アメリカにある美術館の紹介,第16弾です。
今回は,アメリカ南部・西南中部にある美術館の紹介です。
テキサス州ヒューストンにあるヒューストン美術館
同じくテキサス州ダラスにあるダラス美術館
アーカンソー州ベントンビルにあるクリスタル・ブリッジズ・アメリカ美術館
以上の3つの美術館を紹介します。
3つとも独自のランキングで32位以内に入った美術館です。
- ヒューストン美術館:The Museum of Fine Arts, Houston(テキサス州ヒューストン市)
- キース・ヴァン・ドンゲン:Kees van Dongen「ヒナゲシ:The Corn Poppy」
- フラ・アンジェリコ:Fra Angelico「Saint Anthony Abbot Shunning the Mass of Gold」
- フランシスコ・デ・ゴヤ:Francisco de Goya「Still Life with Golden Bream」
- ダラス美術館:The Dallas Museum of Art(テキサス州ダラス市)
- トゥールーズ=ロートレック:Toulouse-Lautrec「Prostitutes (Femmes de Maison)」
- フィンセント・ファン・ゴッホ:Vincent van Gogh「Sheaves of Wheat」
- ピート・モンドリアン:Piet Mondrian「Farm Near Duivendrecht, in the Evening」「Apple Tree, Pointillist Version」「Windmill」
- レオン・フレデリック:Léon Frédéric「Nature or Abundance」
- クリスタル・ブリッジ・アメリカ美術館:Crystal Bridges Museum of American Art(アーカンソー州ベントンビル市)
- ロキシー・ペイン:Roxy Paine「Yield」
- ルイーズ・ブルジョワ:Louise Bourgeois「Maman」
- ディル・チフーリ:Dale Chihuly「Fiori Boat」
- ロバート・インディアナ:Robert Indiana「Love」
- トム・ウトテック:Tom Uttech「Enassamishhinjijweian」
- ザ・モメンタリー:THE MOMENTARY(クリスタル・ブリッジ・アメリカ美術館別館)
ヒューストン美術館:The Museum of Fine Arts, Houston(テキサス州ヒューストン市)
ヒューストン美術館の展示面積は,アメリカで5本の指に入る規模を誇ります。
ヒューストン美術館の起源は,1900年までに遡り,公立学校での芸術文化教育のために設立されたヒューストン・パブリック・スクール・アート・リーグです。
1924年に美術館本館が開館し,その後,数々の増築を繰り返し,施設も増やしていきます。
さらに,テキサス州の資産家たちからの寄贈があり,所蔵品も充実していきます。
現在の「ヒューストン美術館」は,複合施設になっています。
大きく分けて3つ,細かく分けると5つの敷地に,いろいろな施設があるため,ここでは主だった建物を紹介します。
「キャロライン・ワイス・ロウ・ビルディング:Caroline Wiess Law Building」
本館にあたります。
上の画像の建物です。
主に,アジア,アフリカ,イスラム,ネイティブアメリカン,太平洋諸島,オーストラリアのコレクションを展示しています。
同じ敷地の中に「ブラウン・オーデトリウム・シアター:Brown Auditorium Theater」や「キンダー・ファウンデーション・エドュケーション・センターKinder Foundation Education Center」などがあります。
「オードリー・ジョーンズ・ベック・ビルディング:Audrey Jones Beck Building」
本館にメインストリートを挟んだ所にある建物です。2000年に開館しました。
主に古代美術,ヨーロッパ,アメリカ,写真,版画,ドローイングなどのコレクションを展示しています。
「リリー・アンド・ヒュー・ロイ・カレン彫刻庭園:Lillie and Hugh Roy Cullen Sculpture Garden」
道路を挟んで,本館の北に造られた彫刻庭園です。
あの日系アメリカ人の彫刻家イサム・ノグチの設計で,1986年に公開されました。
「ブラウン・ファウンデーション・inc・プラザ:Brown Foundation, Inc. Plaza」と連動していて,訪問者に自然と彫刻を楽しむための散歩コースを提供しています。
「グラッセル美術学校:Glassell School of Art」の一部が「PNC ルーフ ガーデン:PNC Roof Garden」と呼ばれていて,屋根が庭園になっています。
画像の左の建物がグラッセル美術学校で,屋根が斜めになっていて,屋上の庭園を歩けるようになっています。
「ナンシー・アンド・リッチ・キンダー・ビル:Nancy and Rich Kinder Building」
カレン彫刻庭園の横にある施設で,主に近代美術と現代美術のコレクションを展示しています。
「バイユー・ベンド・コレクション:Bayou Bend Collection and Gardens」
世界で最も優れたアメリカの家具,銀,陶器,絵画のコレクションがある邸宅と庭園があります。
ヒューストンの慈善活動家・美術品収集家の女性「アイマ・ホッグ:Ima Hogg」の邸宅でした。
1928年に建てられた邸宅です。
ホッグは1957年にコレクションと邸宅を美術館に寄付し,1966年に公開されました。
「リエンツィ:Rienzi」
ヒューストンの美術のパトロンであったマスターソン夫妻の邸宅にヨーロッパの装飾美術,絵画,家具,磁器,ミニチュアの豊富なコレクションが展示されています。
1991年に夫妻の死後に美術館に寄贈されるという契約が交わされ,1997年に美術館に引き渡されて,1999年に公開されました。
バイユー・ベンド・コレクションより少しだけ本館よりのところに位置しています。
それでは,ヒューストン美術館の所蔵品の紹介をします。
最初に私がヒューストン美術館の中で一番鑑賞したい絵を紹介します。
あくまでも個人的なもので,ヒューストン美術館を代表する絵となるともっと他のものになると思います。
キース・ヴァン・ドンゲン:Kees van Dongen「ヒナゲシ:The Corn Poppy」
キース・ヴァン・ドンゲン:Kees van Dongen
「ヒナゲシ:The Corn Poppy」
c. 1919
Oil on canvas
キース・ヴァン・ドンゲンは,フォーヴィスムのオランダ系フランス人画家です。
フォーヴィスムというとマティスを思い浮かべると思いますが,ドンゲンはオランダからパリに移り住み,マティスと交流を持ちます。
また,エコール・ド・パリの住人で,現在の著名な画家たちとも交流がありました。
「エコール・ド・パリ」の定義や主だった人物についてはウィキペディアへのリンクを貼っておきます。
ドンゲンについては,以前にミルウォーキー美術館を紹介したページにて,作品を紹介しています。
美人画で名を成し,大正時代の浮世絵師と言われた「竹久夢二」が,ドンゲンの「黒猫を抱いた女」を真似て「黒船屋」という代表作を生み出したことを紹介しました。
「アメリカの美術館32選!【クリーブランド美術館・ミルウォーキー美術館・シンシナティー美術館】 mohamoha59」
ドンゲンの描く女性と竹久夢二が描く女性は,よく似ています。
アーモンド型の目と長いまつ毛を持つ女性たちは,どこか儚い印象を持っています。
ドンゲンの他の作品は,女性たちがとても官能的で退廃的なものもあります。
さて,画像の「ヒナゲシ」ですが,私は個人的にドンゲンの一番の代表作と言ってよいと思っています。
儚い印象を持つ女性にフォーヴィスムらしい彩色をされたバンダナと唇。
瞳は潤んでいるようにも見えます。
「ヒナゲシ」について調べてみると,この様なことがわかりました。
・小麦畑に生える雑草で,真っ赤な花をつける。
・第一次大戦後,戦死した兵士の象徴とされている。
・アメリカでは大戦のメモリアル・デーに,赤い紙で作ったヒナゲシの造花が売られ,その収益は老兵の福祉などに充てられる。(ヨーロッパでも同様)
もしかすると,描かれた女性は戦争で恋人をなくしているのかもしれません。
この様な推測無しにしても,描かれたこの女性はとても強いインパクトとともに哀愁を感じさせてくれます。
フラ・アンジェリコ:Fra Angelico「Saint Anthony Abbot Shunning the Mass of Gold」
フラ・アンジェリコ:Fra Angelico
「Saint Anthony Abbot Shunning the Mass of Gold」
c. 1435–1440s
Tempera and gold leaf on panel
初期ルネサンスを代表するイタリアの画家,フラ・アンジェリコです。
やっと私のブログで,フラ・アンジェリコを紹介することができます。
フラ・アンジェリコは生存時,民から「福者アンジェリコ」と呼ばれるほど,宗教的モチーフを題材とした絵画を描く才能に優れていました。
フラ・アンジェリコの代表作を挙げるとすれば,私はスペインのマドリードにあるプラド美術館所蔵の「受胎告知」を挙げます。
絵に興味がある方なら,必ずこれまでに一度は雑誌等で目にしているはずです。
ルネサンス期の画家というとダヴィンチの名が最初に出てくると思いますが,時系列にすると,最初にフラ・アンジェリコ,次にボッティチェリ,その後にダヴィンチやラファエロとなります。
フラ・アンジェリコが活躍した初期のルネサンスでは,まだゴシック様式の影響がかなり残っている時期です。
同時期には,オランダにヤン・ファン・エイクという天才画家が活躍しています。
フランシスコ・デ・ゴヤ:Francisco de Goya「Still Life with Golden Bream」
フランシスコ・デ・ゴヤ:Francisco de Goya
「Still Life with Golden Bream」
1808-12
oil on canvas
今回,もう一人,まだ私のブログで紹介していない巨匠を選びました。
スペインのロマン主義の巨匠,ゴヤです。
ロマン主義のさきがけの画家と言えばよいと思います。
それまでの古典主義の絵画に対し,ロマン主義はあまり明暗をつけずに落ち着いた色彩で表しているのが特徴だと言われています。
また,ロマン主義は民衆文化を取り入れたところも特徴です。
ナポレオン軍による市民虐殺を告発したゴヤの絵画を先駆けに,フランスのジェリコーやドラクロワが現実に起きた悲劇を市民目線で絵を描きました。
また,イギリスではターナーが同時代の風景や出来事を独自の色彩で描きました。
宗教や歴史を重んじる古い芸術に対し,ロマン主義は同時代の起きた事件や風景,人物を生き生きと描きました。
スペインでは,ゴヤの前にベラスケスという巨匠がいました。
バロック期の画家になります。
スペインの画家と言えば,この2大巨匠,ゴヤとベラスケスを覚えておけばばっちりだと言えます。
さて,ゴヤは宮廷画家でしたので,今回紹介する魚の静物画はとても珍しい作品です。
ゴヤの代表作は「着衣のマヤ」「裸のマヤ」になります。
両方ともスペインのマドリードにあるプラド美術館が所蔵しています。
また,ゴヤには「黒い絵」と呼ばれる作品が14点あります。
晩年に住まいの部屋の壁に描いた一連の絵画を指します。
黒を主とした暗い絵のために,このように呼ばれています。
現在は,全てプラド美術館に所蔵されています。
その中の1枚に「我が子を食らうサトゥルヌス」があり,代表作になっています。
絵をご覧になりたい方は,調べてみてください。
「着衣のマヤ」「裸のマヤ」「我が子を食らうサトゥルヌス」で検索をかければすぐに見つかります。
これで,ヒューストン美術館の紹介を終わります。
ダラス美術館:The Dallas Museum of Art(テキサス州ダラス市)
ダラス市内の「アート・ディストリクト:the Arts District」にある美術館です。
ダラス美術館の歴史は古く,1903年に遡ります。
最初は公立図書館で展示を始めたそうですが,どんどん大きくなり,1984年に現在のアート・ディストリクト地区に新たな美術館として開館されました。
アート・ディストリクト地区にはいろいろな文化施設や商業施設があり,かなり雰囲気のある繁華街です。
アート・ディストリクト地区から約1㎞離れたところに「ディーレー・プラザ:Dealey Plaza」と呼ばれる地区があります。
アメリカのダラスと言えば,カンの良い方はピンと来たはずです。
ジョン・F・ケネディ大統領が暗殺された場所です。
ダラス市内をオープンカーに乗ってパレード中の,このディーリープラザを通過する時でした。
ディーリープラザの一角にある茶色の建物の6階,角部屋から狙われました。
当時は「教科書倉庫」と呼ばれていたそうですが,現在は「The Sixth Floor Museum」という博物館になっています。
話をダラス美術館に戻し,ダラス美術館の所蔵作品を紹介します。
トゥールーズ=ロートレック:Toulouse-Lautrec「Prostitutes (Femmes de Maison)」
トゥールーズ=ロートレック:Toulouse-Lautrec
「Prostitutes (Femmes de Maison)」
c. 1893–1895
Pastel on emery board
ロートレックのパステル画です。
ロートレックと言えば,リトグラフのポスターなのですが,ダラス美術館はかなりの数のポスターを所有しています。
ロートレックについては,シカゴ美術館を紹介したときに油彩画を紹介し,そこに詳しく説明しています。
覗いてみてください。
アメリカの美術館32選!【シカゴ美術館】 mohamoha58
フィンセント・ファン・ゴッホ:Vincent van Gogh「Sheaves of Wheat」
フィンセント・ファン・ゴッホ:Vincent van Gogh
「麦束:Sheaves of Wheat」
July 1890
Oil on canvas
これで,このブログでゴッホの作品を紹介するのは15作目です。
制作が1890年の7月になっていますが,この7月はゴッホが自殺を図って亡くなる月になります。
ピート・モンドリアン:Piet Mondrian「Farm Near Duivendrecht, in the Evening」「Apple Tree, Pointillist Version」「Windmill」
ピート・モンドリアン:Piet Mondrian
「Farm Near Duivendrecht, in the Evening」
About 1916 (reprise of a compositional series from 1905–1908)
Oil on canvas
ピート・モンドリアン:Piet Mondrian
「Apple Tree, Pointillist Version」
1908–1909
Oil on composition board
ピート・モンドリアン:Piet Mondrian
「Windmill」
About 1917
Oil on canvas
モンドリアンは私が好きな作家です。
一気にダラス美術館所有の作品を3つも紹介しました。
3作,紹介するのには訳があります。
モンドリアンと言えば,赤・青・黄の三原色の正方形の構成による作品で有名です。
私はよく知られたモンドリアンの三原色の作品よりも木や風車を描いた作品など,その前に制作されたものの方が好きです。
それらの作品が,この3枚になります。
モンドリアンは,初期には1枚目のような風景や樹木などを描いていました。
それから,徐々にそれらが抽象的になっていきます。
2枚目の「リンゴの樹」は連作なのですが,樹木の形態が徐々に単純化され,やがて完全な抽象になる過程がわかります。
3枚目の風車も連作なのですが,私がとても好きな絵の中の一つです。
レオン・フレデリック:Léon Frédéric「Nature or Abundance」
レオン・フレデリック:Léon Frédéric
「豊穣の本質:Nature or Abundance」
1897
Oil on canvas
レオン・フレデリックは,ベルギー・ブリュッセル出身の象徴主義の画家です。
象徴主義とは,19世紀後半にヨーロッパで起こった芸術で人間の内面などを象徴的に表現するものです。
フレデリックを紹介するのは私のブログでは2度目になります。
前回はフィラデルフィア美術館所蔵の彼の代表作である「四季:The Four Seasons」を紹介しました。
今回の「豊穣の本質」も彼の代表作になります。
これでダラス美術館の紹介を終わります。
最後になりましたが,ダラス美術館は入場無料です!
クリスタル・ブリッジ・アメリカ美術館:Crystal Bridges Museum of American Art(アーカンソー州ベントンビル市)
クリスタル・ブリッジ・アメリカ美術館は,アーカンソー州のベントンベル市にあります。
アーカンソー州と言えば,「自然が豊かな州:The Natural State」のニックネームを持つほどの自然に恵まれたところです。
その自然と芸術が融合された美術館がクリスタル・ブリッジ・アメリカ美術館です。
グーグルマップでは「水晶橋美術館」となっていて吃驚しました。
「水晶橋美術館」では誰もわからないと思うのですが…。
アーカンソー州ベントンビル市と言えば,世界最大の小売業者であるウォルマートの発祥の地でもあります。
ウォルマートの本社がベントンビル市にあります。
サム・ウォルトンが1950年にベントンビル市で「the Harrison Variety Store」を購入し,1951年に「Walton’s 5 and 10 Variety Store」をオープンしたのが,ウォルマートの始まりです。
ウォルマートを紹介したのには訳があります。
ウォルマートの創始者,サム・ウォルトンの娘であるアリス・ウォルトンが,このクリスタル・ブリッジ・アメリカ美術館を設立しました。
詳しく言うと,彼女を中心としたウォルトン・ファミリー財団の豊富な資金により建てられたのです。
子どもの頃からアリス・ウォルトンは芸術に情熱を持っていました。
しかし,アーカンソー州北部には近くに主要な博物館はなく,芸術に触れる機会がほとんど無かったことをとても残念に思っていたそうです。
数年後,アリスはクリスタル・ブリッジ・アメリカ美術館の創設の原動力となり,アーカンソー州にとても魅力的な建物をオープンさせたのでした。
美術館の設置場所に,アリスはベントンビルの中心部にある120エーカーの森林渓谷を選び,有名な建築家を選んで,建物を自然に溶け込むように設計したそうです。
既存の小川を活かして池を作り,その池の周囲にガラスと木で建てられた8つの建物を構成しました。
それぞれの建物から周囲の水の風景を見渡せます。
敷地内には,建築の巨匠である故フランク・ロイド・ライトが1950年代に設計した邸宅があります。
元はニュージャージー州にあったものを約2000km離れたアーカンソー州に移築したのでした。
驚くべきことに,ウォルマートが美術館の設立に大きく関わり,設立後も贅沢な資金でコレクションを充実させているのですが,クリスタル・ブリッジ・アメリカ美術館は公共のもので,特別展以外はすべて無料で鑑賞できます。
いろいろな画像を見ると,美術館の敷地内を散歩すると,とても価値のある時間を過ごすことができるようです。
素敵な画像をいくつか紹介します。
CB01443 photo by Jim Gourley on Flickr(Noncommercial use allowed)
クリスタル・ブリッジ・アメリカ美術館のコレクションは,植民地時代から現在までの5世紀にわたるアメリカ芸術に限ります。
私が選んだ所蔵品の紹介をします。
ロキシー・ペイン:Roxy Paine「Yield」
ロキシー・ペイン:Roxy Paine
「Yield」
2011
Stainless steel
ロキシー・ペインはアメリカの彫刻家です。
絵画作品もあるようです。
ロキシー・ペインの代表作は,画像のように自然物である木を金属で制作した作品です。
ニューヨークのマディソン・スクエア・パークにも同じような作品が2つ,アーチのように展示されています。
ルイーズ・ブルジョワ:Louise Bourgeois「Maman」
ルイーズ・ブルジョワ:Louise Bourgeois
「Maman」
1999
Bronze, stainless steel, and marble
ルイーズ・ブルジョワは,フランス出身でアメリカで活動した芸術家です。
女性の芸術家で,アメリカ人の美術史家と結婚しました。
代表作が晩年に制作した画像の「ママン」になります。
「ママン」はフランス語で「母」だそうです。
中心の下の籠のようなところには大理石でできた卵があります。
日本の六本木ヒルズにある森美術館の屋外にも同じシリーズの作品が展示されています。
ルイーズ・ブルジョワは彫刻,版画,絵画といろいろな作品がありますが,インスタレーション・アーティストという肩書があります。
インスタレーションアートとは,オブジェや装置などで空間を構成し,場所や空間全体を作品とするものです。
ディル・チフーリ:Dale Chihuly「Fiori Boat」
ディル・チフーリ:Dale Chihuly
「Fiori Boat」
2016
Blown glass and metal boat
アメリカのガラス彫刻家のディル・チフーリの作品です。
ガラス工芸の世界ではかなり著名な作家で,ありとあらゆるガラス彫刻の可能性を見出した方です。
日本には,富山県のガラス工房に来たことがあり,作品を制作しています。
「ガラスは器」という概念を払拭するオブジェには驚かされます。
これらはすべて吹きガラスの製法で作成されています。
ロバート・インディアナ:Robert Indiana「Love」
ロバート・インディアナ:Robert Indiana
「Love」
1966-1999
Cor-Ten steel
アメリカのポップ・アーティストのロバート・インディアナです。
このようにデザインされた「LOVE」をこれまでによく見かけていると思いますが,最初に考えた作家はロバート・インディアナになります。
著作権を持たない主義のために,いろいろな所で模倣されたものがあります。
1965年にニューヨーク近代美術館のクリスマスカードのデザインに採用され,世に広まりました。
赤色の「LOVE」はニューヨークの代名詞のように感じられますが,ニューヨーク近代美術館が大きく関係していると思われます。
また,画像と同じような立体で赤色の作品がニューヨークの6番街55丁目にあります。
アメリカの大都市や主要な美術館には大抵ロバート・インディアナの作品があると思っても過言ではありません。
日本にも,新宿アイランドタワーにあります。
最後にクリスタル・ブリッジ・アメリカ美術館の公式HPで,私が初めて知った作家の素敵な作品を紹介して終わります。
トム・ウトテック:Tom Uttech「Enassamishhinjijweian」
トム・ウトテック:Tom Uttech
「Enassamishhinjijweian」
2009
Oil on linen in artist’s frame
トム・ウトテックは,アメリカの風景画家,そして写真家です。
北米の森林や生息する動物の絵画で知られているそうです。
私がこれまでに紹介した美術館では,ミルウォーキー美術館も作品を所蔵しているようです。
所蔵作品の紹介はこれで終わるのですが,クリスタル・ブリッジ・アメリカ美術館は森の中だけでなく,ベントンビルのダウンタウンにも別館があります。
別館を紹介して終わります。
ザ・モメンタリー:THE MOMENTARY(クリスタル・ブリッジ・アメリカ美術館別館)
ここに使用できる良い画像が無かったため,YouTubeの動画を載せました。
前半はクリスタル・ブリッジ・アメリカ美術館の映像ですが,後半からザ・モメンタリーの外観の映像になっています。
ザ・モメンタリーは,ベントンビル市のダウンタウンにある現代美術に特化した美術館で,コンテンポラリー・アートだけでなく,映像や音楽,ダンスなどのあらゆる芸術を体験できるところです。
本館と同じように公共施設で無料になっています。
2020年の2月22日にオープンしました。
今回はこれで終了です。
今回のページで参考にしたHPは以下の通りです。(各美術館の公式HPは各項の最後に紹介しています。)
Crystal Bridges Museum of American Art(Wikipedia)
次回は,西北中部地区の美術館を紹介する予定です。
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