米国造幣局の200周年記念コインの紹介の第13弾です。
このシリーズも残り一つとなり,北東部のニューイングランド地区を2回分けて紹介します。
今回はその1回目で3州の紹介です。
北東部(NORTHEAST):ニューイングランド地区(NEW ENGLAND)の州のコイン
バーモント州の記念コイン
バーモント州:VERMONT
1791年に加盟(14番目)
楓の樹液採集:collencting the sap of maple trees
キャメルズ・ハンプ山:Camel’s Hump Mountain
「Freedom and Unity」
TJ
2001年発行
楓の樹液採集:collencting the sap of maple trees
バーモント州はメープルシロップが有名です。
メープルシロップは,楓の木から樹液を集め,それらを煮詰めて作られます。
コインの絵は,楓の幹から樹液をバケツに集めているところです。
メープルは,1993年にバーモント州の公式の州の味に指定されています。
画像は,ミシガン州で撮影されたものです。
樹液の収集は春の早い時期にされ,樹液を煮込み,蒸発させて濃縮してメープルシロップになるそうです。
最高級のシロップを作るには,約40倍の樹液が必要なのだそうです。
画像のメイプルシロップは,バーモント州で作られたものです。
楓の木は,広葉樹の中で最も大きく,22歳までは花が咲くことはなく,300年から400年も生長するそうです。
バーモント州は,1949年に楓の木を州の樹木に指定しています。
また,五大湖周辺がメイプルシロップの産地であり,楓の木を州の樹木に指定している州は,バーモント州以外に,ニューヨーク州,ウェストバージニア州,ウィスコンシン州があります。
キャメルズ・ハンプ山:Camel’s Hump Mountain
コインの背景には,「ラクダのこぶ」という意味の「キャメルズ・ハンプ山:Camel’s Hump」が刻まれています。
コインではよくわかりませんが、ふたつのコブを持った形をしています。
画像はコインの絵とよく似た形をしていますが,「ラクダのこぶ」と言われるとちょっと悩んでしまいます。
「Freedom and Unity」
「Freedom:自由」と「Unity:団結」の意味になります。
これは,「バーモント州のモットー:the state motto」です。
バーモント州にはもう一つ,ラテン語の州のモットーもあります。
ラテン語で「ステラ・クアルタ・デシマ・フルゲト:Stella quarta decima fulgeat」と言って,和訳すると「14番目の星が明るく輝きますように」だそうです。
バーモント州は合衆国に14番目に加盟した州になります。
TJ
おそらく,コインの原版のデザイン作者である「T.ジェームス・ファーレル:T. James Ferrell」のイニシャルだと思われます。
ニューハンプシャー州の記念コイン
ニューハンプシャー州:NEW HAMPSHIRE
1788年に加盟(9番目)
「キャノン山:Cannon Mountain」にある岩「山の老人:Old Man of the Mountain」
「OLD MAN OF THE MOUNTAIN」
「LIVE FREE OR DIE」
9つの星:9 stars
WC
2000年に発行
「OLD MAN OF THE MOUNTAIN」
「キャノン山:Cannon Mountain」にある岩「山の老人:Old Man of the Mountain」
コインの右側に描かれているのは,岩山に飛び出ている「老人の顔」です。
正確に言うと,州内北部へ抜けるハイウェー沿いの「キャノン山:Cannon Mountain」にある横から見ると老人の顔のように見える岩になります。
アメリカでは「山の老人:The Old Man of the Mountain」と呼ばれています。
今から約2千年から1万年前に氷河が北へ後退した際に形成された花崗岩になります。
高さ約120m・幅約70mの巨大なものです。
残念ながら,現在はこの岩は見ることができません。
2003年5月3日に崩れ落ちてしまいました。
崩壊する前の1995年に撮影されたものがこちらです。
崩壊後の 2004年に撮影されたものがこちらです。
「山の老人」の岩は,「ニューハンプシャー州のエンブレム:New Hampshire’s official state emblem」にもなっていただけに,とても残念です。
「LIVE FREE OR DIE」
コイン左端には,「州のモットー:New Hampshire’s state motto」が刻まれています。
意味は,「自由を,さもなくば死を」になります。
ニューハンプシャー州で最も著名な革命戦争の英雄である「ジョン・スターク将軍:John Stark」の乾杯の言葉からの引用だそうです。
9つの星:9 stars
コインの左側には,9つの星で縁取られています。
合衆国に加盟した9番目の州であることを表しています。
WC
おそらく,コインの原版のデザイン作者である「ウィリアム・カズンズ:William Cousins」のイニシャルだと思われます。
メイン州の記念コイン
メイン州:MAINE
1820年に加盟(23番目)
ペマキッド岬の灯台:Pemaquid Point lighthouse
白松:a white pine
スクーナー船「ボウドイン」:the schooner Bowdoin
2003年に発行
ペマキッド岬の灯台:Pemaquid Point lighthouse
コイン左に描かれているのは,ペマキッド岬に立つ灯台で,この海域で頻発していた浅瀬による海難事故を防ぐために1826年に建設されたものです。
当初の建物は1835年に建て替えられましたが,今でも現役で,人気の観光スポットになっています
メイン州には灯台が64あるそうで,その中でも観光名所である有名な灯台は上記の「ペマキッド岬の灯台」以外に2つあります。
一つは,「アラバマ州のニックネームと映画「フォレスト・ガンプ」の話 mohamoha27」で紹介した「マーシャルポイント灯台:Marshall Point Lighthouse」です。
もう一つは,「ケープエリザベス:Cape Elizabeth」にある「ポートランドヘッドライト灯台:Portland Head Light Lighthouse」です。
ジョージワシントンの指示の元で1791年に完成した州で一番歴史の古い灯台です。
灯台守の宿舎だった建物の内部が博物館になっています。
白松:a white pine
白松はメイン州の公式の州の木です。
「「ひまわり州」「モクレン州」「常緑樹の州」:植物由来の州ニックネームの話② mohamoha20」にて紹介しています。
画像は,メイン州のすぐ近くにあるニューハンプシャー州のポーツマス港の岸辺にある白松です。
ポーツマスと言えば,日本とロシアの間の日露戦争の講和条約が締結された場所です。
「植民地時代,独立戦争に関係する州ニックネームの話 mohamoha26」で詳しく紹介しています。
スクーナー船「ヴィクトリーチャイムズ」:the schooner Victory Chimes
「スクーナー:schooner」とは,帆船の種類です。
画像のように,マストが2本以上,帆を縦に張るのが特徴です。
オランダで16世紀から17世紀にかけてよく使われ,アメリカ独立戦争の時にアメリカ東海岸で発展したそうです。
画像のスクーナー「ヴィクトリー・チャイムズ」は,1900年に建造され,3本マストスクーナーとしては唯一現存する帆船だそうです。
コインに描かれたスクーナーのモデルと言っても良いでしょう。
現在も港から港へ観光としてクルーズしているそうです。
スクーナーで有名なのがメイン州にはもう1艘あります。
メイン州の公式な州の船である「ボウドイン:the schooner Bowdoin」です。
詳しくは,1987年にメイン州の「公船:the official state vessel」に指定された北極探査船です。
「ボウドイン」は,1921年にメイン州の「イーストブースベイ:East Boothbay」で建造され,その後,約30回も北極の海域を航海しました。
現在は,アメリカの「歴史的建造物:National Historic Landmark」に指定され,メイン州「カスティーヌ:Castine」にある「海事アカデミー艦隊:Maine Maritime Academy’s fleet」の一つになっています。
今回はここまでです。
今回のページの情報源は以下のとおりです。
「state symbols USA」
「50州25セント硬貨 Wikipedia」
「コインと語源で旅するアメリカ50州」
いよいよ次回で「州の25セント硬貨のデザイン紹介」はラストになります。
北東部のニューイングランド地区の州の2つ目を紹介していきます。
コネチカット州,ロードアイランド州,マサチューセッツ州の3州の記念コインの紹介をします。
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