アメリカの美術館32選!【ホイットニー美術館】【ソロモン R グッゲンハイム美術館】 mohamoha62

美術館紹介

アメリカにある美術館の紹介,第6弾です。

アメリカの美術館を紹介するにあたって,独自のランキングをしています。

詳細についてはこちらをご覧ください。

アメリカの美術館32選!【デトロイト美術館】 mohamoha55

今回も,大西洋中部地方のニューヨーク州ニューヨーク市の美術館を紹介します。

今回はランキングしたニューヨークにある美術館のうち,ホイットニー美術館,ソロモン R グッゲンハイム美術館を紹介します。

  1. ホイットニー美術館: Whitney Museum of American Art(ニューヨーク州ニューヨーク市)
  2. ジョージ・ウェスリー・ベローズ:George Wesley Bellows「Dempsey and Firpo」
  3. エドワード・ホッパー:Edward Hopper「South Carolina Morning」
  4. アンディー・ウォーホル:Andy Warhol「Green Coca-Cola Bottles」
  5. ジョーン・センメル:Joan Semmel「Touch」
  6. デビッド・ベイツ:David Bates「Night Fishing」
  7. ライザ・ルー:Liza Lou「Kitchen」
  8. ニジデカ・アクニイリ・クロスビー:Njideka Akunyili Crosby「Portals」
  9. ソロモン R グッゲンハイム美術館:Solomon R Guggenheim Museum(ニューヨーク州ニューヨーク市)
  10. ヴァシリー・カンディンスキー:Vasily Kandinsky 「Composition 8」
  11. ヴァシリー・カンディンスキー:Vasily Kandinsky 「Amsterdam—View from the Window」
  12. ヴァシリー・カンディンスキー:Vasily Kandinsky「Two Girls」
  13. ヴァシリー・カンディンスキー:Vasily Kandinsky「 Dominant Curve 」
  14. アメデオ・モディリアーニ:Amedeo Modigliani「Jeanne Hébuterne with Yellow Sweater」
  15. アンリ・ルソー:Henri Rousseau「Artillerymen」
  16. マルク・シャガール:Marc Chagall「The Soldier Drinks」
  17. ポール・ゴーギャン:Paul Gauguin「In the Vanilla Grove, Man and Horse」
  18. フィンセント・ファン・ゴッホ:Vincent van Gogh「Mountains at Saint-Rémy」
  19. フランツ・マルク:Franz Marc「Yellow Cow」
  20. エドゥアール・マネ:Édouard Manet「Before the Mirror」
  21. パブロ・ピカソ:Pablo Picasso「Le Moulin de La Galette」
  22. フランティセック・クプカ:František Kupka「Planes by Colors, Large Nude」

ホイットニー美術館: Whitney Museum of American Art(ニューヨーク州ニューヨーク市)

New West Side Downtown Whitney Museum of American Art photo by Brecht Bug on Flickr(Noncommercial use allowed)

ホイットニー美術館は,鉄道王のヴァンダービルト家の一員であるガートルード・ヴァンダービルト・ホイットニーが設立しました。

ホイットニーは自身も彫刻家でありながら,保守的な美術界において,評価されていないアメリカのアーティストたちの作品を購入したり展示したりするなどパトロン活動を続け,その収集したものでホイットニー美術館を設立しました。

当初は,メトロポリタン美術館に寄贈を申し出て断られ,自分の美術館を設立しました。

そのために,ホイットニー美術館はアメリカの現代作家の作品を展示していることが特色です。

常設展示に加え,現在,活動中の作家の作品を集めたビエンナーレ(2年に1回開催される展覧会)も行われています。

ホイットニー美術館は,これまでに4回も場所を変えています。

3つ目の場所が,メット・ブロイヤーだった建物でした。

現在の建物は,関西国際空港ターミナルなどを設計したレンゾ・ピアノが設計しました。

ホイットニー美術館は立地条件がとてもよく,テラスからの眺めは最高のようです。

・ハドソン川沿いにあり,テラスから見る川向こうのジャージー・シティーの摩天楼が素晴らしい。
・ハイライン公園の南の端にホイットニー美術館があるため,ハイライン公園を散策できる。
・近くにリトルアイランドがあり,テラスからはその全体を眺望できる。

ハイライン公園とは,廃止されたニューヨーク・セントラル鉄道のウエストサイド線の高架上に作られた縦長の公園です。

ハイライン公園では,毎年30以上もの芸術的プロジェクトが開催されていて,公園の中で美術館の感覚を味わえるそうです。

リトルアイランドとは,ハドソン川沿いの柱の上に造られた公園です。

280本のコンクリートの柱の上にあります。

リトルアイランドを初めての方は想像できないと思いますので,ホイットニー美術館から見ることのできる景色の画像を載せます。

View From the Whitney Museum of American Art, 6 June 2021  photo by Karl Schultz on Flickr(Noncommercial use allowed)

続いて,ホイットニー美術館のテラスから見ることのできる摩天楼です。

Whitney Museum of American Art balcony view of Jersey City Skyline photo by Brecht Bug on Flickr(Noncommercial use allowed)

ホイットニー美術館所蔵の作品を紹介します。

ホイットニー美術館HPからはダウンロードができないため,Flickrにあるものの中からと限定されますが,私がこれはと思うものを紹介します。

ジョージ・ウェスリー・ベローズ:George Wesley Bellows「Dempsey and Firpo」

Whitney Museum of American Art  photo by Karl Schultz on Flickr(Noncommercial use allowed)

画像中央の作品
ジョージ・ウェスリー・ベローズ:George Wesley Bellows
「ジャック・デンプシーとフィルポ: Dempsey and Firpo 」
1924年
Oil on canvas

第2次世界大戦前に,都会の下町や労働者階級の人々の生活を写実的に描いた画家です。

たしか,この作品の他にもボクシングを題材にした作品があったと記憶しています。

エドワード・ホッパー:Edward Hopper「South Carolina Morning」

South Carolina Morning  photo by Lluís Ribes Mateu on Flickr(Noncommercial use allowed)

エドワード・ホッパー:Edward Hopper
「サウスカロライナ州の朝:South Carolina Morning」
1955年
Oil on canvas

ホイットニー美術館は,エドワード・ホッパーの作品を数多く所有しているそうです。

アメリカでは,エドワード・ホッパーの人気がとても高いと言われています。

その理由として,アメリカの都市や郊外の見慣れた風景を描いているからだと思います。

鮮やかな中にも,ちょっとくすんでいる色彩が独特の雰囲気を出しています。

アンディー・ウォーホル:Andy Warhol「Green Coca-Cola Bottles」

Detail – Green Coca-Cola Bottles (1962)  photo by Andrew Moore on Flickr(Noncommercial use allowed)

アンディー・ウォーホル:Andy Warhol
「緑色のコカ・コーラの瓶: Green Coca-Cola Bottles 」
1962年
Acrylic, screenprint, and graphite pencil on canvas

アンディー・ウォーホルの代表作「緑色のコカ・コーラの瓶」です。

画像は作品の一部を撮影したもので,実際の作品は,緑色の瓶が横に16本,縦に7本並んでいます。

ニューヨーク近代美術館を紹介したページで,ウォーホルの「キャンベルスープの缶:Campbell’s Soup Cans」を紹介しました。

大衆文化から主題を得た作品と紹介しました。

この「緑色のコカ・コーラの瓶」も同じように大衆文化です。

ウォーホルは,この様なシルクスクリーンの手法を用いて,レコードのジャケットや雑誌の表紙のデザインを多く手掛けています。

「 キャンベルスープの缶 」は全部で32種類のスープ缶が描かれているのですが,ホイットニー美術館はこの32枚のうち,「Beef with Vegetables and Barley」「Black Bean」「Chicken Noodle」「Consomme (Beef) Gelatin Added」「Cream of Mushroom」「Green Pea」「Onion Made with Beef Stock」「Pepper Pot」「Tomato」の9枚所蔵しています。

所有している作品は,初版の1962年のものではなく1968年に制作されたものです。

ジョーン・センメル:Joan Semmel「Touch」

Whitney Museum of American Art  photo by JR P on Flickr(Noncommercial use allowed)

ジョーン・センメル:Joan Semmel
「タッチ:Touch」
1975年
Oil on canvas

かなり大胆な構図と題材で,圧倒される作品です。

ジョーン・センメルは女性です。

自分の視点から描く自分の裸体を描いた作品を描いています。

デビッド・ベイツ:David Bates「Night Fishing」

Whitney Museum of American Art  photo by JR P on Flickr(Noncommercial use allowed)

デビッド・ベイツ:David Bates
「夜釣り: Night Fishing 」
1987年
Oil on canvas

私はこの作家をホイットニー美術館公式HPで初めて知ったのですが,かなり印象深い作品のため,紹介することにしました。

デビッド・ベイツは,テキサス州ダラスに住み続けたアーチストで,彫刻作品もあるようです。

筆のタッチが大胆で,ストロークにセンスを感じます。

ライザ・ルー:Liza Lou「Kitchen」

Whitney Museum of American Art  photo by Karl Schultz on Flickr(Noncommercial use allowed)

ライザ・ルー:Liza Lou
「キッチン:Kitchen」
1991–1996年
Beads, plaster, wood and found objects

これは,ミニチュアではありません。

実寸のキッチンです。

素材は,ビーズ,木材,石膏+αで制作されています。

ライザ・ルーは,このビーズの台所の製作でアメリカで有名になりました。

画像だけでは,このビーズの台所のすごさは分からないと思いますので,この「キッチン」の製作過程とルーのインタビューのyoutubeを埋め込んでおきます。

ご覧ください。

現在,ルーはロサンゼルスから南アフリカのダーバンに移住し,50人の南アフリカのビーズワーカーの助けを借りて,多くの彫刻や絵画を制作しています。

ニジデカ・アクニイリ・クロスビー:Njideka Akunyili Crosby「Portals」

Whitney Museum of American Art  photo by JR P on Flickr(Noncommercial use allowed)

ニジデカ・アクニイリ・クロスビー:Njideka Akunyili Crosby
「ポータルズ:Portals」
2016年
Acrylic, solvent transfer, collage of fabric and paper, and colored pencil on paper

この作家も私は知りませんでしたが,この作品を直にじっくりと細部まで鑑賞したいと思ったので,紹介することにしました。

ホイットニー美術館の解説にはこのように書かれていました。

「クロスビーはロサンゼルスを拠点とするアーティストであり,コラージュ,ドローイング,ペインティング,版画を組み合わせた大きな表象作品を制作しています。」

「彼女の作品は,ナイジェリアとアメリカの両方の影響と素材を日常的に融合し,現代のアフリカの生活を反映させています。」

まだまだ紹介したい有名な作品もあるのですが,著作権のこともあり,このへんにしておきます。

以上で,ホイットニー美術館の紹介を終わります。

ホイットニー美術館公式HP

ソロモン R グッゲンハイム美術館:Solomon R Guggenheim Museum(ニューヨーク州ニューヨーク市)

Solomon R. Guggenheim Museum  photo by ajay_suresh on Flickr(Noncommercial use allowed)

ソロモン R グッゲンハイム美術館は,セントラルパーク横,メトロポリタン美術館から歩いて5分の所にあります。

アメリカの鉱山王だったソロモン R グッゲンハイムが収集した近・現代アートを展示している美術館です。

1937年に財団が設立され2年後に開館し,開館の10年後に現在地に移りました。

「グッゲンハイム美術館」と呼ばれる美術館は,世界で3つあります。

・ソロモン・R・グッゲンハイム美術館: Solomon R Guggenheim Museum<アメリカ・ニューヨーク市>

・ペギー・グッゲンハイム・コレクション:Peggy Guggenheim Collection<イタリア・ベネチア市>

・ビルバオ・グッゲンハイム美術館:Guggenheim Museum Bilbao<スペイン ビルバオ市>

ペギー・グッゲンハイムは,ソロモン・R・グッゲンハイムの姪にあたり,同じく前衛美術の収集家でした。

父は,ソロモン・R・グッゲンハイムの兄弟であるベンジャミン・グッゲンハイムで,あのタイタニック号とともに海に沈んだ人物です。

多くの芸術家の支援者だったペギー・グッゲンハイムは,その生涯がドキュメンタリー映画になっています。

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さて, ソロモン・R・グッゲンハイム美術館に話を戻して,画像の面白い建物に驚かれた方もいると思うのですが,この建物は2019年に世界遺産となりました。

正式な遺産登録されている名称は「フランク・ロイド・ライトの20世紀建築作品群」です。

「フランク・ロイド・ライト:Frank Lloyd Wright」はアメリカの建築家で,「近代建築の三大巨匠」と呼ばれています。

日本では,帝国ホテルの設計もしています。

ソロモン・R・グッゲンハイム美術館の建物は, フランク・ロイド・ライトの設計で約15年の歳月をかけて建てられました。

中に入ると,カタツムリの殻のようならせんの回廊があり,鑑賞者はグルグル回りながら作品を鑑賞できます。

New York City, Manhattan, Upper East Side : ” Solomon R. Guggenheim Museum ” 1959.  photo by (vincent desjardins) on Flickr(Noncommercial use allowed)

このスロープの傾斜を使った銃撃シーンがある映画があります。

私は,U-NEXTで抵当に選んだ映画で偶然見たのですが,そのシーンではすぐにソロモン・R・グッゲンハイム美術館の建物だとわかりました。

らせんの回廊を周りながら撃ち合う長いシーンがあります。

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さて,収蔵作品の紹介に入ります。

ソロモン・R・グッゲンハイム美術館でまず最初に紹介しなければならない画家はカンジンスキーです。

それほど,カンジンスキーの作品が充実しているからです。

ヴァシリー・カンディンスキー:Vasily Kandinsky 「Composition 8」

Solomon R. Guggenheim Museum  photo by Moody Man on Flickr(Noncommercial use allowed)

ヴァシリー・カンディンスキー:Vasily Kandinsky
「コンポジションVIII:Composition 8」
July 1923年
Oil on canvas

カンジンスキーの代表作であり,自らも「最も重要な作品」と話している「コンポジション」シリーズです。

全部で10作品あり,最初から最後まで約30年の違いがあります。

1から10まで見比べると,カンジンスキーの表現の流れが分かり,面白く鑑賞できます。

「コンポジションVIII」は,それまでの表現とちょっと違い,幾何学的な円や半円,三角形,長方形,そして黒い直線によって構成されています。

次も同じカンジンスキーの作品を紹介するのですが,抽象絵画を描く前に制作されたものです。

ヴァシリー・カンディンスキー:Vasily Kandinsky 「Amsterdam—View from the Window」

Amsterdam—View from the Window  photo by Lluís Ribes Mateu on Flickr(Noncommercial use allowed)

ヴァシリー・カンディンスキー:Vasily Kandinsky
「アムステルダム(窓からの眺め):Amsterdam—View from the Window」
1904年
Oil on board

カンジンスキーが抽象になる前の風景画です。

カンディンスキーは初期の風景画を制作するにあたって,ペインティングナイフを使用しています。

ナイフのストロークがさまざまな方向に向いているにもかかわらず,窓からの景色としてとてもまとまっているのが不思議です。

絵のすぐ近くで鑑賞するより,ちょっと離れて鑑賞する方が雰囲気が伝わります。

当たり前ですが,カンジンスキーのセンスを感じさせてくれる風景画です。

ヴァシリー・カンディンスキー:Vasily Kandinsky「Two Girls」

Two Girls  photo by Lluís Ribes Mateu on Flickr(Noncommercial use allowed)

ヴァシリー・カンディンスキー:Vasily Kandinsky
「二人の少女:Two Girls」
1907年
Woodcut

これもカンジンスキーの初期の作品で,なんと木版画です。

どのような経緯で木版画が制作されたのが知りたいのですが,ソロモン・R・グッゲンハイム美術館の解説はとくにないです。

カンジンスキーの初期の作品を紹介したので,次は晩年の作品を紹介します。 

ヴァシリー・カンディンスキー:Vasily Kandinsky「 Dominant Curve 」

Dominant Curve  photo by Lluís Ribes Mateu on Flickr(Noncommercial use allowed)

ヴァシリー・カンディンスキー:Vasily Kandinsky
「ドミナント・カーブ:Dominant Curve」
April 1936年
Oil on canvas

ベルリンのバウハウスがナチスによって閉鎖されたため,カンジンスキーはパリに移ります。

そのパリで制作されたものです。

この作品を制作した5年後に,フランスはナチスによって占領されました。

ナチス占領下では,カンジンスキーの作品の展示を禁止されたそうです。

カンジンスキーはアメリカへの移住を拒否し続け,パリ郊外で亡くなりました。

アメデオ・モディリアーニ:Amedeo Modigliani「Jeanne Hébuterne with Yellow Sweater」

Jeanne Hébuterne with Yellow Sweater  photo by Lluís Ribes Mateu on Flickr(Noncommercial use allowed)

アメデオ・モディリアーニ:Amedeo Modigliani
「黄色いセーターのジャンヌ・エビュテルヌ:Jeanne Hébuterne with Yellow Sweater」
1918–19年
Oil on canvas

モジリアーニの描く肖像画は独特の特徴と雰囲気を持っていますが,中でもこの作品は秀逸だと思います。

女性の上半身に比べて下半身のふくよかさを強調することによって,とても豊潤な幸せに満ちた雰囲気を醸し出しています。

それもそのはず,このモデルの女性は,モジリアーニの妻だった方です。

ジャンヌ・エビュテルヌが画学生だった18歳の時に14歳年上で32歳のモディリアーニと出会い,二人は恋に落ちました。

ジャンヌの肖像画は何枚もあり,モディリアーニの代表作となっています。

アルコールや麻薬におぼれ,退廃的な生活をしていたモディリアーニは,35歳の若さで急逝します。

その2日後に21歳のジャンヌは,2人目の子どもを身ごもりながら自殺をしてしまいます。

売れない異端の画家だったモディリアーニの苦悩とジャンヌとの悲劇の半生を描いた映画があります。

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アンリ・ルソー:Henri Rousseau「Artillerymen」

Artillerymen  photo by Lluís Ribes Mateu on Flickr(Noncommercial use allowed)

アンリ・ルソー:Henri Rousseau
「砲兵:Artillerymen」
ca. 1893–95
Oil on canvas

日曜画家だったアンリ・ルソーの作品です。

ルソーは,パリ市の税関に勤める前に5年間,軍役をしています。

この絵の兵隊さんたちが皆同じように口ひげを生やしているのが笑えます。

笑えると言えば,ソロモン・R・グッゲンハイム美術館はルソーの作品をもう一枚所有しており,そちらの方が,私にとっては隠れた名作としてくすっと笑える作品です。

素朴派と呼ばれるルソーらしい微笑ましい作品です。

良い画像が見つからなかったので, ソロモン・R・グッゲンハイム美術館のコレクション紹介のページを貼っておきます。

是非,ご覧ください。

Henri Rousseau The Football Players (Guggenheim Museum Collection Online)

マルク・シャガール:Marc Chagall「The Soldier Drinks」

The Soldier Drinks  photo by Lluís Ribes Mateu on Flickr(Noncommercial use allowed)

マルク・シャガール:Marc Chagall
「酒を飲む兵士:The Soldier Drinks」
1911–12
Oil on canvas

マルク・シャガールからはこの絵を選びました。

「愛の画家」と呼ばれるシャガールにしては,かなり意味深い絵だと思ったからです。

この絵について調べてみると,この絵は日露戦争後の帝政ロシア兵士の思い出を描いているとシャガールは述べているそうです。

説明ができませんが,兵士の顔や体,窓の外の描き方や右手親指が窓の外を指していること,左手はグラスを指さしていることなどは,かなり意味を持って描かれていると思います。

この絵は,シャガールがロシアからパリに移った5年間の最初の頃に描かれています。

この絵が描かれた頃の世界は,第1次世界大戦前であり各地で不穏な動きが起こっていたと考えられます。

実は,シャガールはかなり後に,同じような絵をアクリル・ガッシュで紙に描いています。

この絵も,ソロモン・R・グッゲンハイム美術館が所有しています。

The Soldier Drinks  photo by Lluís Ribes Mateu on Flickr(Noncommercial use allowed)

マルク・シャガール:Marc Chagall
「酒を飲む兵士:The Soldier Drinks」
ca. 1923–24
Gouache on paper

シャガールは油絵を描いてから約10年後に同じ構図の絵を紙に描いています。

第1次世界大戦が終わった5年後です。

なぜ,描いたのかの経緯は分かりません。

パリに来て最初のものを描いた後,ロシアに戻り,またパリに来た時にこれを描いています。

同じ時期に,ニューヨーク近代美術館所蔵の代表作「I and the Village」も同じように紙にアクリル・ガッシュと水彩絵の具で同じ構図の絵を描いています。

こちらも ソロモン・R・グッゲンハイム美術館が所有しています。

ポール・ゴーギャン:Paul Gauguin「In the Vanilla Grove, Man and Horse」

In the Vanilla Grove, Man and Horse  photo by Lluís Ribes Mateu on Flickr(Noncommercial use allowed)

ポール・ゴーギャン:Paul Gauguin
「In the Vanilla Grove, Man and Horse」
1891年
Oil on jute canvas

ポスト印象派のゴーギャンです。

ゴッホとの共同生活の後,ゴーギャンは2回タヒチに滞在しています。

その初回の滞在での作品です。

ゴーギャンの代表作であり,最高傑作は「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか:D’où venons-nous ? Que sommes-nous ? Où allons-nous ?」です。

ボストン美術館に所蔵されています。

ボストン美術館も紹介予定なので,その時に紹介したいと思っています。

フィンセント・ファン・ゴッホ:Vincent van Gogh「Mountains at Saint-Rémy」

Vincent van Gogh, Mountains at Saint-Rémy (1889) photo by Dr. Alexey Yakovlev on Flickr(Noncommercial use allowed)

フィンセント・ファン・ゴッホ:Vincent van Gogh
「サン=レミの山々と暗色の家:Mountains at Saint-Rémy」
July 1889
Oil on canvas

ゴッホは,移住したアルルの村にてゴーギャンとの共同生活後,病院に入ります。

次に,ある牧師に勧められ,アルルから20キロほど離れたサン・レミというところにある修道院療養所に入所します。

そこで,ニューヨーク近代美術館にある名作「星月夜」やロサンゼルス・ゲティーセンターにある「アイリス」を制作するのですが,同じサン・レミで,この画像の作品「Mountains at Saint-Rémy」も制作します。

いかにもゴッホらしい作品です。

これを描いたちょうど1年後に自殺を図り亡くなります。

ゴッホの生涯を描いた映画はけっこうあるのですが,みなさんはこの映画をご存じでしょうか?

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私が一番好きな映画俳優,ウィレム・デフォーが主演です。

第75回ベネチア国際映画祭・最優秀男優賞を受賞し,アカデミー賞においても主演男優賞をノミネートされました。

ちょうど,この映画が日本で公開されているときに,日本の美術館でゴッホ展も開催されていました。

私もチケットを手に入れたのですが,惜しくもコロナの感染状況がひどくなった時期で開催されず,行くのをあきらめたのでした。

フランツ・マルク:Franz Marc「Yellow Cow」

Franz Marc. Yellow Cow (Gelbe Kuh), 1911  photo by Dr. Alexey Yakovlev on Flickr(Noncommercial use allowed)

フランツ・マルク:Franz Marc
「黄色い牛:Yellow Cow」
1911年
Oil on canvas

フランツ・マルクは,カンジンスキーと同時期のドイツの画家です。

動物をこよなく愛し,マルクの作品は馬,牛などの動物や森が主題です。

それらは色彩が豊かで,躍動感があります。

ヒトラーからは「青い馬などいるはずがない」と退廃芸術にされました。

ちなみにカンジンスキーもヒトラーから退廃芸術にされています。

マルクは,第一次世界大戦に出征,命を落とし,わずか10年の活動期間でした。

エドゥアール・マネ:Édouard Manet「Before the Mirror」

Before the Mirror  photo by Lluís Ribes Mateu on Flickr(Noncommercial use allowed)

エドゥアール・マネ:Édouard Manet
「Before the Mirror」
1876年
Oil on canvas

マネは,伝統的な約束事にとらわれないという点で影響を与えたため,印象派の先駆者と言われています。

マネがそれまでの伝統的な美術界に一石を投じたと言われる代表作は2つあります。

一つ目が,パリのオルセー美術館所蔵の「草上の昼食:The Luncheon on the Grass」です。

1862年から1863年に描かれたものです。

二つ目が,同じくパリのオルセー美術館にある「オランピア:Olympia」です。

1963年に描かれました。

マネはその後の印象派展には参加せず,一部の画家(モネなど)に認められている存在でした。

画像の絵は,まだそのような状況で描かれた作品です。

マネが認められるようになったのは,彼が亡くなってからでした。

パブロ・ピカソ:Pablo Picasso「Le Moulin de La Galette」

Le Moulin de La Galette  photo by Lluís Ribes Mateu on Flickr(Noncommercial use allowed)

パブロ・ピカソ:Pablo Picasso
「ムーラン・ド・ラ・ガレット:Le Moulin de La Galette」
ca. November 1900
Oil on canvas

ソロモン・R・グッゲンハイム美術館は,多くのピカソの作品を所有しています。

その中から紹介する作品はこれを選びました。

ピカソは作風が変わるごとに「○○の時代」と呼ばれていることはこれまでの美術館紹介でお話ししました。

この作品はその一番初めの「青の時代」よりも前,1900年に制作された作品です。

ピカソは1900年に初めてパリを訪れ,モンマルトルにスタジオを設立します。

「ムーラン・ド・ラ・ガレット」はピカソだけでなく,ルノワールやセザンヌも描いています。

一つ言えるのは,この時期のピカソは,明らかにロートレックの影響を受けているということです。

フランティセック・クプカ:František Kupka「Planes by Colors, Large Nude」

La rétrospective František Kupka au Grand Palais (Paris)  photo by Jean-Pierre Dalbéra on Flickr(Noncommercial use allowed)

フランティセック・クプカ:František Kupka
「Planes by Colors, Large Nude」
1909–10
Oil on canvas

これが紹介する最後の作品になります。

最後は,ソロモン・R・グッゲンハイム美術館のHPで私が初めて目にした作品の中で一番気に入ったものを紹介します。

フランティセック・クプカという作家ですが,1900年代初めに活躍したキュビズムの抽象絵画を描いた作家だそうです。

私は,この色彩のセンスが素敵だなと思いました。

人間の肌の色をベッドから出ている足と手の一部に置き,それ以外のところの色の置き方が絶妙だと思います。

また,画面構成もこれ以上がないくらい考えられていると思います。

以上で,ソロモン・R・グッゲンハイム美術館の紹介を終わります。

皆さん気が付かれたかとも思うのですが,この美術館では関連する映画も紹介しようと意識していました。

ソロモン・R・グッゲンハイム美術館公式HP

今回のページで参考にしたHPは以下の通りです。(各美術館の公式HPは各項の最後に紹介しています。)

ホイットニー美術館ウィキペディア

徒然漫遊記

ソロモン・R・グッゲンハイム美術館ウィキペディア

Petite New York

次回も,ニューヨークにある美術館を紹介します。

いろいろな作品を紹介したいと思います。

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