アメリカの美術館32選!【フィラデルフィア美術館,バーンズ コレクション】 mohamoha64

美術館紹介

アメリカにある美術館の紹介,第8弾です。

アメリカの美術館を紹介するにあたって,独自のランキングをしています。

詳細についてはこちらをご覧ください。

アメリカの美術館32選!【デトロイト美術館】 mohamoha55

今回は大西洋中部地方の美術館紹介のラストの回です。

ペンシルベニア州の2つの美術館を紹介します。

フィラデルフィア美術館とバーンズ コレクションを紹介します。

フィラデルフィア美術館:Philadelphia Museum of Art(ペンシルベニア州フィラデルフィア市)

Philadelphia Museum of Art photo by Peter Miller on Flickr(Noncommercial use allowed)

1876年,アメリカ建国100周年の際に,フィラデルフィアに建設されたメモリアルホールが現在のフィラデルフィア美術館の基になります。

その後,1928年まで建設が進められ,現在のネオクラシカル様式の巨大な建物が完成しました。

ネオクラシカル様式とは,古代ギリシャ・ローマの建築様式のリバイバルで,神殿のような荘厳な雰囲気を持っています。

建物も目を惹きますが,その建物から見るフィラデルフィア市街の景色も一見の価値があります。

This is the view from the Philadelphia Museum of Art photo by Travelfusion on Flickr(Noncommercial use allowed)

通りの向こう,中央にそびえたつのはフィラデルフィア市庁舎です。

美術館から市庁舎に行くには,目の前のまっすぐな道「ベンジャミン・フランクリン・パークウェイ:Benjamin Franklin Pkwy」を通り,徒歩で約30分です。

私は,フィラデルフィア美術館に訪れる際にはぜひゆっくり歩いてみたいと思っています。

Philadelphia Museum of Art photo by Peter Miller on Flickr(Noncommercial use allowed)

そして,フィラデルフィア美術館と言えば,シルベスター・スタローンの映画「ロッキー」でしょう。

映画「ロッキー」は1976年に1作目が上映され,6作目(2006年)まであります。

スタローン演じるロッキーが,ボクシングの世界チャンピオンになるまでの練習で,フィラデルフィアの街中を走り抜け,フィラデルフィア美術館正面の階段を駆け上り,両拳を突き上げるシーンがあります。

そのために,フィラデルフィア美術館正面の階段は「ロッキーステップ:The Rocky Steps」と呼ばれるようになりました。

階段を駆け上がるシーンでは,大ヒットしたロッキーのテーマ曲も流れていました。

そして,階段を駆け上がったところでロッキーが両拳を突き上げるポーズをとります。

そのポーズをとったところには,実際にロッキーの足形があります。

Philadelphia Museum of Art, Philadelphia, USA photo by Domenico Convertini on Flickr(Noncommercial use allowed)

また,ロッキー3では,階段の頂上にロッキーの銅像が置かれました。

現在は,階段下の右手に移されています。

Rocky Statue, Philadelphia Museum of Art, Philadelphia, USA photo by Domenico Convertini on Flickr(Noncommercial use allowed)
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さて,フィラデルフィア美術館はその規模から言うと,メトロポリタン美術館やニューヨーク近代美術館に引けを取りません。

ウィキペディアでは「所蔵品は30万点を数え,古代からコンテンポラリー・アートまであらゆる時代,地域,分野にわたっている。所蔵品の質・量ともにアメリカでも有数の美術館である。」と紹介されています。

それでは,所蔵する作品を紹介していきます。

フィラデルフィア美術館HPの利用規約を読むと,パブリックドメインの作品に限り,「www.philamuseum.org」のリンク先を付ければ利用可能となっています。

フィラデルフィア美術館の所蔵作品の中で一番有名なものはこれになります。

フィンセント・ファン・ゴッホ:Vincent van Gogh「Sunflowers」

from Philadelphia Museum of Art www.philamuseum.org

フィンセント・ファン・ゴッホ:Vincent van Gogh
「ひまわり:Sunflowers」
1889年
Oil on canvas

これまでゴッホの作品をいくつかの美術館でけっこう紹介してきましたが,やっと「ひまわり」を紹介できます。

ゴッホの「ひまわり」と称する作品は7点しかありません。

アメリカには2点あり,ゴッホが描いた最初のものと最後のものになります。

最初の作品は個人が所蔵しており,最後に描いた作品をフィラデルフィア美術館が所蔵しています。

「ひまわり」7点のうち,2点が日本にありました。

「ありました」としているのは,日本の個人所蔵だった作品が戦争時の空襲で焼失しているからです。

ゴッホが描いた2番目の作品でした。

もう1点の方は,もちろん現在も日本にあります。

ゴッホが描いた5番目の作品で,東京・新宿にある「SOMPO美術館」に展示されています。

私は「安田火災東郷青児美術館」という名称だった時に,鑑賞する機会を持ちました。

画像のフィラデルフィア美術館所蔵の作品は,ゴッホの描いた最後の「ひまわり」であり,3番目のものを模写したものです。

3番目に描いた作品は,ドイツ・ミュンヘンにある「ノイエ・ピナコテーク:Neue Pinakothek」が所蔵しています。

文章で書くとわかりにくいので,ゴッホが描いた7つの「ひまわり」を時系列にまとめてみます。

  • 1作目:アメリカ・個人所蔵(ひまわりの数3本)
  • 2作目:日本で焼失(ひまわりの数5本)
  • 3作目:ドイツ・ノイエ ピナコテーク所蔵(ひまわりの数12本)
  • 4作目:イギリス・ナショナル ギャラリー所蔵(ひまわりの数15本:3作目を基に制作)
  • 5作目:日本・SOMPO美術館所蔵(ひまわりの数15本:3作目を基に制作)
  • 6作目:オランダ・ファン ゴッホ美術館所蔵(ひまわりの数15本:5作目の模写)
  • 7作目:アメリカ・フィラデルフィア美術館所蔵(ひまわりの数12本:3作目の模写)

マルセル・デュシャン:Marcel Duchamp「Nude Descending a Staircase (No. 2)」

Nude Descending a Staircase, No. 2 photo by spDuchamp on Flickr(Noncommercial use allowed)

マルセル・デュシャン:Marcel Duchamp
「階段を降りる裸体No.2:Nude Descending a Staircase (No. 2)」
1912年
Oil on canvas

フィラデルフィア美術館は,マルセル・デュシャンの作品を多く所蔵していることでも有名です。

フランス生まれのデュシャンですが,アメリカにアレンスバーグ夫妻というパトロンとなる人物がいたため,アメリカに移住し,デュシャンの作品のほとんどがアレンスバーグ夫妻のコレクションとなります。

そのコレクションがフィラデルフィア美術館に寄贈され,現在,一括展示されています。

デュシャンはダダイスムの画家で,20世紀において,美術界に最も影響を与えたアーティストと言われています。

ダダイスムとは,第一次世界大戦に対する抵抗などによって生まれた「反芸術」を根底とする芸術です。

デュシャンのトイレ(便器)に「泉:Fontaine」と題した作品はあまりにも有名です。

この行為は,まさしく既存の美術作品への反発と言えます。

今でこそよく見かけますが,規制の生活用品を芸術作品に使用する最初の作品ではないでしょうか。

ちなみに,この時の作品に使った便器のレプリカが,フィラデルフィア美術館に展示されています。

オリジナルは紛失したそうです。

画像の作品ですが,階段を降りているヌードになった女性の動きをコマ送りのように描いています。

キュビズムの影響をかなり受けていると思います。

ポール・セザンヌ:Paul Cézanne「Group of Bathers」

from Philadelphia Museum of Art www.philamuseum.org

ポール・セザンヌ:Paul Cézanne
「グループ オブ バザーズ:Group of Bathers」
c. 1895年
Oil on canvas

セザンヌにはいろいろな代表作がありますが,「水浴」シリーズも代表作の一つです。

フィラデルフィア美術館は画像の作品の他に,「大水浴:Big Bathers」というもっと大きな作品を所蔵しています。

こちらは小さな作品ですが,筆のタッチがセザンヌらしいのでこちらの作品を紹介しました。

ジョージア・オキーフ:Georgia O’Keeffe「Two Calla Lilies on Pink」

from Philadelphia Museum of Art www.philamuseum.org

ジョージア・オキーフ:Georgia O’Keeffe
「ツー・カラーリリー・オン・ピンク:Two Calla Lilies on Pink」
1928年
oil on canvas

これまでオキーフの作品の中で,牛や山羊などの頭蓋骨のものや風景を紹介してきました。

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これらはオキーフの代表作になります。

また,オキーフと言えば,フィラデルフィア美術館が所蔵するこの作品のような画面いっぱいに花を描く作品が一番の代表作になると思います。

アンリ・マティス:Henri Matisse「Breakfast」

Breakfast photo by Lluís Ribes Mateu on Flickr(Noncommercial use allowed)

アンリ・マティス:Henri Matisse
「朝食:Breakfast」
1920年
Oil on canvas

野獣派のマティスです。

窓こそないですが,色彩や構図はすぐに「マティスだ!」とわかります。

テーブルクロスや壁掛けの模様に対して,バックを黒の配色をするところは流石だと思います。

ピエール=オーギュスト・ルノワール:Pierre-Auguste Renoir「Still Life with Flowers and Fruit」

from Philadelphia Museum of Art www.philamuseum.org

ピエール=オーギュスト・ルノワール:Pierre-Auguste Renoir
「花と果物の静物:Still Life with Flowers and Fruit」
c. 1889
Oil on canvas

今回,このページで8回目の美術館紹介なのですが,ルノワールを紹介するのは初めてです。

印象派を代表する画家なのですが,私は今まで無意識にルノワールの作品を避けていたかもしれません。

ルノワールというと,代表作は人物を描いた作品になると思うのですが,私は静物を紹介します。

やはり筆のタッチや色遣いはルノワールらしさで溢れています。

ルノワールの一番の代表作は,フランス・オルセー美術館にある「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会:Bal du moulin de la Galette」でしょう。

次は,フィラデルフィア出身の「アメリカ近代美術の父」と呼ばれた写実主義の画家を紹介します。

トマス・エイキンズ:Thomas Eakins「The Gross Clinic」

from Philadelphia Museum of Art www.philamuseum.org

トマス・エイキンズ:Thomas Eakins「The Gross Clinic」
「グロス・クリニック:Portrait of Dr. Samuel D. Gross (The Gross Clinic)」
1875年
Oil on canvas

トマス・エイキンズは,絵画・写真・彫刻の作品を数多く残しました。

中でも,画像の「グロス・クリニック」は彼の代表作です。

この絵は長い間,フィラデルフィアにあるトーマス・ジェファーソン大学に飾られていました。

それが,ワシントンD.C.のナショナル・ギャラリーに売りに出されることになりますが,市民団体の「フィラデルフィアに文化遺産として残したい」という運動が起こり,フィラデルフィア美術館に来ることになったのでした。

「グリス・クリニック」は,解剖学を学んでいたエイキンズが実際に見た外科手術を基に描かれた作品です。

それまで「切断」が主な目的だった手術が,「治療」を目的に行うものに変わる頃でした。

そして,まだ衛生的な手術環境ではない頃に描かれました。

見たままをありのままに描く写実主義の画家,また医者を志していたエイキンズだからこその作品だと思います。

エイキンズは,14年後の1889年に同じ外科手術の様子を描いた「アグニュー・クリニック:The Agnew Clinic」を描いています。

こちらの作品はフィラデルフィアにあるペンシルベニア大学が所有していますが,フィラデルフィア美術館で展示されています。

Thomas Eakins, The Agnew Clinic 1889 photo by Mark Skrobola on Flickr(Noncommercial use allowed)

手術の絵で言えば,バロックの画家,レンブラントも描いていますね。

レオン・フレデリック:Léon Frédéric「The Four Seasons」

The Philadelphia Museum of Art – May, 2012 photo by JR P on Flickr(Noncommercial use allowed)

レオン・フレデリックは,ベルギー・ブリュッセル出身の象徴主義の画家です。

象徴主義とは,19世紀後半にヨーロッパで起こった芸術で人間の内面などを象徴的に表現するものです。

ありのままに描く自然主義とは反対の芸術です。

レオン・フレデリックの代表作と言えば,子どもの群像を描いたものになると思います。

画像の作品も彼の代表作になりますが,4枚セットの作品です。

私が,フィラデルフィア美術館で一番じっくりと鑑賞したい絵はこの4枚になると思います。

1枚1枚を紹介します。

from Philadelphia Museum of Art www.philamuseum.org

「The Four Seasons:Spring」
1893年
Oil on canvas

from Philadelphia Museum of Art www.philamuseum.org

「The Four Seasons:Summer」
1894年
Oil on canvas

from Philadelphia Museum of Art www.philamuseum.org

「The Four Seasons:Fall」
1894年
Oil on canvas

from Philadelphia Museum of Art www.philamuseum.org

「The Four Seasons:Winter」
1894年
Oil on canvas

余談ですが,レオン・フレデリックはベルギーより男爵位を授けられています。

ウィレム・クラース・ヘダ:Willem Claesz Heda「Still Life with a Ham and a Roemer」

Willem Claesz Heda (Haarlem, 1594-1680) Bodegón con jamón y copa Roemer (c. 1631-1634) photo by Li Taipo on Flickr(Noncommercial use allowed)

ウィレム・クラース・ヘダ:Willem Claesz Heda
「ハムとローマーの静物:Still Life with a Ham and a Roemer」
c. 1631-1634
Oil on panel

ウィレム・クラース・ヘダは,オランダのモノクローム・バンケッチェを描く,代表する画家です。

「モノクローム・バンケッチェ」とは,食卓(晩餐)をモノクローム(単一の色)で描く静物画です。

かなり写実的でありながら,光沢に加え,今にも食器が落ちそうな構図で緊張感が漂っています。

フィラデルフィラ美術館内では,ユーラシア大陸のいろいろな文化の展示もしています。

日本の茶室の部屋もあります。

Japanese Tea House, Philadelphia Museum of Art photo by CP Hoffman on Flickr(Noncommercial use allowed)

フィラデルフィア美術館公式HP

バーンズ・コレクション:The Barnes Collection(ペンシルベニア州フィラデルフィア市)

Barnes Collection photo by Bill Rand on Flickr(Noncommercial use allowed)

バーンズ・コレクションは,「アルバート・C・バーンズ:Albert C. Barnes」によって収集されたコレクションを展示している美術館です。

アルバート・C・バーンズは,医学の道を歩んでいましたが化学の道に進みます。

製薬会社で財を成し,バーンズ財団を設立します。

そして,フランス近代絵画2,500点以上も収集することになります。

The Barnes Foundation Philadelphia (PA)  photo by Ron Cogswell on Flickr(Noncommercial use allowed)

コレクションはバーンズの私邸だった館に展示されていましたが,そのコレクションは非公開,売却禁止でした。

バーンズの死後も遺言によって長らく門外不出だったそうで,私邸での鑑賞には入場制限があったそうです。

それが,建物全面改修の基金集めのために,ワシントンのナショナル・ギャラリー,パリのオルセー美術館,1994年には東京の国立西洋美術館にその一部が貸出され,展覧会が行われました。

当時,東京では107万人が訪れ,入館に7時間以上待ちという凄さだったそうです。

そして2012年,財政難より現在の場所に美術館を建て,公開を開始しました。

入場制限は続いており,基本的に完全予約制になっているようです。

バーンズ・コレクションの展示の仕方は,私邸で展示されていた通りにしているため,他の美術館とは異なっています。

まるで壁をアルバムのように使い,色や形,テーマを考慮して左右バランスよく展示されています。

YouTubeに館内の部屋の様子などを説明しているものがあったので,こちらを見てください。

さて,それでは所蔵作品を紹介していきます。

ジョルジュ・スーラ:Georges Seurat「Les poseuses」

Models photo by Lluís Ribes Mateu on Flickr(Noncommercial use allowed)

ジョルジュ・スーラGeorges Seurat
「ポーズする女たち:Models (Le Poseuses)」
1886–1888.
Oil on canvas

バーンズコレクション所蔵作品の代表作はかなりあるため,一つを選べませんが,スーラのこの作品を最初に紹介します。

縦2m横2.5mの大きな作品です。

背景に注目してください。

シカゴ美術館にある「グランジャット島の日曜の午後」が描かれています。

アメリカの美術館32選!【シカゴ美術館】 mohamoha58

スーラは点描画を得意とした画家ですが,当時,点描画は裸婦には向かないと言われていたそうです。

それに反論するためにこの作品を描いたと推測している評論家もいます。

残念ながら現在のこの絵の色彩は当時のものより色褪せたものになっているそうです。

理由は,石膏を下地にした布のキャンバスに描かれているからだそうです。

この作品に関連する作品が,他の美術館にあります。

一つ目は,サイズを縮小して,改めて制作された作品が,ドイツ・ミュンヘンのアルテ・ピナコテーク美術館に所蔵されています。

二つ目は,パリのオルセー美術館に本作のための裸婦単体の習作3点『座る女/正面でポーズする女/座る女・背面』が所蔵されています。

ポール・セザンヌ:Paul Cézanne「The Card Players」

The Card Players-Cezanne At the Barnes Foundation photo by Robert Opacki on Flickr(Noncommercial use allowed)

ポール・セザンヌ:Paul Cézanne
「カード遊びをする人々:The Card Players (Les Joueurs de cartes)」
1890–1892.
Oil on canvas

セザンヌの晩年の作品です。

屋外にあるバーンズ・コレクションの宣伝ポスターにはこの絵が使用されています。

バーンズ・コレクションを代表する一作であることは間違いありません。

「カード遊びをする人々」と題する作品は5点存在しており,それぞれサイズや構図が異なっています。

まず一つはバーンズ・コレクションのこの画像の作品,そして,他の3点はニューヨークのメトロポリタン美術館,パリのオルセー美術館,ロンドンのコートールド・ギャラリーにあります。

最後の一つは,カタール王室が所有しています。

2011年に約3億ドルで購入したため,当時はかなりニュースになりました。

フィンセント・ファン・ゴッホ:Vincent van Gogh「The Postman (Joseph-Étienne Roulin)」

The Postman (Joseph Roulin) (1888) by Vincent Van Gogh. photo by Rawpixel Ltd on Flickr(Noncommercial use allowed)

フィンセント・ファン・ゴッホ:Vincent van Gogh
「郵便配達人ジョゼフ・ルーラン:The Postman (Joseph-Étienne Roulin)」
1889年
Oil on canvas

ゴッホは,フランスのアルルにアトリエを構えていた時に,近所に暮らしていたルーラン一家をモデルにして複数のポートレイトを描いています。

郵便配達人であるルーランを描いた作品は6点存在し,それぞれ趣が異なっています。

バーンズ・コレクション所蔵のこの作品の他には,デトロイト美術館,ニューヨーク近代美術館,スイス・ヴィンタートゥール美術館,オランダ・クレラー・ミュラー美術館,そして,ボストン美術館が所蔵しています。

ボストン美術館の作品は,胸像ではなく,椅子に座る構図で描かれています。

ルーランは,実は郵便配達人ではなく,駅における郵便係だったことがわかっています。

パブロ・ピカソ:Pablo Picasso「Acrobat and Young Harlequin」

Acrobat and Young Harlequin photo by Lluís Ribes Mateu on Flickr(Noncommercial use allowed)

パブロ・ピカソ:Pablo Picasso
「アクロバットと若い ハーレクイン:Acrobat and Young Harlequin (Acrobate et jeune Arlequin)」
1905年
Oil on canvas

ピカソの初期,「薔薇色の時代」の作品です。

ピカソと言えば,キュビズムの抽象絵画のイメージが強いですが,私は初期の「青の時代」「薔薇色の時代」の作品の方が好きです。

ピカソの父は工芸学校美術教師であり,ピカソは幼い時から父の英才教育を受けています。

ピカソの子どもの頃の作品をネットで調べてみてください。

そのデッサン力に驚くはずです。

アンリ・マティス:Henri Matisse「Interior, Nice」

Interior Nice Barnes photo by Regan Vercruysse on Flickr(Noncommercial use allowed)

アンリ・マティス:Henri Matisse
「インテリア・ニース:Interior, Nice (Nice, intérieur)」
between January and June 1919.
Oil on canvas

南フランスのニースのホテルにて,「インテリア・ニース」という題名の作品をマティスは何枚も描いています。

フランスの北部出身でパリで制作していたマティスは,南フランスの明るい日差しに魅せられます。

南フランスに魅せられて以来,生涯の大半をマティスはニースで過ごしました。

当初はホテル暮らし,その後,広場に面したアパート,そしての豪華マンション「レジーナ」を購入し,それが終の住処となりました。

その終の棲家となった「レジーナ」の隣に現在,マティス美術館があります。

20世紀を代表する近代絵画の巨匠マティスは,南フランスの明るい陽射しからインスピレーションを得て,「色彩の魔術師」と呼ばれるまでになったと言えます。

ジョアン・ミロ:Joan Miró「Group of Women」

Joan Miró – Group of Women [1938] photo by Gandalf’s Gallery on Flickr(Noncommercial use allowed)

ジョアン・ミロ:Joan Miró
「Group of Women (Groupe de femmes)」
July 15, 1938.
Oil on canvas

ミロのこの作品は,スペイン内戦(1936-39)の空爆の時の人物の激しいジェスチャーを描いています。

バスクの町の爆撃を描いたピカソの「ゲルニカ」を反映していると言われています。

右上の人物は頭を上げて,舌を出して悲鳴悲鳴をあげています。

それは,「ゲルニカ」における左右の人物とよく似ています。

アメデオ・モジリアーニ:Amedeo Modigliani「Jeanne Hébuterne」

Jeanne Hébuterne photo by Lluís Ribes Mateu on Flickr(Noncommercial use allowed)

アメデオ・モジリアーニ:Amedeo Modigliani
「ジャンヌ・エビュテルヌ:Jeanne Hébuterne」
1919
Oil on canvas

モジリアーニの妻,ジャンヌ・エビュテルヌを描いた作品です。

モジリアーニは,数多くのジャンヌの作品を残しています。

ソロモン R グッゲンハイム美術館のページでも,モジリアーニが描くジャンヌの作品を紹介しました。

退職後 アメリカに行く話 | アメリカの美術館32選!【ホイットニー美術館,ソロモン R グッゲンハイム美術館】 mohamoha62

この作品も穏やかさの中に官能美があり,とても秀逸な作品だと思います。

モディリアーニの描く人物はとても独特なのですが,古代ギリシャの彫像とアフリカの部族の彫刻からインスピレーションを得たと言われています。

バーンズ・コレクション公式HP

今回は,これに終了です。

今回のページで参考にしたHPは以下の通りです。(各美術館の公式HPは各項の最後に紹介しています。)

フィラデルフィア美術館ウィキペディア

バーンズ・コレクションウィキペディア

Petite New York

Petite New York

さて,次回はニューイングランド地区にある3つの美術館を紹介する予定です。

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