いよいよ州のニックネームの紹介の最後です。
最後は,これまでこのブログで一度も紹介していないノースカロライナ州を紹介します。
ニックネームが無いのかというとそうではなく,これまでのカテゴリーに当てはまらなかったニックネームを持つ州だったのです。
でも確かに,調べると幾つものニックネームが見つかる州もあれば,1つしかない州もあります。
また,州によって公式に州のニックネームを承認しているところがあれば,そういうことを一切やっていないところもあります。
それでは,ノースカロライナ州のニックネームですが,その事前準備として「タール」の説明からします。
「タール」って何?
かなり説明が長くなると思うので,州の紹介よりも先に「タール」を説明をします。
「タール」とは何か。
まず「タール」と聞くと,何が思い浮かびますか?
私はが思いつく「タール」は2つあります。
一つは,煙草に含まれている有害物質と言われる「タール」。
言わゆる歯を黄色くする「ヤニ」と言われている物質です。
煙草の葉に含まれている有機物質が熱分解されてできるいくつもある化学物質の結合体です。
その中に発がん性物質が含めれているらしいです。
喫煙者である私にとっては耳の痛い話です。
約10年後のアメリカ旅行までにはやめる予定なのですが…。
旅行での喫煙は何かと制約がありますから,喫煙の習慣は邪魔以外の何ものでもないと思っていますが,今はとりあえず,ストレスを和らげるものとして続行しています…。
もう一つは,道路のアスファルトに含まれている「タール」。
これについては知識があまりなかったので,「生活110番ニュース」のHPで調べました。
すると,私の認識が間違っていました。
アスファルトの中にはタールは含まれていないようで,アスファルトで道路を造る前の時代にタールで道路を造っていたようです。
詳しく言うと,道路舗装に使われていたタールは「コールタール」と言われるものです。
発がん性物質が含まれているため,現在の道路舗装にはコールタールに代わり,アスファルトが使用されています。
さて,ここからは「ウィキペディア」からの情報です。
簡単に言うと,タールとは茶色で油状の液体です。
とてもねばねばしているので,接着剤としても使用されていて,道路舗装はその性質を利用したものと言えます。
その作り方は2通りあって,石炭や石油から作られるものがコールタールなのだそうです。
もう一つは,主に樹木から作られる「木タール」です。
木炭を作るために木材を加熱するとできるようです。
木タールは独特の香りを持ち,殺菌作用があります。
そのために,キャンディーやアルコールの風味付け,肉料理用のスパイス,化粧品やシャンプーの材料として使用されているようです。
「靴のかかとに付いたタール」のタールは,「木タール」のことです。
ペリーの黒船が黒かった理由
昔はこの木タールを船の塗料に使用していました。
木造船の時代なのですが,防水と腐食防止の目的で船体と帆に塗っていたそうです。
江戸時代に日本の浦賀にやってきたペリーの黒船がなぜ黒かったのかというと,この木タールを船に塗っていたから黒かったのだそうです。
マシュー・カルブレイス・ペリー(Matthew Calbraith Perry)は,1852年東インド艦隊司令長官に就任し,日本開国を依頼する大統領の親書を手渡すよう指令を与えられました。
そして,ミラード・フィルモア大統領の親書を携えて,ミシシッピ号を旗艦とした4隻の艦隊でバージニア州ノーフォークを出航し,日本にやって来ます。
日本には,東京の港区芝公園をはじめ,いくつかの場所に像がありますが,アメリカにも銅像があるのをご存じでしたか?
ロードアイランド州 ニューポートの「トゥーロパーク:Touro Park」にあります。
ペリーの人生の出来事を表すブロンズでできた4つの浅浮き彫りレリーフが台座にあります。
・鎖国であった日本を商業および外交上の関係に持ち込んだこと
・地中海でバルバリア海賊を抑圧したこと
・西アフリカで奴隷制反対のパトロールをしたこと
・米墨戦争においてメキシコ湾で海軍司令官をしたこと
意外にも,ペリーはアメリカの奴隷の帰国事業に尽力し,西アフリカのリベリアでは日本と同じように著名なのだそうです。
そして,ペリーは日本への旅路についての本を出版しています。
「ペリー艦隊日本遠征記(Narrative of the Expedition of an American Squadron to the China Seas and Japan)」です。
墓所は,銅像と同じロードアイランド州のアイランド墓地にあり,娘のアンナとともに納められています。
さて,タールの話でした。
タールでもなく「タールが付いた靴のかかと」の話でした…。
タールが付いた靴のかかとの州は,どこの州?
ノースカロライナ州
タール・ヒール・ステイト:The Tar Heel State
タールが付いた靴のかかとの州
由来となる出来事は2つあり,全く意味が反対になっています。
共通しているのは,南北戦争の時の話だということと,ノースカロライナ州がタールの産地だったということです。
1720~1870年頃まで,ノースカロライナ州は海軍に関する軍需品の生産では世界トップクラスだったようで,特に,州の広大な松林から獲れる「木タール」やテレピン油が主でした。
由来の一つはとても良い意味です。
南北戦争時に,南軍は形勢がとても不利なのにノースカロライナ軍だけは一歩も退くことなく勇敢に戦ったそうです。
ノースカロライナ軍の戦いぶりを見た南軍司令官のリー将軍が「まるで靴のかかとにタールが付いているかのように後退せずに戦っている」と称賛したというものです。
もう一つは,逆にあまり良い意味ではありません。
南北戦争の時のある戦いで,ノースカロライナ軍は自分の陣地を守れず退いてしまったそうです。
そのために,他の軍から「(自分の陣地から動かないように)次の戦いでは靴のかかとにタールでも付けておいたらどうだ」と罵られたというものです。
ノースカロライナ州の人々のことを「ターヒールズ:Tar Heels」と呼んでいるそうで,特にノースカロライナ大学の各スポーツクラブのユニフォームにはこのネームが入っているようです。
上の画像の学校も「Tar Heel School」と名付けられているように,ノースカロライナ州で堂々と名乗っていることから,ニックネームの由来は良い意味の方のエピソードからのものと捉えてよいと私は思います。
このニックネームを「「リンカーンの州」とアメリカ南北戦争の話 mohamoha31」で紹介するかどうか迷いました。
アメリカ南北戦争に関する由来だからです。
しかし,リンカーンとは全く関係のない話で,しかも南軍の話なので一緒にしませんでした。
ノースカロライナ州は,他にも「オールド・ノース・ステイト:The Old North State」というニックネームもあります。
もともと,ノースカロライナ州とサウスカロライナ州は「カロライナ」という植民地で,1710年に北と南に分割しました。
北部の方に古い集落があったので「オールド・ノース・ステイト」と呼ばれるようになったそうです。
「ノースカロライナ州と言えば」の観光地は?
ノースカロライナ州と言えば,何が思い浮かぶでしょう?
私は2つ,挙げたいと思います。
まずは,「アッシュビル:Asheville」にある「ビルトモア・エステート:Biltmore Estate」です。
一言でいうと,個人所有における全米で一番大きなお屋敷です。
1895年にルネサンス様式で建てられた個人邸宅で,鉄道王の一族と言われるジョージ・ワシントン・ヴァンダービルト2世:George Washington Vanderbilt IIによって建てられました。
ヴァンダービルトの子孫の1人によって今も所有されていて,1930年から一般に公開し,住宅博物館となっています。
邸宅には歴史を感じさせる250の部屋があり,とても高い天井の宴会場や10,000冊を超える蔵書収めた書斎,屋内プール,ボーリング場,展示ホールなどを見学できます。
広大な敷地には,ワイナリーや庭園もあり,見学ツアーがあります。
広大な庭園はマウンテンバイクや馬,馬車に乗って散策してもよいそうで,敷地内を通るフレンチブロード川をいかだやカヌーで下ったり,カヤックを自分で操ったりできます。
敷地内のホテルに宿泊することもできます。
クリスマス シーズンには,夜のキャンドルライトツアーがあるそうです。
この邸宅の最初の持ち主だったヴァンダービルト2世の話として,1912年,ヨーロッパ旅行中でタイタニック号の乗客リストに載っていたのですが,旅行を早めに切り上げて難を免れたというのがあります。
しかし,その2年後の51歳の時に合併症のために亡くなりました。
このビルトモア・エステートのお屋敷からグレート・スモーキー・マウンテンの壮大な眺めが拝めるそうです。
私が「ノースカロライナ州と言えば」で思いつく2つ目は,世界自然遺産にも登録されている「グレート・スモーキー山脈国立公園:Great Smoky Mountains National Park」です。
アメリカの最もポピュラーな世界遺産というと,グランドキャニオンやイエローストーンだと思いがちですが,観光客数で言うと,このグレート・スモーキー山脈国立公園がダントツで一番なのだそうです。
要因として,東部の大都市圏からのアクセスが楽で気軽に行けることが挙げられています。
公園の東側がノースカロライナ州で西側がテネシー州になっており,そのほぼ中央に,国道441号線「ニューファウンド・ギャップ・ロード:Newfound Gap Road」が走っています。
その道路から多くのトレイルの起点や展望台に自動車で行くことができることも,観光客の多さに繋がっているそうです。
アメリカの国立公園と言えば,それこそいろいろな国立公園に星の数ほどの「Trail:自然遊歩道」があります。
このグレートスモーキーマウンテンズも自然遊歩道を歩きながら景色を楽しむことこそが,人々が訪れる目的と言えます。
では,アメリカの三大長距離自然歩道は何かご存じでしょうか。
一つ目は,「コンチネンタル・ディバイド・トレイル:Continental Divide Trail」
ロッキー山脈に沿って,モンタナ州,アイダホ州,ワイオミング州,コロラド州,ニューメキシコ州の5つを通過します。
2つ目は,「パシフィック・クレスト・トレイル:Pacific Crest Trail」
ワシントン州,オレゴン州,カリフォルニア州の3つを通過します。
そして,3つ目がこのグレート・スモーキー・マウンテンも通る「アパラチアン・トレイル:Appalachian National Scenic Trail」です。
北からメイン州,ニューハンプシャー州,バーモント州,マサチューセッツ州,コネチカット州,ニューヨーク州,ニュージャージー州,ペンシルベニア州,メリーランド州,ウエストバージニア州,バージニア州,テネシー州,ノースカロライナ州,ジョージア州の14州を通過します。
トータル約150㎞あるそうです。
この全距離を1シーズンで走破することを「スルー・ハイキング:thru-hiking」というそうで,毎年何人も挑戦しているそうです。
その場合,春に南のジョージア州のスプリンガー山を出発し,一番北のメイン州カタディン山のゴールを目指すそうです。
メイン州にあるバクスター州立公園が閉鎖されるのが10月15日なので,その日が期限になるそうです。
このアパラチアン・トレイルを題材にした映画があります。
ロバート・レッド・フォードとニック・ノルティーが主演の「ロング・トレイル!:A Walk in the Woods」です。
70代でアパラチアン・トレイルに挑戦するストーリーです。
確かに映画を通した景色は最高でした。
さて,これで州のニックネームはすべて終わりました。
最後である今回は,今まで登場しなかったお詫びの気持ちもあり,州の紹介もしてしまいました。
次回は,これまでの州のニックネームを一覧にしてわかりやすくまとめたいと思います。
このページの情報の主な提供源は,
「State Symbols USA」
「ウィキペディア・アパラチアントレイル」
「ウィキペディア・ビルトモアエステート」
です。
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