「アメリカの国立公園32選」の第13弾です。
今回は,フロリダ州にある国立公園を紹介します。
エバーグレーズ国立公園とセブンマイルブリッジです。
オリジナルランキングにて,エバーグレーズ国立公園は20位,セブンマイルブリッジは24位でした。
セブンマイルブリッジは国立公園ではありませんが,ランクインしたからには紹介しないわけにはいけません。
セブンマイルブリッジ周辺の国立公園とともに紹介したいと思います。
それでは,エバーグレーズ国立公園から紹介します。
エバーグレーズ国立公園:Everglades National Park(フロリダ州)
フロリダ半島の南端には,エバーグレーズと呼ばれる湿原地帯があります。
その湿原全体の5分の1のエリアが,世界遺産として登録されています。
その湿原地帯に「エバーグレーズ国立公園」があります。
エバーグレーズ国立公園は,1947年に国立公園として認定され,1979年に世界遺産に認定されました。
1987年には,ラムサール条約登録地としてもリストアップされました。
湿原は海水と淡水が入り混じり,温帯と熱帯の境目のため,さまざざまな動植物が見られます。
国立公園として認定されたものの,開発のために湿原内の魚類が約80%,鳥類が約90%絶滅してしまいました。
1993年に危機遺産に登録されると,漁業を禁止したり,水質汚染などを防ぐプロジェクトなどを企画したりするようになります。
2007年に危機遺産リストから外れましたが,再び水生生物の生態系が悪化し,2010年に再び,危機遺産に登録されました。
現在,固有種を含む1000種以上の植物の他に,700種以上の動物が見られます。
特にアメリカアリゲーターやピューマ,絶滅危惧種のアメリカワニなど,豊かな生態系が特徴です。
これらの動植物は最後に紹介したいと思います。
一番近い都市は,「マイアミ:Miami」になり,近くのビジターセンターまでは約1時間で行けます。
エバーグレーズ国立公園は,大きく分けて,4つのエリアがあります。
そして,それぞれにビジターセンターがあります。
それぞれのエリアと見どころを紹介します。
エバーグレーズ・シティ:Everglades City
マイアミから車で1時間30分離れたところに,「エバーグレーズ・シティ:Everglades City」があります。
公園の北西の外に出たところにある町です。
この町の海岸に近いところに4つのビジターセンターの一つ,「ガルフ・コースト・ビジターセンター:Gulf Coast Visitor Center」があります。
お薦めは,ボートツアーです。
海岸沿いのマングローブのジャングルツアーや小島を巡るツアーがあります。
1時間30分のツアーです。
イルカやマナティーに出会えるかもしれません。
また,エバーグレーズ・シティから出ている「コープランド・アベニュー:S Corpeland Ave」を通り,そのまま「スモールウッド・ドライブ:Smallwood Dr」を通って,「チョカロスキー:Chokoloskee」に行くドライブコースがあります。
折角,フロリダの南端まで来たなら,この短いドライブを楽しみたいところです。
また,マイアミからの道路US-41号線にある「ビッグ・サイプレス・ワイルドライフ・マネージメント・エリア(国立保護区):Big Cypress Wildlife Management Area」を通る「ループ・ロード:Loop Road Scenic Drive」も見逃せません。
ここは,国立公園の中ではないのですが,エバーグレーズの湿原を堪能できます。
片道約38㎞の未舗装道路ですが,普通車でも通れます。
道路の両側には,ヌマスギが生え,枝にはエアプランツが着生し,ところどころに蘭の花も咲いています。
道路のあちこちにワニがいて,運転に注意が必要です。
しかし,5月から10月は雨期で,ワニを観察することが難しくなり,蚊の大群が発生するそうです。
シャークバレー:Shark Valley
マイアミから1時間ぐらいのドライブで,「シャークバレー・ビジターセンター:Shark Valley Visitor Center」に着きます。
ここは,エバーグレーズ国立公園の北の中央にあります。
「シャークバレー・ビジターセンター:Shark Valley Visitor Center」から,「オッター・ケーブ・ハンモック・トレイル:Otter Cave Hammock Trail」が出ています。
トレイルの終点には,「シャーク・バレー・オブサーヴェイション・タワー:Shark Valley Observation Tower」があります。
往復で24㎞の道のりになります。
歩いて行くと,往復で5時間強もかかり,1日コースになります。
そのために,レンタルのサイクリングやトラムツアーがあります。
トラムツアーの所要時間は約2時間です。
12月から3月のシーズンは,予約をすることをお薦めします。
ロイヤルパーム:Royal Palm
マイアミから州道9336号線を走ると,約1時間で,「アーネスト F. コー・ビジター・センター:Ernest F. Coe Visitor Center」に着きます。
エバーグレーズ国立公園の中で一番大きなビジターセンターになります。
エバーグレーズ国立公園の詳細を知るためにもぜひ寄るべきところです。
国立公園の看板は,このビジターセンターの手前にあります。
このビジターセンターから約6.5㎞のところに,「ロイヤルパーム:Royal Palm」があります。
「ロイヤルパーム:Royal Palm Visitor Center」周辺には,2つの価値のあるトレイルコースがあります。
「アンヒンガ・トレイル:Anhinga Trail」
1周1.2km
所要時間30分
標高差無し
ワニやカメが多く,朝方や夕方には,水鳥が集まるトレイルです。
「ガンボリンボ・トレイル:Gumbo Limbo Trail」
往復3.6㎞
所要時間往復50分
標高差無し
熱帯ジャングルの中を進むトレイルです。
マイアミからの州道9336号線で,ロイヤルパームの方に曲がらずに,そのまま15分走ると「パハヨキーロード:Pa-Hay-Okee Rd」に行く三叉路に出ます。
そちらの方に行くと,行き止まりになり,「パハヨキー・トレイル:Pa-Hay-Okee Trail」になります。
トレイルと言っても,約3分のウォーキングで,「パハヨキー展望台:Pa-Hay-Okee Lookout Tower」に到着します。
「ソーグラス:Saw Grass」が一面に生えているパノラマが見渡せます。
上の画像のような光景です。
フラミンゴ:Flamingo
マイアミからの州道9336号線(パークロード)の行き止まりに「フラミンゴ:Flamingo」があります。
フロリダ湾に面したビレッジで,「フラミンゴ・ビジターセンターFlamingo Visitor Center」もここにあります。
小島群やマングローブを回るボートツアーがあります。
画像のようにカヤックをレンタルすることもできます。
エバーグレーズ国立公園で会える動植物
「アメリカ・マナティ:Trichechus manatus」
フロリダ半島は,「アメリカ・マナティ:Trichechus manatus」で有名です。
エバーグレーズ国立公園だけに生息しているわけではありません。
ボートやカヤックで散策しているときに,偶然出会ったらラッキーぐらいに思っていた方がよいと思います。
どうしても,マナティーに会いたければ,同じフロリダ州の「クリスタルリバー:Crystal River」です。
フロリダ州クリスタルリバー市は,「マナティーのふるさと:Home of the Manatee」と呼ばれています。
クリスタルリバーと隣町の「ホモサッサ:Homosassa」は,アメリカで唯一,マナティーと一緒に泳ぐことが法的に認められている地域です。
「ミシシッピワニ:American Alligator(Alligator mississippiensis)」
エバーグレーズ国立公園で見られるワニは,ほとんどがミシシッピワニです。
「American Alligator」とか「Alligator mississippiensis」と呼ばれます。
現在100万頭いると言われていますが,1969年代には乱獲で絶滅危惧種になっていました。
比較的おとなしく,人を襲うことはありませんが,近づきすぎると餌と間違えられて襲われることがあります。
国立公園のルールでは,4.5m以内に近寄ってはいけないとされています。
アメリカワニ:American crocodile(Crocodylus acutus)
エバーグレーズ国立公園ではほとんど見られませんが,アメリカワニも生息しています。
「American crocodile」とか「Crocodylus acutus」と呼ばれます。
アメリカワニは,ミシシッピワニと比べると一回り大きく,緑っぽく,より獰猛な性格をしています。
見分けるときの一番の違いは,口を閉じたときに,画像のように下の牙が見えるときは「クロコダイル」なのだそうです。
エバーグレーズ国立公園では,まれにフラミンゴの海岸沿いで見られるようです。
数が少ないために保護の対象になっています。
「ベニヘラサギ:Roseated Spoonbill」
「オオシラサギ:Great White Heron」
エバーグレーズ国立公園には様々な水鳥が生息しています。
ベニシラサギとオオシラサギは,19世紀には帽子の飾りが大流行して,乱獲され,絶滅の危機に陥った鳥たちです。
現在は,エバーグレーズ国立公園にてよく見かけられます。
他に,コウノトリ,トキ,ツル,ミサゴ,ハクトウワシなども見られます。
セブンマイルブリッジ:Seven Mile Bridge(フロリダ州)
マイアミから国道1号線(US1)を通って,約4時間のドライブで,フロリダキーズ諸島の一番端のキーウェスト島へ向かいます。
途中,島々を渡っていくのですが,島と島を結ぶ橋から眺めるフロリダの海は絶景です。
その中でも特に有名なのが「セブンマイルブリッジ:Seven Mile Bridge」です。
その名の通り,約7マイル(約11m)にも及ぶ大橋です。
過去のブログに,セブンマイルブリッジを紹介したページがありますので,そちらを紹介します。
アメリカの博物館32選!【ケネディ宇宙センター】【アーネスト・ヘミングウェイ博物館】 mohamoha106
セブンマイルブリッジは,国立公園ではありません。
しかし,セブンマイルブリッジ周辺には2つの国立公園と1つの州立公園があります。
ビスケーン国立公園:Biscayne National Park
マイアミから国道1号線(US1)をそのままドライブすると,セブンマイルブリッジに行きますが,反対の方向にドライブすると,「ビスケーン国立公園:Biscayne National Park」に行けます。
ビスケーン国立公園は,大西洋岸に残る貴重な海の生態系を守る海中公園です。
公園の95%は海水域で,湾岸には広大なマングローブ林が広がっています。
「ビスケーン湾:Biscayne Bay」にあり,アメリカ国屈指のスキューバ・ダイビングスポットでもあります。
主なアトラクションは,湾内のサンゴ礁でのスキューバ・ダイビングやシュノーケリングです。
グラスボートツアーに参加したり,カヤックを借りてビスケーン湾とフロリダ・キーズを見て回ることもできます。
ドライ・トートゥガス国立公園:Dry Tortugas National Park
セブンマイルブリッジの終点は,キーウエストですが,そこよりもさらに,西へ約109㎞行ったところにあるのが,「ドライ・トートゥガス国立公園:Dry Tortugas National Park」です。
もちろん橋は架かっていないため,行くには,日帰りの船に乗るか,飛行艇に乗るしかありません。
船の場合,片道2時間半,飛行艇の場合,片道40分要します。
ドライ・トートゥガス国立公園には,未完成の要塞がありました。
メキシコ湾岸のアメリカの防御のために,1846年にジェファーソン砦の建設が始まりました。
「ジェファーソン砦」の名前は,第3代大統領トーマス・ジェファーソンに因んで名付けられたそうです。
南北戦争中は,建設支援として囚人も連れてきました。
南北戦争後は,エイブラハム・リンカーン大統領暗殺の共犯者である4人の罪人も連れてこられて,建設支援に加わりました。
しかし,未完成のまま,1888年に建設を中止しました。
1935年にフランクリン・ルーズベルト大統領がこの地を訪れ,国定史跡に指定しました。
1970年にアメリカ歴史遺産に登録され,1976年にエバーグレーズ国立公園と共にユネスコの世界自然遺産に指定されました。
そして,1992年にジェファーソン砦を含め,ドライ・トートゥガスは国立公園となりました。
ドライ・トートゥガス国立公園では,シュノーケリング,ピクニック,スキューバ・ダイビング,海釣り,野鳥観察が楽しめます。
特に,野鳥観察は,この地が渡り鳥のルート上に位置するためにろいろな鳥がやってくるそうです。
フロリダキーズ諸島:Florida Keys
ここでは,キーウエストとセブンマイルブリッジ以外の国道1号線(US1)が通る島々を紹介します。
「キーラーゴ島:Key Largo」
フロリダキーズの玄関口にあたり,最も長い島です。
海中公園の「ジョン・ペネカンプ・コーラル・リーフ州立公園:John Pennekamp Coral Reef State Park」があり,マングローブの林の大自然をカヤックやカヌーで満喫できます。
マイアミから車で約1時間半ほどの距離なので,マイアミ観光の合間に気軽に行くこともできます。
「イスラモラダ島:Islamorada」
キーラーゴ島の次にあるイスラモラダ島は,「スポーツフィッシングの世界的聖地」として知られています。
島のいたるところで釣り船をチャーターできます。
また近隣には,「ロング・キー州立公園:Long Key State Park」や「カレー・ハンモック州立公園:Curry Hammock State Park」があります。
島内には宿泊施設や飲食店も多く,ハイキングや動物と触れ合える観光スポットも豊富にあります。
観光の拠点にすると便利です。
「マラソン島:Marathon」
フロリダキーズ諸島の中心部にあたるマラソン島では,ウミガメの病院やドルフィンリサーチセンターがあり,ファミリーや動物好きが楽しめる島です。
セブンマイルブリッジはここから始まります。
「ビッグ・パイン・キー:Big Pine Key」と「ローワーキーズ:the Lower Keys」
セブンマイルブリッジのもう一方の端になります。
いろいろな小島をまとめてローワーズ・キーズと呼んでいます。
「バイーヤ・ホンダ州立公園:Bahia Honda State Park」では,ネイチャートレイルやサンドスパービーチでキャンプを楽しむことができます。
州立公園の入場料がかかりますが,トイレやシャワーも完備されたビーチを楽しめます。
そして,終点のキーウエストがあります。
キーウエストについては,↑過去のページを見てください。↑
今回はこれで終わります。
次回も「アメリカの国立公園32選!」を予定しています。
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