アメリカの美術館32選!【ニューヨーク近代美術館】【MoMA PS1】 mohamoha61

美術館紹介

アメリカにある美術館の紹介,第5弾です。

アメリカの美術館を紹介するにあたって,独自のランキングをしています。

詳細についてはこちらをご覧ください。

アメリカの美術館32選!【デトロイト美術館】 mohamoha55

今回も,大西洋中部地方のニューヨーク州ニューヨーク市の美術館を紹介します。

今回は,ニューヨーク近代美術館とその別館であるMoMA PS1を紹介します。

ニューヨーク近代美術館:The Museum of Modern Art, New York(ニューヨーク州ニューヨーク市)

Museum of Modern Art photo by Bradley Weber on Flickr(Noncommercial use allowed)

ニューヨーク近代美術館は,名前の通り,19世紀後半の印象派からこれまでの近代美術に特化した美術館です。

頭文字をとって「MoMA」と呼ばれています。

ロックフェラー・ジュニアの妻であったアビー・アルドリッチ・ロックフェラーを中心とした3人の女性によって,1929年に開館しました。

開館時にはオフィスビルを間借りして展示していたそうですが,1939年に現在の地に来てから,これまで何回も増改築を繰り返し,現在の素晴らしい建物になっています。

2004年の増築には日本人の建築家により設計されました。

中庭は「アビー・アルドリッチ=ロックフェラー彫刻庭園:Abby Aldrich Rockefeller Sculpture Garden」と呼ばれ,素敵な空間になっています。

NYC – MoMA: The Abby Aldrich Rockefeller Sculpture Garden – Richard Serra Sculpture: Forty Years  photo by Wally Gobetz on Flickr(Noncommercial use allowed)

画像は2007年のもので,現在の庭園は展示作品も含めて変わっています。

さて作品の紹介に入りますが,最初に紹介したいのは,私がMoMAの中で一番,直にじっくりと鑑賞したい作品からです。

アンドリュー・ワイエス:Andrew Wyeth「Christinas world」

Andrew Wyeth kitten photo by WindRanch on Flickr(Noncommercial use allowed)

アンドリュー・ワイエス:Andrew Wyeth
「クリスティーナの世界:Christina’s World」
1948年
Tempera on panel

初めてこの絵を見た時は,衝撃を受けました。

草原のリアルさに加え,私の好きな「大草原の小さな家」に通じるものがあったからです。

それと,この女性は何を訴えているのだろうと思いました。

後にワイエスを調べると,主題はかなり重いものと分かりました。

草原に座っている女性は足に障害があり,這って家に帰ろうとしている様子を描いた作品なんです。

そしてワイエスは,アメリカン・リアリズムの代表的作家だということもわかりました。

女性の名前はクリスティーナ・オルソンと言い,ワイエスはこの女性に出会ってから約30年この女性を描き続けたそうです。

女性の住んでいたオルソン・ハウスは後にアメリカ合衆国国定歴史建造物に指定され,一般に公開されています。

Olson House, Maine  photo by lcm1863 on Flickr(Noncommercial use allowed)

ワイエスの絵では,家と納屋を離して描いていますが,実際は隣にありました。

ワイエスは,メイン州のこのオルソンハウスの近くに別荘があったそうです。

「クリスティーナの世界」は,1948年にギャラリーで公開され,批評家からは殆ど注目されなかったそうです。

それをMoMAの初代館長が1,800ドルで買い取り,館内に展示して人気になったそうです。

ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ:Vincent van Gogh「The Starry Night」

Museum of Modern Art (MOMA)  photo by Smart Destinations on Flickr(Noncommercial use allowed)

ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ:Vincent van Gogh
「星月夜:The Starry Night」
June 1889
Oil on canvas

ゴッホの絵の中では,この絵が一番迫力があり,かつ狂気を感じるのではないでしょうか。

ゴッホと言えば「ひまわり」と「糸杉」なのですが,その糸杉に星月夜が加わっているのですから,この絵の前に立つと何かに惹き込まれてしまうのではないかと思ってしまいます。

“The Starry Night,” Vincent van Gogh, Museum of Modern Art, 53rd Street, New York City.  photo by John St John on Flickr(Noncommercial use allowed)

ジャクソン・ポロック:Jackson Pollock「One: Number 31, 1950」

NYC – MoMA: Jackson Pollock’s One: Number 31, 1950  photo by Wally Gobetz on Flickr(Noncommercial use allowed)

ジャクソン・ポロック:Jackson Pollock
「One: Number 31, 1950」
1950
Oil and enamel paint on canvas

アクション・ペインティングの代表と言えばポロックとクーニングです。

ポロックをはじめとする抽象表現主義の画家がニューヨークで活躍することで,芸術の中心がパリからニューヨークになったと言われています。

ポロックの描き方は,キャンバスを床に広げて刷毛やコテで上から塗料を垂らせる「ドリッピング」というものです。

それに加えて,絵によっては,線を描く「ポーリング」という技法も取り入れています。

初期のころの作品は,まだ点や線の中にも顔か何かの具象的なものがなんとなくあります。

初期のころの作品もMoMAは展示しています。

画像の作品は,白と黒のドリッピングのみで描かれています。

自由気ままに垂らしているように見えますが,垂らす位置や量をコントロールしながらの制作だったと言われています。

ポロックの絵が,過去に約224億円の値がついたことで話題になりました。

その手法の自由さがアメリカでは絶賛され最高額になったと言われています。

私は,それだけの理由ではないと思っています。

ポロックは44歳で亡くなっています。

車の運転による事故死です。

ポロックは酒に酔い,ヒステリックに笑いながら猛スピードで車を飛ばしての事故だったそうです。

ポロックは,若い頃からアルコール依存症だったそうで,病院にも通っていました。

私はポロックとゴッホは似ていると思っています。

絵の中に潜む狂気,そして,早くに亡くなったこと,この2つの要素が絵を高額にしているのだと私は推測しています。

マルク・シャガール:Marc Chagall「Birthday」

Birthday  photo by Frans Vandewalle on Flickr(Noncommercial use allowed)

マルク・シャガール:Marc Chagall
「誕生日:Birthday」
1915年
Oil on cardboard

ニューヨーク近代美術館は,シャガールの代表作を2つ所有しています。

「birthday」と「I and the Village」です。

シャガールを紹介するときに一緒に代表作として「I and the Village」の方の絵を挙げている場合が多いです。

しかし,私は迷うことなく「birthday」を紹介することを選びました。

画像は,実際のものより一回り小さいです。

実際には男性の体は切れてなく,画面に収まっています。

私がシャガールの作品を好む理由は,妻のベガを題材としている作品を多く制作しているからです。

「birthday」はベガの誕生日にシャガールがサプライズの花束を贈った内容です。

ベガの病死後の作品もあります。

生前と比べてみると,シャガールは作品への感情移入がとても優れていることがわかります。

叶わないとは思いますが,一度でいいからオペラ座のシャガールの天井画を見てみたいと思っているのは私だけではないと推測します。

アンリ・マティス:Henri Matisse「Dance (I)」

New York’s Museum of Modern Art  photo by JR P on Flickr(Noncommercial use allowed)

アンリ・マティス:Henri Matisse
「ダンス(1):Dance (I)」
1909
Oil on canvas

アンリ・マティスの代表作の一つです。

考え抜かれた構図だと私は思います。

実はこのニューヨーク近代美術館にある「ダンスⅠ」は習作です。

ロシアのエルミタージュ美術館にあるのが「ダンスⅡ」であり,習作の翌年に完成された最終作品です。

この「ダンスⅠ」から2つの最終形が生まれています。

Dance&Music  photo by Lorenzo Blangiardi on Flickr(Noncommercial use allowed)

手前が「ダンス(Ⅱ):Dance(Ⅱ)」奥が「ミュージック:Music」です。

習作より,よりリズミカルで力強くなっていると感じます。

私はマティスの作品は,色彩豊かな静物の作品が好きです。

背景に窓のある静物画がかなりあると思いますが,どれもが色彩が個性的で部屋に飾りたいと思わせる作品です。

パブロ・ピカソ:Pablo Picasso「 Les Demoiselles d’Avignon 」

New York’s Museum of Modern Art  photo by JR P on Flickr(Noncommercial use allowed)

パブロ・ピカソ:Pablo Picasso
「アビニヨンの娘たち:Les Demoiselles d’Avignon」
1907年
Oil on canvas

ピカソの一番の代表作はと聞かれると,この「アビニヨンの娘たち」か「ゲルニカ」を挙げる方が多いと思います。

なぜ,この「アビニヨンの娘たち」の価値が中でも高いのか。

ピカソのと聞くと,ほとんどの方はいろいろな方向から一つの顔を描いた作品を思い浮かぶと思います。

キュビズムと呼ばれる,対象を分解して描く手法ですが,その発端となったのがこの「アビニヨンの娘たち」なのです。

ピカソは作風がいろいろと変わった画家なので,それぞれの作風を「○○時代」と呼んでいます。

「アビニヨンの娘たち」を描いたときは,アフリカ彫刻の影響を強く受けたときで,「アフリカ彫刻時代」と呼ばれています。

画像を見るとわかるように,アフリカの仮面と思われる顔が見られます。

この作品後,ピカソはキュビズムの時代に突入します。

ニューヨーク近代美術館には,ピカソのそれぞれの時代,青青の時代,薔薇色の時代,キュビズムの時代,新古典主義の時代などの代表作をそれぞれ所有しています。

それぞれの時代の代表作を紹介したいところなのですが,私がニューヨーク近代美術館の中のピカソの作品の中で一番のお気に入りを紹介することにします。

パブロ・ピカソ:Pablo Picasso「Green Still Life」

Green Still Life  photo by Lluís Ribes Mateu on Flickr(Noncommercial use allowed)

Pablo Picasso
Green Still Life
1914
Oil on canvas

私は,ピカソの絵では静物画が一番見応えがあると思っています。

一つ一つの描かれたものをいろいろ推測しながら鑑賞する楽しさがあります。

クロード・モネ:Claude Monet「 Water Lilies 」

Museum of Modern Art (MoMA)  photo by Olivier Bruchez on Flickr(Noncommercial use allowed)

クロード・モネ:Claude Monet
「睡蓮:Water Lilies」
1914-26
Oil on canvas, three panels

モネの睡蓮です。

これまで紹介してきたメトロポリタン美術館,シカゴ美術館,クリーブランド美術館にも,モネの「睡蓮」は所蔵されています。

なぜ,これまで紹介してこなかったのかというと,このニューヨーク近代美術館で紹介したかったからです。

ここの睡蓮は別格だと私は思っています。

その理由を説明します。

まずモネは連作を主とする画家であり,シカゴ美術館の紹介の時に私は「積みわら」の連作の作品を紹介しました。

連作とは,同じテーマで時間や季節を変えて複数の作品を制作することです。

それぞれの作品で,時の移ろいや異なる光,雰囲気を見事に表現しています。

「積みわら」の他にも「ポプラ並木」「ルーアン大聖堂」などの連作を制作しています。

さて,この「睡蓮」も連作です。

スケールが違います。

彼が亡くなるまで,晩年の約30年間を「睡蓮」の連作に取り組んでいます。

もちろん,その間は「睡蓮」だけでなく他の作品も次々と発表しています。

モネは50歳ぐらいの時にフランス北西部のジヴェルニーに引っ越します。

この時に自宅周りの農村で「積みわら」を制作するのですが,同時に自宅の庭に「水の庭」と称する池を造成し,睡蓮を植え,それをモチーフに制作を始めます。

「睡蓮」の連作には3つ時期があります。

第1連作では,主に橋が描かれています。(モネは庭に日本風の橋を造っています。)

第2連作では,画面を水面が占めるようになり,枝垂れ柳や空などが描かれています。

第3連作では,大きなアトリエを造り,巨大パネルに描く大装飾画を制作します。

この3つの連作で,モネは約300点以上の「睡蓮」を制作します。

そのうち,約40枚が巨大なパネルに描かれています。

そして,22枚のパネルで構成される8点の「大装飾画」は,フランスのパリにある印象派とポスト印象派の美術館である「オランジュリー美術館:Musée de l’Orangerie」に展示されています。

さて,巨大パネルに描かれた睡蓮の中の3枚1組が,ニューヨーク近代美術館に展示されているものです。

白内障の手術など,途中で何度も制作を中断せざるを得ない状況になったにも関わらず,モネは自分が満足する「大装飾画」を成し遂げました。

3枚組のパネルををフランス以外で見ることができるのは,ニューヨーク近代美術館のみです。

現在,庭園も含めたモネの家は美術館として観光地になっています。

庭園や睡蓮が浮かぶ池があり,家の中にはモネの作品の他に,ジャポニズムに傾倒したモネのために浮世絵のコレクションが展示されています。

Giverny (Eure) – Jardin de Claude Monet – Le Clos Normand – La maison  photo by Patrick on Flickr(Noncommercial use allowed)

パウル・クレー:Paul Klee「Around the Fish」

Around the Fish  photo by Thomas Hawk on Flickr(Noncommercial use allowed)

パウル・クレー:Paul Klee
「Around the Fish」
1926年
Oil and tempera on canvas mounted on cardboard

パウル・クレーを私のブログで初めて紹介します。

クレーは20世紀初めに活躍した画家で,色と線による抽象絵画を主な作品としています。

独自の色彩理論が確立していてそれに基づき表現しているため,鑑賞する人に安らぎを与える絵になります。

クレーの色彩理論は,バウハウスで教鞭をとったり,後に美術を学ぶ者にとってのバイブルとなる美術理論書を刊行したりしていることからも,その凄さが分かります。

バウハウスとは,ドイツにあった 合理主義的・機能主義的な芸術に関する総合的な教育を行った学校で, 現代社会のモダンな製品デザインの基礎を作りました。

また,音楽一家に生まれ,クレー自身もバイオリンの名手で,絵にはリズムとメロディーがあると言われています。

さて画像の作品ですが,かなり撮影の状況がまずいです。

実際はこのような発色はしておらず,作品はもっと大きいです。

展示されている作品はガラス越しに見るために,このように色が変化したりちょっと反射しているのだと推測されます。

本物の色はもっと落ち着いた色です。

下をクリックすると,近代美術館の作品紹介のページに飛びますので,作品の実際の色と絵全体を確認してください。

MoMA 「Around the Fish」

クレーの代表作ではないですが,クレーの静物画っぽい絵が珍しいため,画像がいまいちでも紹介しました。

ヴァシリー・カンディンスキー:Vassily Kandinsky「Panel for Edwin R. Campbell」

New York 045, Museum of Modern Art, Wasily Kandinsky photo by Allie_Caulfield on Flickr(Noncommercial use allowed)

Vasily Kandinsky
Panel for Edwin R. Campbell No2.,No. 3,No.4
1914
Oil on canvas

抽象絵画の創始者と呼ばれるロシア出身の画家,カンジンスキーです。

カンジンスキーと一つ前で紹介したクレーは,かなり似ています。

まず, 二人ともバウハウスで教鞭をとったり,美術理論書を刊行したりしています。

次に色と音楽の影響について強く語っています。

作品はシリーズものがあり,以下のものが有名です。

「インプレッション」風景を色彩的にとらえています。

「インプロヴィゼーション」無意識の表現として多数描かれています。

「コンポジション」自己の内面を表現しており,カンディンスキー自らが最も重要とした作品です。

さて,画像の作品ですが,上記の「インプロヴィゼーション」「コンポジション」シリーズを次々と発表していた具象から抽象へと変化していく時期に描かれたものです。

一番カンジンスキー「らしさ」が出ている作品だと思います。

MoMAの解説によると,題名にある名前の人のアパートの玄関広間に飾るために制作された作品だそうです。

全部で4つのパネルがあります。

画像ではそのうちの3枚が写っています。

実際には,これらの横に「No.1」ももちろん展示されています。

ピート・モンドリアン:Piet Mondrian 「Composition in Brown and Gray」

Composition in Brown and Gray photo by Lluís Ribes Mateu on Flickr(Noncommercial use allowed)

ピート・モンドリアン:Piet Mondrian
「Composition in Brown and Gray」
1913
Oil on canvas

カンジンスキーやクレーと同じように,抽象絵画を描いた最初の画家の一人,モンドリアンです。

モンドリアンと言えば,黒の垂直と水平の直線で分割された白地の画面に,赤,青,黄の三原色のみを用いた正方形で構成された作品が思い浮かびます。

MoMAにもその代表作「ブロードウェイ・ブギウギ:Broadway Boogie Woogie」があるのですが,良い画像が見つからず,こちらの作品を紹介しました。

「Composition in Brown and Gray」は,赤・青・黄の三原色の正方形の構成による作品群を制作する前の時期のものです。

私は,よく知られたモンドリアンの作品よりも木や風車を描いた作品など,その前に制作されたものの方が好きです。

モンドリアンもまた,音楽と作品を関連付けており,ニューヨーク・ジャズ,中でもブギウギが好きでした。

アンディー・ウォーホル: Andy Warhol「Campbell’s Soup Cans」

campbell’s soup  photo by brando on Flickr(Noncommercial use allowed)

アンディー・ウォーホル:Andy Warhol
「キャンベルのスープ缶:Campbell’s Soup Cans」
1962
Acrylic with metallic enamel paint on canvas, 32 panels

アメリカン・ポップカルチャーのアンディー・ウォーホルです。

私はウォーホルをじっくりと鑑賞しようという気にはならないのですが,作品の価値は理解できます。

まず,シルクスクリーン(版画の一種)の技法を用いて機械的な手法を取り入れた前衛作品と言えます。

全て機械的な作業ではなく,人の手による創作とうまくミックスしています。

また,大衆文化から主題を得て,これまでの芸術作品の主題とはかなりかけ離れたものにしたことで,新たな美術的価値を生み出したと言えます。

大衆文化から主題を得た最も足る作品が「キャンベルスープの缶:Campbell’s Soup Cans」だと思います。

1962年に制作した作品で,全部で32枚のキャンバスがあります。

次も,ウォーホルと言えばの代表作を紹介します。

アンディー・ウォーホル: Andy Warhol「Marilyn Monroe」

“Marilyn” (1967), screen prints by Andy Warhol (August 6, 1928 – February 22, 1987 (58)), Museum of Modern Art, New York City. photo by John Wisniewski on Flickr(Noncommercial use allowed)

アンディー・ウォーホル:Andy Warhol
「マリリン・モンロー:Marilyn Monroe」
1967
Portfolio of ten screenprints

ウォーホルの有名人のシルクスクリーンと言えば,真っ先に思い浮かぶのがこのマリリン・モンローでしょう。

近代美術館の作品紹介ページでは, 「キャンベルのスープ缶」を32枚まとめて紹介しているのに対して,「マリリンモンロー」の方は10枚をそれぞれ「untitled」で紹介しています。

ロイ・リキテンスタイン: Roy Lichtenstein「Drowning Girl」

Roy_Lichtenstein_Drowning_Girl  photo by omino 71 on Flickr(Noncommercial use allowed)

Roy Lichtenstein
Drowning Girl
1963
Oil and acrylic on canvas

アメリカン・ポップカルチャーと言えばもう一人,リキテンスタインです。

新聞に連載される4コマ漫画のように,単純化された強い輪郭と色を油彩で表現しています。

MoMAの作品解説によると,これらの初期の作品には元となったコミックがあるそうです。

この作品で言うと,元のコミックではおぼれている彼女のところに恋人がいるようです。

とすると,この作品のセリフの意味が理解できます。

グスタフ・クリムト:Gustav Klimt「Hope, II」

New York’s Museum of Modern Art  photo by JR P on Flickr(Noncommercial use allowed)

グスタフ・クリムト: Gustav Klimt
「Hope, II」
1907-08
Oil, gold, and platinum on canvas

メトロポリタン美術館の紹介の時に,クリムトの作品を始めて紹介しました。

クリムトは私が一番好き作家です。

メトロポリタン美術館で紹介した作品は,「黄金の時代」と呼ばれる時期の作品ではなく,晩年の作品でした。

さて,この作品は「黄金の時代」の時期の作品で,金箔がこれでもかと使用されています。

題名は「Hope Ⅱ」となっていて,当然「HopeⅠ」もあります。

両方とも妊婦を描いた作品です。

「HopeⅠ」はカナダ国立美術館にあります。

妊婦の満悦している様を描いているかと思いきや,髑髏が描かれていて,絵の解釈をより複雑にしています。

官能的な作品が多いクリムトですが,死をにおわせる作品が多いのも彼の作品の特徴です。

サルバドール・ダリ:Salvador Dalí「The Persistence of Memory」

The Persistence of Memory photo by Lluís Ribes Mateu on Flickr(Noncommercial use allowed)

サルバドール・ダリ:Salvador Dalí
「記憶の固執:The Persistence of Memory」
1931
Oil on canvas

シュルレアリスムの代表のダリです。

シュルレアリスムとは,日本で「超現実主義」と呼ばれ,意識の下に閉じ込められている無意識の欲望を描くことによって自由を表現するものです。

シュルレアリスムと言えばダリの名前がすぐに出てくるので,ダリが始めたと思っている方がいると推測するのですが,ダリが生み出したわけではなく,画家を志しているときにシュルレアリスムの道に行こうと決めています。

そして,ダリはひとつのイメージに別のもうひとつのイメージを重ね合わせた手法を生み出します。

「記憶の固執」は彼の代表作であるだけでなく,この手法を取り入れた最初の作品であり,また,この作品によりダリの名が世に広まりました。

「記憶の固執」は,絶対的な時間というものを表している「時計」と曖昧さを連想させる「溶けたチーズ」という対照的な2つを重ね合わせています。

ダリは絵画だけでなく,彫刻や版画,舞台,映画制作,また商品のロゴデザインと幅広い表現活動をしており,商業的な成功も収めています。

記録を見ると,風貌から分かる通り故意に目立つ言動をとることが多かったようです。

また,死後においても裁判を起こされ,ダリの墓から遺体を発掘し,毛髪などをDNA鑑定されています。

ジョアン・ミロ:Joan Miró「The Birth of the World」

New York’s Museum of Modern Art  photo by JR P on Flickr(Noncommercial use allowed)

ジョアン・ミロ:Joan Miró
「世界の起源:The Birth of the World」
1925
Oil on canvas

ミロもまた,ダリと同じくシュルレアリスムの画家と位置付けられています。

MoMAの解説によると,ミロは,パリでの博覧会の成功を収めた後に,母国のスペイン・カタルーニャにある家族の農場でこの絵を描きました。

ミロが後に「創世記の一種:a sort of genesis」と題したのに対し,シュルレアリスムの詩人の友人が「世界の起源: The Birth of the World 」と題し,こちらを採用したそうです。

画像は,光の関係で全体にちょっと黄色がかった色をしています。

以上で,ニューヨーク近代美術館を終わります。

ニューヨーク近代美術館(MoMA)公式HP

MoMA PS1(ニューヨーク州ニューヨーク市)

PS1 in the Queens skyline, with Manhattan skline behind.  photo by Timothy Vogel on Flickr(Noncommercial use allowed)

MoMA PS1は,ニューヨーク近代美術館の別館です。

この別館が建てられるきっかけとなったプロジェクトがありました。

1971年に遡ります。

ニューヨーク市の放棄された十分に活用されていない建物をアーティストスタジオや展示スペースに変えることを目的とした「芸術都市資源研究所:the Institute for Art and Urban Resources Inc.」が設立されました。

1976年,使用されていない公立学校の建物に「PS1現代美術センター」を開設しました。

1892年に建てられたこのロマネスク様式の建物は,1963年までロングアイランドシティの最初の学校で,子どもの出席率が低いため閉鎖され,倉庫になっていたところでした。

1997年に改修工事をして,敷地面積が広くなりました。

2000年に近代美術館とPS1現代美術センターが正式に合併しました。

2010年に合併10周年を記念して,名称を「MoMA PS1」に変更しました。

このような経緯のため「MoMA PS1」は,非営利の文化・教育活動を行なう現代美術専門の展示施設です。

一般的な美術館のようなコレクションの保存・公開は原則として行なわず,主に実験的な現代美術の企画を年間50本以上開催しています。

PS1  photo by Thomas Hawk on Flickr(Noncommercial use allowed)

カフェやギフトショップなどもあります。

下の画像は,2012年当時のもので現在は変わっています。

5pointz nyc  photo by wheresaddie on Flickr(Noncommercial use allowed)

MoMA PS1公式HP

今回は,これで終了です。

今回のページで参考にしたHPは以下の通りです。(各美術館の公式HPは各項の最後に紹介しています。)

ニューヨーク近代美術館ウィキペディア

Petite New York

MoMA PS1 Wikipedia

Petite New York

次回もニューヨーク市にある美術館の紹介です。

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