前回からアメリカにある博物館を32に絞って紹介をしています。
今回はその第2弾です。
まずは,ここで紹介する博物館の対象は以下の通りです。
○歴史にちなんだ施設
○観光名所にある施設
○「もの」を収集した施設
○既に紹介している美術館,そして,動物園・水族館・植物園の類は含めない
紹介の初回である前回は,独自ランキングで1位だったニューヨークにある「アメリカ自然史博物館」を紹介しました。
ランキングについては,こちらをご覧ください。
アメリカの博物館32選!【アメリカ自然史博物館】 mohamoha78
ランキングに従って,順位の通り紹介してもよいのですが,美術館を紹介したときと同じように地域ごとに紹介することにしました。
独自ランキングで32選した結果,選ばれた博物館の地域(市町)別の数は以下の通りです。
ニューヨーク州ニューヨーク:4つ
ワシントンD.C.:3つ
カリフォルニア州ロサンゼルス:5つ
カリフォルニア州サンフランシスコ:3つ
カリフォルニア州サンディエゴ:1つ
サウスダコタ州キーストーン:1つ
フロリダ州オーランド:2つ
フロリダ州キーウェスト:1つ
テキサス州ヒューストン:1つ
テキサス州ダラス:1つ
ミズーリ州セントルイス:1つ
ペンシルベニア州フィラデルフィア:1つ
ワシントン州ムキルテオ:1つ
テネシー州ピジョンフォージ:1つ
ジョージア州アトランタ:1つ
アリゾナ州ツーソン:1つ
オハイオ州クリーブランド:1つ
ウィスコンシン州ミルウォーキー:1つ
メリーランド州ボルチモア:
ノースカロライナ州アッシュビル:1つ
ケンタッキー州ルイビル:1つ
これから,地域ごとに一つか二つずつ紹介していきたいと思います。
さて,前回ランキング1位で紹介したアメリカ自然史博物館はニューヨークにあるので,まずはニューヨークにある博物館を紹介します。
今回紹介するのは,独自ランキング4位だった「自由の女神博物館」です。
自由の女神博物館:Statue of Liberty Museum(ニューヨーク州ニューヨーク)
「自由の女神博物館:Statue of Liberty Museum」は,マンハッタン島から約2.7km離れたニューヨーク港の中にある「リバティ島:Liberty Island」という小さな島にあります。
ハドソン川がアッパー湾に流れ出るところに位置しています。
自由の女神博物館は,2019年5月に新しく開館された,自由の女神像の建設とそれを維持するための継続的な取り組みを紹介している博物館です。
また,自由の女神のアメリカ文化においての位置付けが理解できる博物館でもあります。
自由の女神像
実は,自由の女神像については以前のページで紹介しています。
ニューヨーク州の25セント硬貨のデザインに自由の女神が描かれており,紹介したのでした。
よかったら,そちらの方もご覧ください。
【大西洋中部地区】州の25セント硬貨のデザイン紹介 mohamoha49
そのページに書いた自由の女神に関する情報を抜粋します。
・アメリカの独立100周年を記念して1886年にフランスから贈られました。
・1984年に世界遺産に登録されました。
・「自由の女神:Statue of Liberty」と呼ばれていますが,正式名は「世界を照らす自由:Liberty Enlightening the World」です。
・ニューヨーク以外にも,フランス各地に点在しています。
・灯台の役目も果たしていて,アメリカ合衆国に入国しようと大西洋を船で渡ってニューヨーク港に来た移民にとって,船上から目にする新天地の象徴でした。
・高さは約 46m,台座を入れると約 92mに及び, 表面は銅板に覆われています。
・ギリシア風の衣装をまとっているのは,ギリシャ神話の自由の女神「リベルタス」をモチーフにしているためです。
・右手には聖火を持ち,高く掲げています。
・左手には独立宣言書を抱えており,独立宣言の日である「1776年7月4日」と記されています。
・左足は一歩踏み出しており,足元には引きちぎられた鎖と足かせがあり,両足で踏みつけています。これは、全ての弾圧,抑圧からの解放と人類は皆自由で平等であることを象徴しています。
・頭部の王冠には7つの突起があります。これは7つの大陸,7つの海に自由を広げるという意味があり,自由を象徴しています。
・自由の女神の内部に入ることができ,その方法は2つあります。
・一つは,台座の上部にある展望台への入場です。この展望ポイントへ行くには,215段の階段を登るか,一部エレベータで登ることで辿りつけます。
・もう一つは,王冠部分にある展望台への入場です。王冠に昇るには狭いスペースの364段の階段で上がる必要があります。途中にむき出しになった骨組みや鉄板などが組み合わされた構造も見ることができます。狭い展望台はガラス窓になっており,ニューヨーク港を見渡せます。
これらに付け加えるべき新たな情報です。
・彫刻家バルトルディと技術者エッフェルによって設計されました。
・エッフェルは,女神像内部の鉄骨の設計をしたのですが,後にパリのエッフェル塔を設計することになります。
・本来は灯台のため,大陸ではなく大西洋の側を向いて立っています。
・ブロンズ製のため,本来は赤銅色でしたが,表面が酸化したことで現在の青緑色になりました。
・以前はトーチの部分にも昇ることができました。
・腕のモデルは,作者バルトルディの妻エミリーとされています。
・顔のモデルは,作者バルトルディの母シャルロットだとされています。
・自由の女神像は,アメリカの国が建立したのではなく,アメリカとフランスの市民によって建立されました。
・そのために,フランスでは1875年に,アメリカでは1877年に資金を集める団体が設立されました。
・フランスは彫像の,アメリカは台座の資金を提供しました。
・自由の女神像建立を現実のものにしたのは,大西洋の両側の国,フランスとアメリカの何十万人もの労働者と子どもたちの小さな寄付でした。
博物館の見どころ
博物館は,大きく分けて3つのギャラリーがあります。
イマーシブ・シアター:Immersive Theater
大画面で視聴できるシアターがあります。
約10分間の映像では,自由の女神にまつわる壮大な物語と自由の女神が表す社会の理想が表現されています。
ハイライトには,女神像の内部の仮想フライトを体験します。
エンゲージメント・ギャラリー:Engagement Gallery
このギャラリーでは,自由の女神像を設計した彫刻家フレデリック・オーギュスト・バルトルディと職人のチームにまつわるものが展示されています。
自由の女神に関するデザイン,制作,建設の過程を楽しむことができます。
インスピレーション・ギャラリー:Inspiration Gallery
インスピレーション・ギャラリーは,ガラスで囲まれている空間で,外からも見えるようになっています。
一番の目玉は,20世紀初めに女神が手にしていたトーチです。
レプリカではなく実際にのもので,内部に電球があります。
隙間から雨が入り劣化したため,女神像建立から100年後にあたる1986年に変えられたそうです。
昔は,この台座のところまで登れたそうで。さぞ,怖かったでしょうね。
画像の向かって右奥には,実物大の女神像の顔があります。
顔のモデルは,作者バルトルディの母シャルロットだそうです。
このギャラリーはガラスで囲まれている空間だということは言いましたが,外から内部が見えるだけでなく,中からも外の景色を望むことができます。
自由の女神像を背面から見たり,ニューヨークのスカイラインのパノラマ景色を楽しんだりすることができるのです。
ルーフ・デッキ:The Roof Deck
博物館の屋上には,玄関横から自由に上り下りでき,屋外からニューヨーク港を一望できます。
悪天候の時は,閉鎖されることもあるそうです。
自由の女神公式HP(The Statue of Liberty—Ellis Island Foundation, Inc)
博物館へのアクセス(フェリー)
女神像や博物館があるリバティー島はニューヨーク港にあるため,行くためにはフェリーに乗る必要があります。
自由の女神博物館の入館チケットは特になく,フェリーの乗船チケットがあればリバティー島に上陸でき,そのまま博物館にも入館できます。
「スタチュー・クルーズ船:Statue Cruise」を利用するのが一般的なようです。
2007年にアメリカ国立公園局は,ホーンブロワー・ヨット社のリバティー島とエリス島へのフェリー運航を公式な国の公認サービスとすることを発表しました。
そして,ホーンブロワー・ヨット社の関連会社であるスタチュー・クルーズLLC会社が,2008年に運航を開始しました。
2つの航路があり,一つはニュージャージー州のリバティ州立公園から出航していて,もう一つはニューヨークのバッテリー・パークから出航しています。
画像の青いラインが,ニュージャージー州のリバティ州立公園からのフェリーの航路で,エリス島に行った後リバティー島に行き,そして出航したリバティー州立公園に戻ります。
画像の黒いラインが,ニューヨークのバッテリー・パークからのフェリー航路で,リバティー島に行った後にエリス島に行き,そしてバッテリー・パークに戻ります。
リバティー州立公園からの航路とバッテリー・パークからの航路では,リバティー島とエリス島の順番が逆になっています。
フェリーに乗るためのチケットの購入は,3つの入手の仕方があります。
1,スタチュー・クルーズ・フェリー乗り場での窓口購入
チケットは乗船するフェリーを指定しているわけではなく,午前8時30分から午後5時まで約20~35分間隔で出航しているどのフェリーに乗ってもかまいません。
ニューヨーク・バッテリー・パークにあるチケット売り場は,「キャッスル・クリントン・ナショナル・モニュメント」というレンガ造りの建物で,米英戦争のために建てられた城塞だったそうです。
2,オンラインでの事前購入
オンラインでの購入も可能で,購入すると指定したメールアドレスにバウチャーが届きます。
当日に窓口でバウチャーをチケットに変えます。
3,ニューヨーク・パス,ニューヨーク・シティ・パスの購入
「ニューヨーク・シティー・パス」とは,複数の観光名所の入館料などがセットになっているもので,その中の一つにスタチュー・クルーズ乗船チケットも含まれています。
次のページで詳細を紹介する予定ですが,通常料金よりも40%割引になります。
「ニューヨーク・パス」とは,100以上もの観光名所と日数を選択してセットにするもので,その中の一つにスタチュー・クルーズ乗船チケットも含まれています。
これも次のページに紹介予定ですが,選び方次第で通常料金よりも軽く50%割引になる優れものです。
チケットの種類
チケットは3種類あります。
Reserve Ticket
リバティ島上陸・博物館入館(一般的なチケット)
Pedestal Reserve Ticket
台座(フォートウッドセクションと言うそうです)まで登ることができるチケット
・一般的なチケットと料金は変わりません。
・窓口での取引の際に,空き状況で購入できるときと購入できないときがあるようです(先着順)。
Crown Reserve Ticket
冠まで登ることができるチケット
・チケット1枚につき3ドルの料金が上乗せされます。
・事前の予約が必要で,オンラインのチケット購入時にするか,電話でするかのどちらかになります。
・当日の窓口では購入できません。
・予約の際に,1回につき4枚まで購入が可能で,1回目の購入で使用したクレジットカードでは再度購入することはできず,6か月間の空きが必要です。
・当日の窓口にてチケットを受け取る際には,チケット購入した際のクレジットカードと政府発行の有効な写真付き身分証明書が必要です。
・チケットを受け取る際には,グループ全員の出席確認があります。
・予約券に記載されている時間は,施設への入場時間で,フェリーの出港時間ではないため,記載されている時間の30分前にはリバティー島に到着している必要があります。
・リバティ島に到着後は,所定の場所に行き,王冠にアクセスできることを示すリストバンドを着けます。
・台座まではエレベーターがありますが,台座から王冠まではエレベーターがなく,162段の階段を昇り下りすることになります。(地上からだと全部で393段になります。)
・クラウン・チケットは5ヶ月前から予約可能で,数ヶ月前には完売してしまうそうで,3~4ヶ月前に購入した方がよいようです。
・「ニューヨーク・パス」「ニューヨーク・シティ・パス」ともに王冠へのアクセスは含まれていないため,別途にクラウン・チケットを予約する必要があります。
○どのチケットでも,リバティ島の歴史や像について詳しく知ることができる無料の屋外ツアーである「リバティ島レンジャーツアー」に参加できます(英語のみ)。
○どのチケットでも,見学をより充実したものにしてくれる音声ガイド機器の貸し出し「オーディオ・ツアー」を利用できます(日本語あり)。
観光クルーズ
博物館の紹介ページなのに,博物館に行かない観光クルーズを紹介します。
上記のリバティー・クルーズは昼間だけ運航しているのですが,観光クルーズは夜も運航しているからです。
自由の女神は夜間にライトアップされるのですが,ライトアップの時間帯はスタチュー・クルーズが運行されていないため,民間の観光クルーズを利用することになります。
私もニューヨークを訪れた際には,昼間にリバティー・クルーズを利用して,夜は観光クルーズで女神像のライトアップやニューヨークの夜景を楽しみたいと思っています。
ニューヨークでの観光クルーズは,ほぼ「サークルライン観光クルーズ:Circle Line Sightseeing Cruise」を利用するのが一般的なようです。
公式HPを見ると,いろいろな観光クルーズがあるようです。
短いのだと約50分,長いのだと約4時間半。
主に人気のあるクルーズはこの4つだと推測されます。
Best of NYC Cruise
マンハッタン島をぐるりと1周する2時間半のクルーズ
公式HPには,うちの会社で最も人気のあるクルーズだと書いてありました。
Landmarks Cruise
マンハッタン島の海よりを半周する1時間半のクルーズ
ハドソン川・イースト川,それぞれを往復する航路になります。
Harbor Lights Cruise
Landmarks Cruiseと全く同じ航路を夜の19:00に出発する2時間のクルーズ
Liberty Midtown Cruise
自由の女神を中心に,ダウンタウンやブルックリン,エリス島を巡る1時間のクルーズ
○以上の4つのすべてのクルーズに,自由の女神像の近くで撮影タイムのための停止時間があるようです。
○料金は日によって違います。
○スタンダード・シートとプレミア・シートがあり,プレミアはスタンダードの約1.5倍の料金です。
上記の公式HPに行って見てください。
それぞれのクルーズの地図上での航路や出発時間,料金が分かりやすく提示されています。
エリス島観光
リバティー島に行くスタチュー・クルーズのフェリーは,必ずエリス島に行くため,エリス島の紹介もしておきます。
エリス島は,かつてアメリカの移民局があった小さな島です。
1892年から1954年までのおよそ60年にわたり,船で来た主にヨーロッパからの移民が必ず通過しました。
現在は,移住者にまつわる歴史を紹介する「エリス島移民博物館:Ellis Island National Museum of Immigration」となっています。
博物館には,写真や生活用品などの展示や短編映画の上映などがあります。
当時の入国センターも忠実に再現されています。
YouTubeにて,エリス島の紹介DVDがありましたので,埋め込んでおきます。
DVDの題名が「Island of Hope, Island of Tears」となっています。
エリス島は「希望の島:Island of Hope」そして「嘆きの島:Island of Tears」と呼ばれていました。
「希望の島:Island of Hope」と呼ばれる理由は,現在「アメリカン・ドリーム」という言葉あるほどですから,理解できると思います。
「嘆きの島:Island of Tears」と呼ばれた理由は次のようなことからです。
当時,移民たちは到着後,入国できるか否かの判断材料として簡単な健康診断を受けていました。
移民の中の約2%ほどの人は,健康上の理由などから受け入れられなかったそうです。
その人たちにとっては,この島は「嘆きの島」と呼ばれているのです。
アメリカに入国できなかった移民たちは,移民局の後ろにあったエリス島病院に送られたそうです。
いろいろな検査や治療後に本国に送り返された人もいるようです。
エリス島公式HP(The Statue of Liberty—Ellis Island Foundation, Inc)
エリス島ハードハットツアー:Ellis Island Hospital Hard Hat Tour
島の北側にあるエリス島移民博物館には,毎年何百万人もの訪問者がいますが,南側の元病院複合施設は1954年以来,ほとんど手つかずで,一般の立ち入り禁止になっています。
エリス島のハードハットツアーは,この立ち入り禁止になっている元病院複合施設を歩いて見学するウォーキング・ツアーです。
所要時間は1時間半です。
施設の中では,JRというアーチストが手掛けた「Unframed」という展覧会も催されています。
ハードハットツアーで得られた収入は,1954年以来,放棄された建物を復元するために使用されるようです。
今回は以上です。
今回のページで参考にしたHPは,それぞれの項で紹介した公式HPです。
次回ですが,ニューヨークにある博物館紹介の3ページ目になります。
「ナショナル・セプテンバー11・メモリアル & ミュージアム」を紹介します。
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