米国造幣局の200周年記念コインの紹介の第4弾です
「南部」を4回に分けて紹介するのですが,今回は「西南中部地区」の紹介です。
「西南中部地区」と言われてもピンとこないと思います。
行政的に分けている区分なのですが,以前のページ「「プレーリー」「ブルーグラス」「コットンベルト」:地域の呼び名の話② mohamoha 11」で使用した行政区分の地図で示しますね。
南部(SOUTH):西南中部地区(WEST SOUTH CENTRAL)の州のコイン

オクラホマ州の記念コイン


オクラホマ州:OKLAHOMA
1907年に加盟(46番目)
エンビタイランチョウ:a scissor-tailed flycatcher
オオテンジンギク:Indian blankets
2008年発行
「エンビタイランチョウ:a scissor-tailed flycatcher」

スズメ目タイランチョウ科に分類される鳥で,「オクラホマ州の公式の州鳥:the official state bird of Oklahoma」です。
「シザーテイル・フライキャッチャー」の名のように,ハサミの刃のような細長い尾っぽを持ち,虫を捕まえる鳥です。
この鳥は,オクラホマ州を住処の中心としており,冬には南の方を住処とするため,夏の終わりには約1000羽の大群が見られます。
ハサミのような尾っぽは,体長の2倍の長さにすることができるそうです。
法律で保護されていますが,オクラホマ州では数が減少しているそうです。
「オオテンジンギク:Indian blankets」

オオテンジンギグは,漢字で「大天人菊」と書き,オクラホマ州の暑くて乾燥した天候に適した野生の花で「オクラホマ州の公式の野花:state wildflower」です。
花の特徴から「火輪:firewheel」とも呼ばれるオオテンジンギグは,オクラホマ州に昔から自生しており,先住民人口が50州の中で最も多いオクラホマ州のネイティブ・アメリカンの文化を象徴する花です。
アーカンソー州の記念コイン


アーカンソー州:ARKANSAS
1836年に加盟(25番目)
ダイヤモンド: a diamond
稲穂:rice stalks
松の木に囲まれた湖:a lake bordered by pines
湖上を飛ぶマガモ:a mallard duck flying above
2003年発行
「ダイヤモンド: a diamond」
ダイヤモンドは,アーカンソー州の「州の宝石:the state gem」です。
州のニックネーム「ダイヤモンド・ステイト」を「「牛肉の州」「牡蠣の州」「宝石の州」:特産物由来の州ニックネームの話 mohamoha15」で紹介しています。
州内の「クレーター・オブ・ダイアモンズ州立公園:CRATER OF DIAMONDS STATE PARK」は,入場者が自分で見つけたダイアモンド原石を持って帰ることのできる米国で唯一の場所です。
6ドルを払えば好きなだけダイアモンドを探し,見つけた原石は価値に関わらず自分の物にしてよいというところです。
アメリカ産のダイアモンドとして最も有名なアンクル・サム・ダイアモンド(40.23cts)は1924年にこの場所で発見されています。
2007年には,ウィスコンシン州からの来園者が,200万円以上の価値がある5.47カラットのイエロー・ダイアモンドを発見したそうです。
年に数人は,1カラットを越えるダイアモンド原石を発見しているようです。
「稲穂:rice stalks」
「「桃の州」「煙草の州」「ピーナッツの州」:農産物由来の州ニックネームの話 mohamoha14」にて,「ライス・ステイト」としてサウスカロライナ州を紹介しました。
アメリカで最初にコメの栽培が始まった州がサウスカロライナ州ですが,18世紀ごろまでの話で,現在のコメの収穫は全米1位がアーカンソー州,2位がカリフォルニア州だそうです。
アーカンソー州では近年,商業的なコメの栽培に成功し,広大な大平原が次々と田んぼに変わっていきました。

2020年のアーカンソー州でのコメの収穫の画像ですが,日本とは比べ物にならない規模の大きさですね…。
日本の場合は,機械の操作がしやすいように田んぼの大きさを揃えているということもありますが,それにしてもアメリカは規模がでかいです。
「松の木に囲まれた湖:a lake bordered by pines」
「湖上を飛ぶマガモ:a mallard duck flying above」
アーカンソー州の公式の木である「松の木」に囲まれた湖から「マガモ」が飛び立つデザインが描かれています。
アーカンソー州は,湖や沼が多く,マガモ猟が有名らしいです。
アーカンソー州は自然が豊かで,州の公式ニックネームも「The Natural State」となっています。(州の魅力を伝える州ニックネームの話 mohamoha32)
テキサス州の記念コイン


テキサス州:TEXAS
1845年に加盟(28番目)
テキサス州の輪郭:an outline of Texas
五芒星:the Lone Star
西部の投げ縄:western lariat
「The Lone Star State」
2004年発行
「テキサス州の輪郭:an outline of Texas」
五芒星の背面をよく見ると,州の輪郭になっています。
メダル画像の上にある地図で,コインに描かれた形と比べてみてください。
「五芒星:the Lone Star」
「The Lone Star State」
一つ星である「五芒星」や州のニックネームである「the Lone Star」は「州の魅力を伝える州ニックネームの話 mohamoha32」で,紹介しています。
ぜひ,そちらの方をご覧ください。
「西部の投げ縄:western lariat」
コインの縁には,カウボーイの歴史と開拓者精神を象徴する「投げ輪:lariat」が描かれています。
「投げ輪」を英語で「lariat(ラリアット)」と言うことを初めて知りました。
子どもの頃によく見たテキサス出身のプロレスラー「スタン・ハンセン:Stan Hansen」の必殺技である「ウェスタン・ラリアット:western lariat」って,「西部式投げ縄」っていう意味だったんですね。
ルイジアナ州の記念コイン


ルイジアナ州:LOUISIANA
1812年に加盟(18番目)
ペリカン:brown pelican
トランペットと音符: a trumpet and musical notes
ルイジアナ購入の範囲を示す地図:an outline of the original Louisiana purchase
「Louisiana Purchase」
2002年発行
「ペリカン:brown pelican」
「ペリカン・ステイト」という州のニックネームを持っているほど,ペリカンはルイジアナ州の公式の「州鳥:the state bird」になっています。
詳しくは「「ペリカン州」「ビーバー州」「ゴーファー州」:動物由来の州ニックネームの話① mohamoha16」をご覧ください。
「トランペットと音符: a trumpet and musical notes」(a musical symbol for New Orleans Jazz)
ここで描かれているトランペットと音符は,ニューオリンズで生まれたジャズを象徴しています。
ニューオリンズを中心とした南部で初期のジャズの一つが生まれ,そこからいろいろなスタイルのジャズになっていきます。
私はニューオリンズ・ジャズという言葉よりもディキシーランド・ジャズと言った方がしっくりきます。
ニューオリンズと言えば,有名なジャズ・フェスが年に一度,開催されます。
私はもちろん行ったことがないので,一度は行ってみたいと思っているフェスです。
「ニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテッジ・フェスティバル:New Orleans Jazz & Heritage Festival」です。
4月の最終週と5月の第1週の計7日間で開催され,日本のゴールデン・ウィークの時期になります。
ニューオーリンズでは,謝肉祭である「マルディグラ祭:New Orleans Mardi Gras」と並び最大級のイベントです。
会場は「フェアグラウンズ競馬場:Fair Grounds Race Course」で,10個ほどのステージが設置され,ジャズをはじめ,ロック,ブルース,ケイジャンなど様々なジャンルの音楽が演奏されるようです。
会場内にはアートや食を紹介する出店,展示,実演コーナーなども設けられます。

ニューオリンズについてもう一つ。
ニューオリンズの「フレンチクォーター:The French Quarter」では,各ブロックごとに多くのストリート・パフォーマーがライブをしています。
フレンチ・クオーターは,アメリカ国定歴史建造物に指定されています。
ディキシーランドジャズだけでなく,ブルース,ロック,カントリーやR&Bなど様々な音楽が演奏されています。

有名な「バーボン・ストリート:Bourbon Street」には,多くのライブハウスやバーがあります。

本格的なディキシーランド・ジャズを聞きたい場合,バーボン・ストリートにある「プリザベーションホール:Preservation Hall」にいくといいです。
プリザベーションホールは,ジャズ専用のコンサート会場として毎晩4公演をおこなっています。

「ルイジアナ購入の範囲を示す地図:an outline of the original Louisiana purchase」
「Louisiana Purchase」
「ルイジアナ購入:Louisiana purchase」というのは,1803年にトーマス・ジェファーソン大統領が,当時はフランス領であった約210万km2にもおよぶ広大な土地をわずか1500万ドルでナポレオン・ボナパルトから購入したという出来事です。
「史上最もお得な不動産取引」と呼ばれるこの買い物により,合衆国の領土はほぼ倍になり,13もの新しい州が加わりました。
フランス領ルイジアナについては,「「リンカーンの州」とアメリカ南北戦争の話 mohamoha31」と「西部開拓を由来とする州ニックネームの話 mohamoha34」にて,詳しく紹介しています。
mohamoha31で使用したフランス領ルイジアナ(ルイジアナ購入でアメリカが手に入れた範囲)の大まかな地図を貼っておきます。

今回はここまでです。
州の25セントコインの紹介記事から情報源の提供を忘れていました。
mohamoha37~今回のページの情報源は以下のとおりです。
「state symbols USA」
「50州25セント硬貨 Wikipedia」
「コインと語源で旅するアメリカ50州」
次回は「南部」の「東南中部地区」の4州,ケンタッキー州とテネシー州,ミシシッピ州,アラバマ州を紹介します。
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