,乾燥させた花はいろいろな用途の薬に使用されるそうです。
オコティーヨは,11種類ある「フォークィエリア:Fourquieria」と呼ばれる植物の一つだそうです。
そして,なんとこの「フォークィエリア」に属する植物は………
サボテンではないそうです………。
「なんじゃそりゃ!」
なので,サボテンの話のようでサボテンの話じゃない話は終わりにします。
なんとも締まりのない話になってしまいました。
そこで,次回は,一旦,州のニックネームの話から離れ,アメリカのサボテンと砂漠の話をしようと思っています。
「サボテンの州」に関しては,アメリカのサイトをかなり調べました。
調べるにつれ紹介したい情報がかなり溜まり,このページで紹介するには,情報量がいつもの倍になると推測し,次回にとなったわけです。
今回の情報の基になっているサイトです。
あと,「オカティーヨ」に関してアメリカのあるサイトからかなりの情報量をいただいたのですが…チェックし忘れてしまいました。
履歴を見ても探せませんでした…すいません。
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