アメリカにある博物館を32に絞って紹介をしていますが,最初はニューヨークにある独自ランキングで32位までに入った博物館をお送りしています。
32位の中で,ニューヨークにある博物館は4つ選ばれているのですが,これまでこのような順で紹介しました。
1回目:アメリカ自然史博物館
2回目:自由の女神博物館
3回目:ナショナル・セプテンバー11・メモリアル & ミュージアム
ニューヨークにある博物館の紹介,最後である4回目の今回は「ニューヨーク公共図書館本館」です。
独自ランキングでは第9位でした。
ニューヨーク公共図書館本館:New York Public Library Main Branch(ニューヨーク州ニューヨーク)
ニューヨーク公共図書館本館は,ニューヨーク市のマンハッタンの中心にあります。
隣にはブライアント・パークがあり,2つ合わせてニューヨークの中心的なランドマークになっています。
本館の建物は,「スティーブン・A・シュワルツマン・ビル:Stephen A. Schwarzman Building」と呼ばれていて,ボザール様式の建築物です。
ボザール様式とは,フランス国立美術学校「エコール・デ・ボザール」で学んだアメリカ人が,帰国後に学校で学んだヨーロッパ古典様式を用いて造った際の建築様式のことです。
この建物自体が「ニューヨーク公共図書館本館」の見どころであり,世界中の人々の憧れの図書館となっている所以です。
「公共図書館」と名乗っているため,ニューヨークの市立図書館のようですが,公立ではなく,民間の非営利組織によって運営される図書館です。
運営自体は,民間の資金と公立の資金を合わせて運営されているようです。
ニューヨーク公共図書館は,これまでいくつかの図書館が統合されて,現在のものになりました。
19世紀後半に「アスター図書館」「レノックス図書館」の2つの図書館が統合され,「ニューヨーク公立図書館・アスター・レノックス・ティルデンの財団」が設立されました。
そのため,現在も正面玄関の横には2つの名「アスター」「レノックス」が記されています。
さらに20世に入ると「ニューヨーク・フリーサーキュレーティング図書館」と統合され,1911年に現在の場所にニューヨーク公共図書館本館が建立され,開館しました。
1980年代になると,図書館のすぐ隣にあるブライアント公園の地下にスペースを確保する大規模な拡張をしました。
現在,規模で言うと,ニューヨーク公共図書館本館は,アメリカで2番目に大きく,世界では4番目に多きい図書館になります。
ちなみに,アメリカで一番大きい規模を誇るのは「アメリカ議会図書館」です。
ニューヨーク公共図書館:New York Public Library
ニューヨーク公共図書館と呼べる施設は,全部で92館あります。
まず,前項で紹介した本館を含む4つの「研究図書館(専門図書館)」があり,他に88の分館と呼べる図書館があります。
「マンハッタン:Manhattan」に39,「ブロンクス:Bronx」に35,「スタテン・アイランド:Staten Island」に14の図書館があります。
それぞれの図書館は,ニューヨーク公共図書館の公式HPで確認できます。↓
Location Finder | The New York Public Library (nypl.org)
ニューヨークには他の組織として,ブルックリンの「ブルックリン公共図書館:Brooklyn Public Library」とクイーンズの「クイーンズ公共図書館:Queens Public Library」があり,これらを合わせると,ニューヨーク市全体では200以上の図書館があることになります。
これらの図書館の利用は基本的に無料で,誰でも会員になれるようです。
見どころ① 2頭のライオン像
見どころの一つ目は,正面玄関に設置されている二頭のライオン像です。
本館のシンボルともなっていて,ニューヨーク公共図書館の母体となった図書館の名前から「アスター:Astor」と「レノックス:Lenox」と名付けられました。
世界恐慌後には,ニューヨーク市民にとって欠かせないふたつの2つ資質として「忍耐:Patience」と「不屈:Fortitude」とも呼ばれるようになったそうです。
ピンクのテネシー大理石から彫られた2つのライオン彫刻は,アメリカの彫刻家「E.C.ポッター:Edward Clark Potter」によって作成されました。
E.C.ポッターは,他にもニューヨーク市マンハッタン・マーリー・ヒルにある「モルガン・ライブラリー:The Morgan Library & Museum」の正面玄関前の2つのライオン像も制作しています。
モルガン・ライブラリーの建物自体,1906年に実業家であるジョン・モルガンの書物と絵画の個人コレクションを集めた図書館として設立されたもので,ニューヨーク公共図書館同様,観るべき価値のある建物です。
E.C.ポッターは,ニューヨーク公共図書館の方は「雄」のライオン像を,モルガン・ライブラリーの方は「雌」のライオン像を制作しています。
同様なのは,両者ともに「伏せ」のポーズをとっているところです。
以前,シカゴ美術館を紹介したときに,同じく正面玄関前の2つのライオン像を紹介しました。
こちらは,エドワード・ケメイズ作で,立っているポーズです。
アメリカの美術館32選!【シカゴ美術館】 mohamoha58
ニューヨークを訪れた際には,同じマンハッタンにあるのですから,E.C.ポッター作のニューヨーク公共図書館とモルガン・ライブラリーの2つのライオン像を見比べたいと思います。
ちなみに,ニューヨーク公共図書館のロゴマークは,このライオン像の顔になっています。
見どころ② アスター・ホール,マグロウ・ロタンダ
五番街の正面玄関から入館すると,「アスター・ホール:Astor Hall」になります。
画像での奥の階段は,映画「セックス・アンド・ザ・シティー」では,かなり有名なシーンのロケーションとして使われているそうです。
私は,知人に薦められて見ましたが,ちょっと合わなくてしっかりと見ていないので,どのシーンのことかわかりません…。
その階段を昇った先にあるのが「マグロウ・ロタンダ:McGraw Rotunda」という特別な空間があります。
天井に高く伸びたアーチと贅沢な装飾,天井の壁画が人々魅了します。
天井の壁画は,アメリカの画家「エドワード・レイニング:Edward Laning」の作品です。
エドワード・レイニングの絵は,他にも壁に飾られており,「The History of the Recorded Word」が彼の代表作のようです。
The History of the Recorded Word
Edward Laning
1940
Painting
画像は絵の下3分の1しか写っていませんが,彼の絵の前に休憩するところがあるのは素敵ですよね。
見どころ③ ローズ・メイン閲覧室
ニューヨーク公共図書館本館の中で,一番有名な場所と言えば,「ローズ・メイン閲覧室:Rose Main Reading Room」になると思います。
部屋番号は「315号室」になり,天井が高く,一番広い公共スペースで,本棚には何千冊もの参考書が並んでいます。
大きな窓と壮大なシャンデリアに照らされ,頑丈な木製のテーブルと快適な椅子,真ちゅう製のランプが備わっています。
さて,この閲覧室ですが,かなりの数の映画のシーンに使われています。
私が一番心に残っているのは,ローランド・エメリッヒ監督の作品である「ディ・アフター・トゥモロー」です。
気象学者である主人公の子どもがニューヨーク滞在中に世界中が寒波に襲われ,その避難先がニューヨーク公共図書館でした。
主人公が寒波の中,図書館まで迎えに行くのですが,その間,ずっと図書館の本を燃やしながら待っているのでした。
最初に,大勢の人が避難している部屋がローズ・メイン閲覧室です。
真鍮製のランプがあることで分かりました。
ブライアント・パーク
ニューヨーク公共図書館を訪れたならば,その隣にあるブライアント・パークも訪れるべきです。
「ブライアント・パーク:Bryant Park」は,ニューヨーク市所有の公園ですが,運営は非営利団体のブライアント・パーク・コーポレーションが行っているそうです。
大きな芝生のところは,周辺の事務所に勤める人が昼食をとる場所として,また,通行人や観光客が休憩する場所としての他に,大きな催し物の観客席の役割も果たしています。
この芝生のところは,10月下旬から3月上旬の間はスケートリンクに変わります。
スケートリンクは無料で利用できるそうです。
芝生の周囲には,テーブルと椅子が用意されていて,カフェやグリルもあるため,食事やコーヒータイムにピッタリの場所だと言えます。
朝,昼,夕方,夜と,それぞれで違った景色に出会えそうです。
テーブルや芝生に座り,ニューヨーク公共図書館の外観やマンハッタンのビル群を眺めながら,コーヒーを飲むことを想像すると,とても素敵な時間に思えてきます。
さて,ニューヨーク公共図書館の開館時間は以下の通りです。
火曜日から金曜日:12時~5時
土曜日:1時~5時
日・月曜日:休館
もちろん,今後,変わる可能性があります。
図書館は2021年に改築工事を終え,それまでと公共スペースが約20%増え,玄関も新しく増えたそうです。
その様子を伝えるYouTubeがありましたので,埋め込んでおきます。
ニューヨーク公共図書館が制作した改築前の計画を伝える動画だと推測します。
ニューヨーク公共図書館は世界をリードする図書館の1つであることは間違いがなく,今後も進化していくことでしょう。
最後に,ニューヨーク公共図書館は,グーテンベルク聖書を所持していることで有名です。
グーテンベルク聖書についてはここ↓で詳しく紹介しています。
アメリカの美術館32選!【ボストン美術館,イザベラ・スチュワート・ガードナー美術館,イェール大学アートギャラリー】 mohamoha65
また,ニューヨーク公共図書館は,アイザック・ニュートンによる物理学書「自然哲学の数学的諸原理:Philosophiae naturalis principia mathematica」を所持していることでも名が知られています。
「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス」というドキュメンタリー映画をご存じでしょうか。
2016年にアカデミー名誉賞を受賞したドキュメンタリーの巨匠、フレデリック・ワイズマンが監督です。
これも映画予告のYouTubeを埋め込んでおきます。
これで,ニューヨーク公共図書館の紹介を終わります。
参考にしたHPは以下の通りです。
ニューヨークの4つの博物館を紹介する中で「ニューヨーク・シティー・パス」や「ニューヨーク・パス」についての情報も触れました。
次回ですが,ニューヨーク観光には欠かせない「ニューヨーク・シティー・パス」や「ニューヨーク・パス」の詳しい紹介をしたいと思います。
これらのセットになっている施設やツアーを一つ一つ調べることで,ニューヨーク観光の要所を掴むことができます。
私の長期アメリカ旅行にも間違いなく役立つと思います。
これらのセットになったパス・チケットは,ニューヨークだけでなく,主要な都市はあると思うので,博物館紹介の後に,その都市のパスチケットについて紹介するページを作成したいと思います。
その後に,また次の都市の博物館紹介に戻ります。
「ニューヨーク・シティー・パス」や「ニューヨーク・パス」の紹介の次の頁では,ワシントンD.C.にある博物館を紹介する予定です。
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