【太平洋地区】州の25セント硬貨のデザイン紹介  mohamoha37

州の記念コイン

州のニックネームを調べていると,いくつかの州で「このニックネームは,米国造幣局の200周年記念コインにも記載されています」という文章を見かけました。

そこで,アメリカの州の記念コインにはどのようなデザインがなされていて,そのデザインはどのような意味があるのかということを調べていくと,今後の旅行計画に役立つこともあるのではないかという考えになりました。

「米国造幣局200周年記念コイン」とは

正式な名称は「50州25セント硬貨:The 50 State Quarters」と言って,人々からは「State Quarters」の愛称で呼ばれているそうです。

アメリカの造幣局が200周年を記念して,1999年から2008年の10年間に「50州25セント硬貨プログラム:The 50 State Quarters Program」で発行されたそれぞれの州をデザインした25セント硬貨です。

表のデザインはそのままで、裏面に50州それぞれの特徴を描いています。

それぞれの州の図柄は歴史・伝統・シンボルなどになっていて,その州の住民がデザインしたものを州政府が選び,図柄が決定されたそうです。

アメリカの記念硬貨の中で最も有名なものとして知られるようになり,造幣局によるとコレクターの数は1億人以上とされています。(ウィキペディアより)

普通の25セント硬貨<表>のデザイン

Old George photo by Dawn Ellner on Flickr(Commercial use allowed)

表には初代大統領「ジョージ・ワシントン:George Washington」が描かれています。

ワシントン・クォーター」と呼ばれているそうです。

このデザインは,記念硬貨として発行されていたものが,1934年に正式に通常発行されることとなりました。

IN GOD WE TRUST

1956年に議会によりアメリカの公式標語として採用された「IN GOD WE TRUST」が刻まれています。

我々は神を信じる」という意味です。

D」はデンバー,「S」はサンフランシスコ,「P」はフィラデルフィアの造幣局で製造されたという意味です。

LIBERTY

アメリカと言えば「自由」がすぐに思い浮かびます。

「Liberty」と「Freedom」の違いは,「運動を通じて手に入れた自由」が「リバティー」なのだそうです。

普通の25セント硬貨<裏>のデザイン

Quarter photo by Eric Norris on Flickr (Commercial use allowed)

裏には「ハクトウワシ:Bald eagle」が描かれています。

1782年にアメリカ合衆国の国鳥に登録され,アメリカ政府の国章をはじめ,いろいろな州の州旗や紋章のデザインに取り入れられています。

ハクトウワシのことは,<「ペリカン州」「ビーバー州」「ゴーファー州」:動物由来の州ニックネームの話① mohamoha16>で詳しく紹介しています。

この裏のデザインが,ハクトウワシではなく,州で選ばれたデザインになっているのが「State Quarters」です。

E Plurirus Unum

エ・プルリブス・ウヌム 」と読みます。

ラテン語で「多数から一つへ」という意味だそうで,アメリカが多数の州で構成されていることを表しています。

さて,それでは紹介していきますが,ニックネームのように関係するテーマごとに分けることはできないので,地区ごとに紹介していきたいと思います。

最初は太平洋地区からです。

西部(WEST):太平洋地区(PACIFIC)の州のコイン

ワシントン州の記念コイン

from Shutterstock

ワシントン州:WASHINGTON

1889年に加盟(42番目)

川から飛び跳ねるサーモンSalmon

レーニエ山:Mount Rainier
(マウントレーニエ国立公園)

アメリカツガの木:the western hemlock

The Evergreen State」(常緑樹の州)

2007年発行

実は,ワシントン州のコインはニックネームを紹介したときに一緒に紹介しています。(「ひまわり州」「モクレン州」「常緑樹の州」:植物由来の州ニックネームの話② mohamoha20

鮭:Salmon

ワシントン州のニックネームの一つに「チヌーク・ステイト:The Chinook State」があり,先住民族のチヌーク族の紹介をしました。(退職後 アメリカに行く話 | ネイティブアメリカン由来の州ニックネームとネイティブアメリカンの話 mohamoha30

チヌーク族の主食は鮭で,この周辺で獲れるキングサーモンを「チヌーク・サーモン」と呼んでいると紹介しました。

シアトルから約25キロ離れた「イサクア:Issaquah」というところでは,10月に「サーモン・デイ・フェスティバル:Salmon Days Festival」が開催されています。

フェスティバルは入場無料で毎年15万人が訪れるそうです。

Salmon Days festival photo by Eric Marquez on Flickr (Commercial use allowed)

イサクア:Issaquah」は,「コストコ」の本部と旗艦店があることでも知られている町です。

レーニエ山:Mount Rainier」

マウントレーニア国立公園: Mount Rainier National Park」にある高さ4392mの成層火山です。

カスケード山脈の最高峰です。

標高1800m以上は氷河に覆われていて気軽に登頂することは無理みたいですが,「ワンダーランド・トレイル」をはじめ,周辺のトレッキングやハイキングは人気があります。

Public domain

アメリカツガの木:the western hemlock」

ワシントン州は,1947年に「アメリカツガ」を公式の州の木として指定し,マウントレーニア国立公園内のアメリカツガを保護しています。

アメリカ西海岸に自生する大きな常緑針葉樹であるアメリカツガは,平均で高さ50〜70メートルまで成長します。

樹齢1200年以上のアメリカツガも存在します。

オレゴン州の記念コイン

Oregpn photo by LLudo on Flickr (NonCommercial use allowed)

オレゴン州:OREGON

1859年に加盟(33番目)

クレーターレイク国立公園:Crater Lake National Park

「CRATER LAKE」

2005年発行

クレーターレイク国立公園

クレーターレイクはカルデラ湖になります。

火山が爆発し,その噴火口に水がたまってできた湖です。

湖の周囲をドライブやハイキングをして楽しむのですが,冬には2~4mの積雪があり,閉鎖される時期があるようです。

Sinnott Memorial Lookout, Crater Lake National Park photo by Ray Bouknight on Flickr (Commercial use allowed)

カリフォルニア州の記念コイン

California photo by LLudo on Flickr (NonCommercial use allowed)

カリフォルニア州:CALIFORNIA

1850年に加盟(31番目)

大空を羽ばたく「カリフォルニア・コンドル:California Condor」

ヨセミテ国立公園内にある「ハーフドーム:Half Dome」

ジャイアント・セコイア:Giant Sequoia(州の木)

「ジョン・ミュアー:John Muir」

「ヨセミテ渓谷:Yosemite Valley」

「カリフォルニア・コンドル:California condor」

California Condor photo by Rennett Stowe on Flickr (Commercial use allowed)

 翼を広げると約3mにおよび,空を飛ぶ中では北米最大の大きさの猛禽類の鳥です。

気流に乗って滑空し,約4600mの高さにまで舞い上がることができます。

他の猛禽と同じように,ウシやシカのような大型哺乳類の死体を食べます。

野生の生息地域は,カリフォルニア州中部とアリゾナ州北部,ユタ州南部のごく一部だけです。

 20世紀に入ってコンドルの数は減少し続け,1970年代末期には20~30羽だけになったそうです。

何が原因でそれほど減少してしまったかは特定できてなく,1987年に野生個体の全羽が捕獲され,飼育下におかれました。

そのため,現在では,野生個体と飼育個体合わせて約500羽にまで回復したそうです。 

以上,「NATIONAL GEOGRAPHIC 動物大図鑑 カリフォルニアコンドル」より。

ハーフドーム:Half Dome」

ヨセミテ国立公園:Yosemite National Park」内にある「ヨセミテ渓谷:Yosemite Valley」の東に位置する大きな花崗岩です。

半球を縦に割ったように見えるため,「ハーフドーム」という名前が付けられました。

Half dome, Yosemite photo by Vignesh Ananth on Flickr (Commercial use allowed)

ヨセミテ渓谷を象徴する景観であり,ハイキングやクライミングがさかんに行われています。

1870年代半ばまで,ハーフドームは「登頂不可能」と言われていましたが,1875年,ジョージ・アンダーソンが初めて南東側から登頂に成功しました。

このルートは,現在,約120mを鉄の杭を伝いながらよじ登るコースになっています。

Half Dome cable photo by Jamie Wilkinson on Flickr (Commercial use allowed)

ジャイアント・セコイア:Giant Sequoia

Case Mountain Giant Sequoias Public domain

世界最大の樹木で,カリフォルニア州に自生しています。

自生しているところは,次の4つの国立公園になっていて,しっかりと保護されています。

セコイア国立公園:Sequoia National Park
ヨセミテ国立公園:Yosemite National Park
キングスキャニオン国立公園:Kings Canyon National Park
レッドウッド国立州立公園: Redwood National and State Parks

どうも,ジャイアント・セコイアと呼ばれる樹木には2種類あり,がっちりと幹の太い「セコイアオスギ」と呼ばれるものと,スマートで背が高い「センペルセコイアあるいはレッドウッド」と呼ばれるものがあります。

ちなみに,世界一の高さを誇る樹木は,レッドウッド国立州立公園にあるセンペルセコイアで「ビッグツリー」と呼ばれています。

高さは92.6mあります。

世界一の体積を持つ樹木と言われているのが2つあり,セコイア国立公園にあるセコイアオスギの「ジェネラルシャーマン」とキングスキャニオン国立公園にあるセコイアオスギの「ジェネラルグラント」です。

「ジョン・ミューア:John Muir」

自然保護の父」と呼ばれる人で,西部開拓の時代にゴールドラッシュで人口が急増した西海岸の人々が森林伐採,ダム建設を計画するのに異議を唱え,シエラネバダ山脈の大自然を命がけで守り続けた偉大な人物です。

スコットランド出身で,多くの人を森に誘い,自然教室を開いて体験を通して「自然と人間の共生」を人々に説いていきました。

セオドア・ルーズベルト大統領は,ミューアの情熱に心を動かされ,国立公園の理念を確立させました。

ヨセミテ渓谷から始まる「ジョン・ミューア・トレイル」は彼の業績を記念して名付けられた遊歩道です。

D800E John Muir 2 photo by troy_williams on Flickr (Commercial use allowed)

「ヨセミテ渓谷:Yosemite Valley」

ヨセミテ渓谷は,ヨセミテ国立公園の一部であり,最大の見所でもあります。

氷河が創り上げた渓谷であり,深さ1220mの渓谷には切り立った断崖や氷河が削った岩が並んでいます。

ジョン・ミュアーはこのヨセミテ渓谷を「比類なき渓谷」と名付けました。

今回は西部の太平洋地区の3つの州を紹介しましたが,次回は同じ西部の中でもロッキー山脈地区を紹介します。

記念コインには,その州のPRするに値する価値が刻まれており,それらを調べることで必ず旅行の計画に役立つと思っています。

このページの主な情報源は「State Symbols USA」です。

 

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