「ハートランド」から始まった地域の呼び名探しでは,調べているといろいろなことが分かってきます。
今回は,「行政的な区分」から調べていき,「自然環境」からの呼ばれ方,そして,「○○ベルト」と呼ばれる地域やその理由へと進めたいと思います。
政府による地域区分
日本には47都道府県がありますが,アメリカは50の州とワシントンDC(コロンビア特別区)です。
これらを政府が区分けをしています。
4つの地域(Resion):「西部」「中西部」「北東部」「南部」
9つの地域(Division):上の地域をさらに,西部を2つ,中西部を2つ,北東部を2つ,南部を3つに分ける
制作に時間がかかったけど,旅行中は,あまりこの区分けは意識しないような気がします…。
タイムゾーン(標準時間帯)での地域区分
アメリカは国土が広いため,国内にて時差があることはご存じのことと思います。
ややこしいのは,州の境と一致してないってことなんですよね。
他に,アラスカ標準時とハワイ標準時があります。
日本に一番近いタイムゾーンは,ニューヨークのある「東海岸標準時」です。
日本に近いといっても14時間の差があります。
アメリカの方が遅いです。
日本が1月1日の午前0時,新年が明けるときは,アメリカの東海岸では12月31日の午前10時になります。
そして,西に行けば1時間ずつ遅くなります。
日本:1月1日午前0時
東海岸(ニューヨークなど):12月31日午前10時
中西部(シカゴなど):12月31日午前9時
山岳部(ソルトレイクシティーなど):12月31日午前8時
太平洋(ロサンゼルスなど):12月31日午前7時
これに,アメリカはサマータイムがあるので,なおさらややこしくなります…。
調べると,2020年のサマータイム期間は,3月8日2:00~11月1日2:00になっています。
始まりは2:00になると同時に1時間進むため3:00になり,終わりは2時になると同時に1時間遅くし1:00にするのだそうです。
これまで,実施していなかったところが実施されたり,実施期間が変わったりしているので,約10年後の旅行の時には,また制度が変わっているかもしれません。
土地など自然環境からの名称
何と言っても,土地の様子が名前になっている代表は「プレーリー」だと思っています。
「大草原の小さな家」の原題は「 リトルハウス・オン・ザ・プレーリー:Little House On The Prairie」です。
プレーリーを大草原と訳しています。
他にも「グレート・プレーンズ」や「マウント・ロッキー」があります。
詳しく調べてみると,次のように区分けをすると理解しやすかったです。
プレーリー:大草原地帯(温暖で雨量もあり,草が高く育つ。西経100°線から東はミシシッピ川辺りまで。もともと草木が良く育つ。)
グレート・プレーンズ:大平原地帯(乾燥地であり,丈の短い草しか生えない。ロッキー山脈から西経100°線辺りまで。灌漑などにより農業も発達している。)
他にも「ロッキー山脈」「アパラチア山脈」「シエラネバダ山脈」「グレート・ベイスン」を地図に書き込みました。
これらの地形は,国立公園と密接に関係していて,これから役に立つと考えたからです。
ピンク色でわかりにくいですが,以前紹介した「ミシシッピ・デルタ」も書き込みました。
「ブルーグラス」は,ケンタッキー州の中央辺りの呼び名で,牧草地の牧草からくる名前だとわかりました。
北国向きの芝生で,日本でも洋芝の一つとして売られているようです。
私は「ブルーグラス」というと「カントリーミュージック」が頭に浮かぶのですが,牧草がケンタッキー州の呼び名になるのが最初だったんですね。
カントリーミュージックで言えば,「ブルーグラス・ミュージック」の由来は,ケンタッキー州出身のバンド「ブルーグラス・ボーイズ」が由来だそうです。
バンド名は間違いなく,ケンタッキー州がブルーグラスと呼ばれているところからつけたとしか思えません。
突然ですが,新婚旅行の思い出です。
オーランドのダウンタウンのCDショップに立ち寄り,店員さんに
「ブルーグラス・ミュージックで,あなたのおすすめのアーティストのアルバム1枚を教えてください。」
と尋ねたところ,
「ブルーグラスはケンタッキー州のこと。カントリー・ミュージックのおすすめならこれよ!」
と渡されたのが「ガース・ブルックス」のベスト盤のこれ。
新婚旅行後は,通勤の車の中でよくこれを聴いていました。
グーグルアースの地形図をみると,アメリカ本土の地形がよくわかって面白いです。
ロッキー山脈とグレートプレーンズ,プレーリーが見事に色の違いであらわされています。
これは,標高が約450mでだいたいグレートプレーンズとプレーリーを区分されるからであり,それがだいたい西経100°ということだそうです。
このように,自然環境からの地域の呼ばれ方を調べていくと,
「どこまでも続く小麦畑を見たい」
「どこまでも続くトウモロコシ畑を見たい」
「どこまでも続く綿花畑を見たい」
と思えてきて,けっこう夢が膨らみます。
「○○・ベルト」と呼ばれる地域の紹介
まずは,農業関係から調べました。
どこの州に行けば,どこまでも続く「○○畑」が見られるのか,との思いからです。
「コーン・ベルト」
五大湖の南の州「ミネソタ州」「オハイオ州」「イリノイ州」「アイオワ州」「ネブラスカ州」です。
プレーリーとほぼ重なりますね。
コーン・ベルトは,大豆の産地でもあることから「グレイン・ベルト」とも呼ばれるようです。
「グレイン」は「穀物」の意味です。
「ウィート・ベルト」
コーン・ベルトの西側の地帯です。
春小麦の産地:北の方で「ノースダコタ州」「サウスダコタ州」「モンタナ州」
冬小麦の産地:「カンザス州」
が主な産地です。
農業関連の大企業「穀物メジャー」がこれらの穀物の流通をしていて,「ミシシッピ川」を利用して,ニューオリンズ港に運ばれているそうです!
車社会の現代でも,やっぱりミシシッピ川は郵送経路には欠かせないのですね。
「コットン・ベルト」
「ジョージア州」「アラバマ州」「ミシシッピ州」「アーカンソー州」など
これは言わずもがなの「南部」ですね。
現代は機械による綿摘みで,プランテーション時代の過酷な労働環境ではないようです。
広い広い畑で,大きなコンバインで収穫しているところをどこかで見てみたい…。
さて,他の「○○ベルト」を見ていきます。
「サン・ベルト」
北緯36度ぐらいより南の地域
暖かい気候で,晴れ渡った青空,太陽が光照らす地域というイメージでしょうか。
地図では,楕円でしか表せないのでかなり大雑把だと思ってください。
「フロスト・ベルト」
冬が厳しくとても寒い地域で,雪もかなり降る。
「ソルト・ベルト」とも呼ばれます。
道路の凍結を防ぐために道路に塩をまくからだそうです。
塩をまくわけは,塩で水が凍る温度を下げ,雪や水分が凍りつくのを防ぐためです。
アメリカの冬の寒さで思い出すのは,「大草原の小さな家」の始まりの回です。
引越先で(確かミズーリ州からミネソタ州に引っ越したと記憶してます),エドワーズおじさんに出会い,独り者のエドワーズおじさんを家に招待したときのことです。
外はかなりの吹雪で,エドワーズおじさんが家にやってきたときには,全身凍って真っ白で,その姿を見たローラの妹のキャリーが
「サンタクロースだ!」
と喜びます。
そう,その日はクリスマスの日だったのです。
「スノー・ベルト」
アメリカでもっとも降雪量が多い地域です。
もちろん,フロスト・ベルトの中の一部です。
五大湖の影響でミシガン州やニューヨーク州などの五大湖沿岸はかなりの量が降るようです。
日本でいう日本海側と一緒ですね。
このアメリカ全土の地図を完成してから,しまったと思ったことがあります。
五大湖をしっかりと書いておけばよかった。
地図上では,五大湖も州の一部になっていたので州として輪郭を描いてしまいました。
時間があれば,作り直すかもしれません。
五大湖周辺で,もう一つベルト地帯が見つかりました。
「ラスト・ベルト」
ラストの綴りは「最後」の意味の「last」ではなく,「錆びついた」という意味の「rust」です。
かつては鉄鋼や自動車でにぎわっていたこの地域は,1970年代に入るとだんだんと廃れていきます。
そのような状況から「錆びついた地域」なのでしょう。
私は真っ先に「ロボコップ」で知られるデトロイトが思いつきます。
「デイリー・ベルト」
ウィスコンシン州を中心に五大湖の周辺は,酪農が盛んです。
酪農から乳製品が生産されます。短い,涼しい夏には,固い小さな穀物が繁栄するそうで,酪農に適しているそうです。
「バイブル・ベルト」
「バイブル」はご存じの通り,聖書のこと。
アメリカの中で,教会の礼拝への出席率が高い地域です。
アメリカはもちろんプロテスタントですから,敬虔なクリスチャンではないにしろ,教会が生活に密着していることは「大草原の小さな家」からも理解できます。
次は,バイブル・ベルトの真反対の地域です。
「アンチャーチド・ベルト」
「チャーチ」は教会。それに「アン」がついてますからその逆の意味。
教会の礼拝への出席率が最も低い地域です。
図ではあまりわかりませんが,ネヴァダ州も含まれています。
これは,ネイティブ・アメリカンの居住区が影響していると私は推測します。
「ジェロー・ベルト」
「ジェロ―:jello」は日本語で「ゼリー」のこと。
はい,あのプルンとしたデザートです。
お菓子が好きな地域ではなく,ゼリーの消費量が多いモルモン教徒の方たちが多い地域です。
モルモン教徒はお酒を飲まないため,スイーツの消費量が多いそうです。
私が住んでいる田舎町でも小学生の頃,モルモン教徒の方たちが布教活動で滞在していました。
ベルト地帯…けっこうあり,このページがこれだけの量になるとは思ってもみませんでした。
いろいろ調べていると,州の名前がそのまま穀物になっているところがありました。
「コーン・ステイト(Corn State)トウモロコシの州」:アイオワ州
「コットン・ステイト(Cotton State)綿花の州」:アラバマ州
「プレーリー・ステイト(Prairie State)プレーリーの州」:イリノイ州
プレーリーの代表はイリノイだったんですね! 大都市シカゴとブルーズ・ミュージックしか思いつきませんでした…。
穀物に関連したニックネームをちょっと見ただけでもこれだけありました。
農業以外にも面白いニックネームがいっぱいありました。
なので,次回からは「州のニックネーム」を紹介します!
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