「アメリカの国立公園32選」の第15弾です。
今回は,テキサス州にある「ビッグ・ベンド国立公園」と「サン・アントニオミッションズ国立歴史公園」を紹介します。
オリジナルランキングにて,ビッグ・ベンド国立公園は26位でした。
サン・アントニオミッションズ国立歴史公園は,32選の中には入っていませんが,2015年に世界遺産に登録されました。
- ビッグ・ベンド国立公園:Big Bend National Park(テキサス州)
- 主なドライブルート
- 化石発見展示館:Fossil Discovery Exhibit
- バランス・ロック:Balanced Rock
- ザ・ウインドウ:The Window
- ラバの耳:Mule Ears
- サンタ・エレナ・キャニオン:Santa Elena Canyon
- The Summit at Big Bend
- ホット・スプリングス・トレイル:Hot Springs Trail
- サン・アントニオミッションズ国立歴史公園:San Antonio Missions National Historical Park(テキサス州)
- アラモ伝道所:Mission Alamo
- コンセプシオン伝道所:Mission Concepcion
- サン・ホセ伝道所:Mission San José
- サン・フアン・カピストラノ伝道所:Mission San Juan Capistrano
- エスパーダ伝道所:Mission San Francisco de la Espada
ビッグ・ベンド国立公園:Big Bend National Park(テキサス州)
「ビッグ・ベンド国立公園:Big Bend National Park」は,テキサス州にあるアメリカとメキシコの国境にある国立公園です。
公園内を流れる「リオ・グランデ川:Rio Grande」が,1600㎞以上もアメリカとメキシコの境となっています。
そのリオ・グランデ川の大きく湾曲(ビッグ・ベンド)したところに公園があるために,ビッグ・ベンド国立公園と名付けられました。
ビッグ・ベンド国立公園は,アメリカで2番目に大きい公園ながら辺鄙な場所にあるために,訪れる人が少ない国立公園の一つです。
また,アメリカの国立公園の中で一番アクセスがしにくいとも言われています。
しかし,公園内には「リオ・グランデ川:Rio Grande」「チソス山脈:Chisos Mountains」「チワワ砂漠:Chihuahuan Desert」があり,様々な景色が楽しめます。
見どころとなる観光地は,広大な公園に散らばっているため,ビッグ・ベンド国立公園の全てを満喫するとなると,かなりの移動距離になります。
ビッグ・ベンド国立公園の入り口の町を挙げるとすると,2つあります。
北にあるのが「マラソン:Marathon」という町で,西にあるのが「ターリングア:Terlingua」になります。
それぞれに雰囲気の良いホテルがいくつかあり,町から公園に向けて走ると,ビッグ・ベンド国立公園の看板があります。
公園内にも宿泊できるホテルがあるエリアがあります。
主なドライブルート
「マラソン:Marathon」の町から63㎞,車で約40分,385号線を走ると,ビッグ・ベンド国立公園の入り口があり,料金所もあります。
その近くには,「ペルシモン・ビジター・センター:Persimmon Gap Visitor Center」があります。
最初に訪れて,情報を集めると良いと思います。
夏は営業していませんが,小さな店舗と博物館の展示物があります。
次に,そのまま「メイン・パーク・ロード:Main Park Rd」を進むと,2つ目のビジターセンターがあります。
42㎞,車で約30分のところにある「パンサージャンクション・ビジターセンター:Panther Junction Visitor Center」です。
公園の歴史に関する展示があり,ドライブや観光に役立つ詳細な地図を提供してくれます。
ギフトショップもあります。
すぐ隣にはガソリン スタンドもあります。
ガーノ・スプリングス道路を西に行き,左折して、ベイシン・ジャクション道路に入り、しばらく進むと、ビッグ・ベンド国立公園の中心地である「チソス・ベイジン:Chisos Basin」に到着します。
そこには、「チソス・ベイジン・ビジターセンター:Chisos Basin Visitor Center」があり、ホテルもあります。
パンサージャンクション・ビジターセンターからチソス・ベイジン・ビジターセンターまでは、約15kmあります。
自然を目一杯楽しみたい方,朝日や夕日,夜景を楽しみたい方は宿泊を検討すると良いと思います。
続いて,メキシコ国境を流れるリオ・グランデ川周辺までの行き方を2つ紹介します。
一つ目は,ビッグ・ベンド国立公園の西にある「カストロン:Castolon」です。
ビッグ・ベンド国立公園の中心地である「チソス・ベイジン:Chisos Basin」から「カストロン:Castolon」まで,約63km,約1時間のドライブです。
「カストロン・ビジターセンター:Castolon Visitor Center」があります。
カストロンの歴史と初期の住民に関するすばらしい展示があります。
二つめは,もっと東にある「リオグランデ村:Rio Grande Village」です。
「チソス・ベイジン:Chisos Basin」から「リオグランデ村:Rio Grande Village」まで,約50km,約40分のドライブです。
「リオグランデ村ビジターセンター:Rio Grande Village Visitor Center」があります。
さて,主なドライブコースを紹介しましたから,次に主な見所を紹介します。
化石発見展示館:Fossil Discovery Exhibit
入場料金所を通って,メイン・パークロードを進むと,途中に「化石発見展示館:Fossil Discovery Exhibit」があります。
この地域で見つかった動物や恐竜の実物大のレプリカや化石がたくさんある展示場です。
景色も素晴らしく,建物は開放的な興味深いデザインです。
バランス・ロック:Balanced Rock
ガーノ・スプリングス道路からグレープバイン・スプリングス道路に入り,しばらく走ると,「グレープバイン・ヒルズ・トレイルヘッド:Grapevine Hills Trailhead」に着きます。
そこから,約1.6km,約20分のトレイルです。
岩山を登る険しいトレイルですが,素晴らしい景色です。
バランスド・ロックは,もちろん,自然の力でバランス良く留まっている岩です。
ザ・ウインドウ:The Window
チソス・ベイジン・ビジターセンターから往復約2時間,約9kmのトレイルです。
チソス盆地からの素晴らしい景色が続くトレイルで,途中で引き返すこともできます。
ビッグ・ベンド国立公園と聞くと,このザ・ウインドウの景色を思い浮かべる人が多いようです。
ラバの耳:Mule Ears
カストロン・ビジターセンターに行くまでの「ロス・マックスウェル・シーニック道路:Ross Maxwell Scenic Drive」の途中にあります。
「ミュール・イヤーズ道路:Mule Ears Rd」の突き当たりに展望台があります。
トレイルコースもあります。
サンタ・エレナ・キャニオン:Santa Elena Canyon
ビッグ・ベンド国立公園と聞くと,「ザ・ウインドウ」の景色だと先ほど書きましたが,この「サンタ・エレナ・キャニオン」を挙げる人も多いと思います。
「サンタ・エレナ・キャニオン・トレイル:Santa Elena Canyon Trail」があり,展望台から遠景を楽しんだ後に,このトレイルで,峡谷の中を川に沿ってトレッキングするが良いと思います。
The Summit at Big Bend
「The Summit at Big Bend」は,見どころと言うよりも,宿泊地になります。
詳しく言うと,ビッグ・ベンド国立公園内ではないのですが,サンタ・エレナ・キャニオンを観光するならば,宿泊地の候補に入れておいて間違いはないと思います。
洞窟にあるホテルかグランピングを選択できます。
大自然を感じることができる宿泊地です。
ホット・スプリングス・トレイル:Hot Springs Trail
ビッグ・ベンド国立公園の東にあるリオ・グランデ・ビレッジ周辺には温泉のあるトレイルがあります。
「ホットスプリングス・トレイル:Hot Springs Trail」です。
出発地から10分ほど歩くと川沿いに温泉の湧き出ているところがあります。
今は「ビッグベンド温泉」と呼ばれていますが,この辺の地名にちなんで「ボキラス温泉」または,「ラングフォード温泉」と呼ばれています。
後者は,1900年代初頭にこの温泉を開発したJ.O.ラングフォードという人物にちなんだ名前です。
家屋はもうなくて,セメントの土台しか残ってませんが,それが露天風呂のタブのような役割を果たしています。
入るときは水着を着用するのがルールですが,更衣室やシャワーはありません。
全身で浸かる場合は,車から水着を着た状態で歩いてきます。
管理人などはおらず,無料で,1年中誰でも自由にアクセスできます。
利用できるのは日中のみとなっていて,ここでキャンプをすることは禁じられています。
ビッグ・ベンド国立公園は,広い敷地に対して訪問客が少ないために,大自然を独り占めしているかのような気分になれる国立公園です。
ぜひ,夜の星空観察も含めて,訪れたい公園になります。
サン・アントニオミッションズ国立歴史公園:San Antonio Missions National Historical Park(テキサス州)
テキサス州西部の都市「サン・アントニオ:San Antonio」を流れるサン・アントニオ川に沿って,かつて, 5 つの伝道所が建設されました。
伝道所とは,牧師が伝道を始める際に,伝道のために建てた教会のことです。
18世紀前半に,地元先住民をカソリックへ改宗させる教育のために,スペイン帝国によって建設されました。
ただ単に布教するというだけでなく,周辺には農場や牧場,水利システムなども建設され,土地の開拓も同時に推進されました。
19世紀前半には,伝道の目的は果たしたとしていずれも伝道所としての活動は停止します。
現在では,それらの伝道所は,スペイン人と先住民コアウィルテカ人の文化が融合した建築史の遺構として文化的価値が高いとされています。
伝道所となった建物は,5つあります。
「アラモ伝道所:Mission Alamo,Fort Alamo」
「コンセプシオン伝道所:Mission Concepcion」
「サン・ホセ伝道所:Mission San José」
「サン・フアン・カピストラノ伝道所:Mission San Juan Capistrano」
「エスパーダ伝道所:Mission San Francisco de la Espada」
1983 年に,アラモ伝道所を除く 4 つの伝道所を中心として「サン・アントニオ・ミッションズ国立歴史公園」が設立されました。
公園には,伝道所以外に3つの国家歴史登録財があります。
「エスパーダ水道橋:Espada Aqueduct」
「ランチョ・デ・ラス・カブラス:Rancho de las Cabras」(牧場)
「エセル・ウィルソン・ハリス邸 :Ethel Wilson Harris House」
そして,2015 年にアラモ伝道所も含めた5つの伝道所とランチョ・デ・ラス・カブラス(牧場)が世界遺産に登録されました。
サン・アントニオは,テキサス第 2 の大都市であるとともに,年間約 1000 万人もの人々が訪れる観光都市でもあります。
サン・アントニオ・ミッションズ国立歴史公園は,サン・アントニオの中心部にあり,観光客が多い歴史公園です。
アラモ伝道所:Mission Alamo
いろいろな名称があります。
「アラモ伝道所:Mission Alamo」「アラモ砦:Fort Alamo」「アラモ:the Alamo」
正式名称は「サンアントニオ・デ・バレロ伝道所:Mission San Antonio de Valero」です。
現在は博物館になっており,礼拝堂は当時の状態で保存されています。
ギフトショップが併設されているので,お土産もここで購入できます。
アラモ砦と呼ばれるわけは,テキサス革命の時に,この伝道所が砦になったからです。
テキサス革命とは,テキサス州がメキシコからの分離独立を目指した戦争のことです。
そのときに,このアラモ砦に立てこもり,メキシコ軍と戦いました。
世界遺産には,アラモ伝道所も登録されていますが,評価のポイントは伝道所の建築・文化的意義にあり,アラモの戦いなどは評価の対象に含まれていません。
コンセプシオン伝道所:Mission Concepcion
テキサスに残るスペイン人が建てた伝道所の中で,最もよく保存された伝道所です。
サン・アントニオ・ミッションズ国立歴史公園に含まれる 4 つの世界遺産のうち, 1 番北にあります。
1970年にアメリカの国定歴史建造物となりました。
1988年と2010年に修復が行なわれ,聖堂のフレスコ画や付属する修道院の天井画などが美しくよみがえりました。
他にも,2つの鐘楼が印象的です。
内部も見学できますが,今も安息日のミサが毎週開催されています。
サン・ホセ伝道所:Mission San José
この伝道所は,石灰岩で建てられたもので、1768年建造の聖堂が今も残っています。
現在は,ビジターセンターが隣接しており,サン・アントニオ伝道施設群を解説するスペースがあります。
サン・フアン・カピストラノ伝道所:Mission San Juan Capistrano
上にある画像にある通り,3つの鐘が特徴の伝道所です。
エスパーダ伝道所:Mission San Francisco de la Espada
エスパーダ伝道所は,5 つの世界遺産の中で最も南にあります。
アン・アントニオ周辺に,後に建設されたいくつかの教会のデザインに影響を与えていると言われています。
伝道所の西側には,周辺の集落や農場に水を供給するために建設された長大な水路が残っています。
この水路に沿って北に向かうと,エスパーダ水道橋という今も渡れる石橋があります。
上で説明しましたが,この橋は世界遺産ではありませんが,アメリカの国家歴史登録財に指定されています。
キリスト教伝道師たちが建設した 7 つの重力流溝とダムによる感慨水路は,伝道所と並ぶこの地域の貴重な歴史の遺産です。
サン・アントニオ川の下流には,世界遺産になっている当時の牧場である「Rancho de las Cabras:ランチョ・デ・ラス・カブラス」が残されています。
しかし,この牧場へのアクセスはレンジャー・ツアーのみとなっています。
サン・アントニオミッションズ国立歴史公園に散在する伝道所を見学するには,ガイドツアーという方法もあります。
あるいは,ミッショントレイルを利用して,全てを徒歩で周ることも可能です。
北端のコンセプシオン伝道所から南端のエスパーダ伝道所までは,役2時間ほどで歩くことができます。
サン・アントニオミッションズ国立歴史公園公式HP(国立公園局内)
今回は,これで終わります。
次回も,アメリカの国立公園32選を予定しています。
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