米国造幣局の200周年記念コインの紹介の第6弾です。
今回は,「南部」の「大西洋南部地区」の紹介です。
大西洋南部地区の8つの州のうち,4つを紹介します。
南部(SOUTH):大西洋南部地区(SOUTH ATLANTIC)の州のコイン
ウエストバージニア州の記念コイン
ウエストバージニア州:WEST VIRGINIA
1863年に加盟(35番目)
ニュー・リバー・ゴージ橋:the New River Gorge bridge
「NEW RIVER GORGE」
JM
2005年発行
「NEW RIVER GORGE」
ウエスト・バージニア州のアパラチア山脈にある「ニューリバー峡谷:New River Gorge」のタイトルがついています。
まず,ニューリバーは1978年に国立の川として保護されているところがあります。
そのニューリバーが流れている峡谷がニューリバー峡谷です。
この峡谷自体が,「ニューリバー渓谷国立公園:New River Gorge National Park」になっています。
ニューリバー渓谷は,1400以上の岩登りポイントがあり,東海岸で最も人気のある登山エリアの一つです。
さらに,ニューリバー渓谷で,アメリカ国内最高のウォーターラフティングができるそうです。
「ニュー・リバー・ゴージ橋:the New River Gorge bridge」
ニューリバー峡谷の「フェイエットビル:Fayetteville」にある「ニュー・リバー・ゴージ橋:the New River Gorge bridge」です。
鋼のアーチ橋で, 長さ924 m,川からの高さ267m,アーチの長さは518 m,世界で3番目の長さのアーチ橋です。
画像の現地ボードでは,川から橋まで,ワシントン記念塔と自由の女神2体がちょうど収まる高さがあるとの説明があります。
橋の建設は 1974 年 6 月に始まり, 1977 年 10 月に完成,2013 年に国の「歴史登録財:National Register of Historic Places」に登録されました。
それまで曲がりくねった山道を40分かかっていた両端の間を,わずか1分で駆け抜けることができるようになったそうです。
橋の北端にビジター・センターがあり,景色の良い展望台と峡谷の中途まで降りる階段があります。
「JM」
おそらく,コインの原版のデザイン作者である「ジョン・マーカンティ:John Mercanti」のイニシャルだと思われます。
バージニア州の記念コイン
バージニア州:VIRGINIA
1788年に加盟(10番目)
3隻の帆船:3 colonial ships
「JAMESTOWN」
「1607-2007」
「QUADRICENTENNIAL」
2000年発行
「JAMESTOWN」
バージニア州にある「ジェームズ・タウン:Jamestown」は,北米における最初の英国の入植地です。
3隻の船で105名の植民団が北米植民地開拓に送り込まれ,4か月の航海の末に1607年4月アメリカ大陸に初上陸しました。
周辺の地域を探索後,ジェームス川の島に入植地を建設し,そこがジェームスタウンとなりました。
ジェームスタウンは,「ウィリアムズバーグ:Williamsburg」(バージニア植民地のジェームスタウンの次の首都),「ヨークタウン:Yorktown」(独立戦争中にワシントン将軍がイギリス軍を降伏させた地)の3つで,バージニア州の「歴史三角形:Historic Triangle」と呼ばれています。
ヨークタウンからウィリアムバーグを通って,ジェームスタウンまでの距離は約33kmです。
ジェームスタウンの入植地は,現在,入植当時の要塞や建物,木造船などが再現されている「ヒストリック・ジェームズタウン:Historic Jamestowne」となっています。
「ジェームズタウン・セトルメント博物館: the Jamestown Settlement museum」も隣接されているようです。
「QUADRICENTENNIAL」
「1607-2007」
1607年にジェームスタウンへ入植してから,2007年に400年になりました。
そのために,コインには「400周年記念:Quadricentennial」のタイトルが刻まれています。
「3隻の帆船:3 colonial ships」
コインに描かれているのは,1607年この地に104名の入植者を運んできた「3隻の帆船:the Jamestown colonial ships」である 「スーザン・コンスタン号:Susan Constant」「ゴッドスピード号:Godspeed」「ディスカバリー号:Discovery」です。
「ヒストリック・ジェームズタウン:Historic Jamestowne」には,当時の帆船のレプリカがあります。
メリーランド州の記念コイン
メリーランド州:MARYLAND
1788年に加盟(7番目)
州議事堂のドーム:the dome of the State House
ホワイト・オークの枝:white oak clusters
「The Old Line State」
「TDR」
2000年発行
「州議事堂のドーム:the dome of the State House」
メリーランドの州都「アナポリス:Annapolis」にあるメリーランド州会議事堂は,現在使用されている庁舎としては全米最古です。
庁舎のドームは,釘を一本も使っていない木造です。
釘なしの木造ドームとしては,全米最大でもあります。
この建物はアナポリスがアメリカの首都となった1783年から約9か月間,国の連邦議会議事堂を兼ねました。
独立戦争の後のイギリスとの間に結んだパリ条約もここで批准されました。
ジョージ・ワシントンは,ワシントン.D.Cにアメリカ合衆国議会議事堂を立てる際にメリーランド州会議事堂に似せてデザインするように命じたそうです。
「ホワイト・オークの枝:white oak clusters」
メリーランド州は,1941年に「ホワイトオーク:white oak」を州立樹に指定しています。
春に新しい葉は,緑に変わる前に約1週間ピンク色になります。
約50歳でドングリを生産し始め,毎年10,000個生産することができ,味は甘いそうです。
画像は,ホワイトオークなのですが,マサチューセッツ州で撮影されたものです。
「The Old Line State」
メリーランド州のニックネームです。
「植民地時代,独立戦争に関係する州ニックネームの話 mohamoha26」をご覧ください。
独立戦争の時に活躍したメリーランド州の前線部隊をたたえるニックネームです。
「TDR」
コインの原版のデザインを担当した「トーマス・D・ロジャース:Thomas D. Rodgers」のことではないかと推測します。
デラウェア州の記念コイン
デラウェア州:DELAWARE
1787年に加盟(1番目)
馬にまたがるシーザー・ロドニー:Caesar Rodney on horseback
「Caesar Rodney」
「The First State」
1999年に発行
「Caesar Rodney」
馬にまたがるシーザー・ロドニー:Caesar Rodney on horseback
シーザー・ロドニーは,アメリカ独立宣言にデラウェアの代表として署名した人で,アメリカ独立戦争の期間のほとんどをデラウェアの知事を務めた人です。
すいません,私は今まで知りませんでした。
なんでも,1776年7月,合衆国の独立を決議するためにフィラデルフィアで行われた代表者会議に出席するため,雷雨の中を128㎞の道程を馬で駆けたそうです。
そして,フィラデルフィアに到着した時は,投票が始まるまさにその時で,その姿は,乗馬靴を履いて手には拍車(乗馬靴のかかとに付ける花車の金具)を持って現れたそうです。
コインには,代表者会議が行われるフィラデルフィアまで馬で駆けるシーザー・ロドニーが描かれているのだと思います。
デラウェア州の商業都市「ウィルミントン:Wilmington」のロドニー・スクエアにあるシーザー・ロドニーの銅像です。
ロドニー・スクエアは,シーザー・ロドニーにちなんで名付けられた公共広場と歴史的地区です。
「The First State」
デラウェア州の公式な州のニックネームです。
「植民地時代,独立戦争に関係する州ニックネームの話 mohamoha26」をどうぞ,ご覧ください。
最初に独立をした州は13あるのですが,その中でもデラウェア州は,1番最初に合衆国憲法に批准した州です。
「批准」の意味は,最終的な確認や同意の手続きをすることです。
今回は以上です。
今回のページの情報源は以下のとおりです。
「state symbols USA」
「50州25セント硬貨 Wikipedia」
「コインと語源で旅するアメリカ50州」
次回は,大西洋南部地区の残りの4州,ノースカロライナ州,サウスカロライナ州,ジョージア州,フロリダ州の記念コインの紹介をします。
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