米国造幣局の200周年記念コインの紹介の第11弾です。
今回は,中西部の東北中部地区の5州の紹介です。
中西部(MIDWEST):東北中部地区(EAST NORTH CENTRAL)の州のコイン
ウィスコンシン州の記念コイン
ウィスコンシン州:WISCONSIN
1848年に加盟(30番目)
乳牛:a dairy cow
円形チーズ:a round of cheese
とうもろこし:an ear of corn
「Forward」
「AM」
2004年発行
乳牛:a dairy cow
五大湖周辺は酪農が盛んな地域で,特にウィスコンシン州は盛んです。
以前はミルクの生産量が全米1位でしたが,現在はカリフォルニア州に次いで全米2位です。
一人あたりのミルク生産量では,アイダホ州,バーモント州に次いで第3位です。
ウィスコンシン州は,人より牛が多いと言われていますが,実際には人口550万人以上に対し牛は200万頭程度で,牛は人の半分以下です。
乳牛は1971年にウィスコンシン州の州の家畜に指定されています。
また,牛乳は1987年にウィスコンシン州の公式の州の飲料に指定されています。
ウィスコンシン州で生産された牛乳の約半分は飲料として消費され,残りはバター,チーズ,アイスクリーム、粉ミルク等に使用されています。
円形チーズ:a round of cheese
チーズの生産量はアメリカ国内の約4分の1を生産しており,アメリカで第1位です。
チーズの生産量もアメリカ国内の約4分の1を生産しており,アメリカで第2位です。
とうもろこし:an ear of corn
酪農製品の他には,トウモロコシの生産も盛んです。
トウモロコシの生産量はアメリカで第9位で,飼料用のトウモロコシに限れば,アメリカ第1位です。
ウィスコンシン州は,1989年にトウモロコシを公式の州の穀物に指定し,家畜飼料の他,エタノール燃料,甘味料,プラスチック等の用途に使用しています。
トウモロコシの数え方は「an ear of corn」で,「耳」として数えるんですね。
調べてみると,トウモロコシ1本やトウモロコシの穂の場合は「ear」を用いて,皮を含む穂全体の未調理の食材のイメージを伴うそうです。
ちなみに,造幣局のミスによりウィスコンシン州の記念コインの中に,とうもろこしの葉が一枚多く印刻されているバージョンが出回ってしまい,収集家の間で高値がつけられたとそうです。
相場を調べてみると,通常のコインが約200円なのに対してトウモロコシの葉が1枚多いバージョンは約5万円でした!
以上の,「乳牛」「ラウンド・チーズ」「トウモロコシ」の3つが,ウィスコンシン州の「農業シンボル:agricultural symbols of Wisconsin」になっています。
「Forward」
「FORWARD:前進」は,ウィスコンシン州の「州のモットー:the state motto」です。
州のモットーはけっこう古く,1851年に採択されました。
「AM」
おそらく,コインの原版のデザイン作者である「アルフレッド・マレツキー:Alfred Maletsky」のイニシャルだと思われます。
ミシガン州の記念コイン
ミシガン州:MICHIGAN
1837年に加盟(26番目)
五大湖の形:the Great Lakes system
州の形
「GREAT LAKES STATE」
2004年に発行
五大湖の形:the Great Lakes system
スペリオール湖:Lake Superior,ミシガン湖:Lake Michigan,ヒューロン湖:Lake Huron,エリー湖:Lake Erie,オンタリオ湖:Lake Ontario
地図を拡大してみると,5つの湖はすべて川等で繋がっているのが分かります。
州の形
五大湖の中にはさまれるようにミシガン州があります。
ミシガン州は,五大湖のうちオンタリオ湖をのぞく四つの湖(スペリオール湖,ミシガン湖,ヒューロン湖,エリー湖)に面しています。
かつて,世界の自動車産業の首都と呼ばれていたデトロイトの発展は,五大湖の水陸交通の利便性に拠るところが大きいです。
ミシガン湖とヒューロン湖のところで,ミシガン州は2つに分かれていると思われがちですが,かろうじて繋がっています。
その辺りをグーグルマップで確認するとこうなっています。
「マカノー橋:Mackinac bridge」で繋がっています。
「GREAT LAKES STATE」
ミシガン州のニックネーム「五大湖州:Grate Lakes State」がロゴになっています。
「公園・庭園・湖が由来の州ニックネームの話 mohamoha23」にて紹介しています。
イリノイ州の記念コイン
イリノイ州:ILLINOIS
1818年に加盟(21番目)
イリノイ州の形:an outline of Illinois
若き日のリンカーン:young Abe Lincoln
農村の様子:a farm scene
シカゴ市のビル群:the Chicago skyline
21の星:21 stars
「Land of Lincoln」
「21st state/century」
2003年に発行
イリノイ州の形:an outline of Illinois
コインの中央にイリノイ州の輪郭が刻まれ,その中に若き日のリンカーン大統領が描かれています。
「Land of Lincoln」
若き日のリンカーン:young Abe Lincoln
第16代大統領エイブラハム・リンカーンがその人生の大部分を過ごした場所が,「ランド・オブ・リンカーン」のニックネームを持つイリノイ州です。
州の輪郭の中には,若い頃にイリノイ州にいたリンカーンが描かれています。
「「リンカーンの州」とアメリカ南北戦争の話 mohamoha31」にて詳しく紹介しています。
農村の様子:a farm scene
コインの左側には,イリノイ州の農村の様子が描かれています。
シカゴを中心に五大湖周辺の都市は,五大湖沿岸工業地域に属しており,重化学工業がさかんです。
だから,イリノイ州と言えばシカゴが思い浮かび,農業とはあまり縁がなさそうに思えますが,イリノイ州の大半はプレーリー(大草原地帯)と呼ばれる地域です。
大規模な機械化農業によるトウモロコシや大豆の生産が盛んです。
イリノイ州は大豆の生産で毎年1位の座をアイオワ州と争っており,トウモロコシの生産も国内第2位です。
シカゴ市のビル群:the Chicago skyline
コインの右側には,シカゴ市の「摩天楼:skyscraper」が描かれています。
世界で最も古い高層ビルや変わったデザインのビルが立ち並ぶシカゴは「摩天楼発祥の地」と言われています。
「skyscraper(スカイスクレイパー)」という単語ですが,「scrape」は「削る」という意味で,「sky scraper」は,「空を削る者」になり,「空を削るくらいの高いビル」という意味になります。
コインに描かれているビル群の中心に「ジョン・ハンコック・センター:John Hancock Center」があります。
21の星:21 stars
「21st state/century」
コインの周囲には,21個の星が刻まれています。
「21st state/century」とあるように,2つの意味を持っています。
一つは,イリノイ州が合衆国に加盟したのが21番目だということです。
もう一つは,コインが発行された2003年は21世紀だということです。
インディアナ州の記念コイン
インディアナ州:INDIANA
1816年に加盟(19番目)
インディアナ州の形:Indiana state outline
インディーカー:an Indy Car
19個の星:nineteen stars
「Crossroads of America」
2002年に発行
イリノイ州の形:Indiana state outline
コインのバックには,インディアナ州の形が刻まれています。
インディーカー:an Indy Car
州の輪郭をバックに描かれているレーシング・カーは,州都「インディアナポリス:Indianapolis」で5月に開かれる自動車レース「インディ500:Indianapolis 500」で走るインディーカーです。
このレースは1911年以来,2度の世界大戦中を除いて毎年開催されており,世界で最も歴史のあるカー・レースです。
レース場となる「インディアナポリス・モーター・スピードウェイ:Indianapolis Motor Speedway」は,1周約4kmのコースで,1909年に自動車産業のための研究施設として建設され,現在はサーキット場になりました。
19個の星:nineteen stars
コイン左側に配置されている星の数は,インディアナ州が19番目に合衆国に加盟したことを表しています。
しかし,コインの星の数を数えるのですが,何度数えても17個なんですが,どうなんでしょう。
「Crossroads of America」
「Crossroads of America」は直訳すると,「アメリカの交差点」となります。
1937年にインディアナ州は,「Crossroads of America」を公式の「州のモットー:the state motto」に承認しています。
もともと,この「Crossroads of America」は州都であるインディアナポリス市のニックネームとして言われだしたそうです。
「アメリカの交差点」は,インディアナポリスが,アメリカの主要な高速道路の結節点になっていることを意味しています。
オハイオ州の記念コイン
オハイオ州:OHIO
1803年に加盟(17番目)
州の形:an outline of the state
ライトフライヤー号:the Wright Flyer
宇宙飛行士ニール・アームストロング:astronaut Neil Armstrong
「Birthplace of Aviation Pioneers」
DW
2002年発行
州の形:an outline of the state
コイン全体のバックにオハイオ州の形が刻まれています。
ライトフライヤー号:the Wright Flyer
世界初の有人動力飛行に成功したライト兄弟の飛行機,ライトフライヤー号がコインの左側に描かれています。
ライト兄弟は,オハイオ州で自転車屋さんを操業しながら,この初飛行をノースカロライナ州で成功させました。
詳しくは,「【大西洋南部地区②】州の25セント硬貨のデザイン紹介 mohamoha45」のノースカロライナ州の記念コインの項をご覧ください。
宇宙飛行士ニール・アームストロング:astronaut Neil Armstrong
右側には,宇宙飛行士が描かれています。
この宇宙飛行士は,人類初の月面着陸をしたニール・アームストロングです。
ニール・アームストロングも,オハイオ州出身です。
オハイオ州には,「ニール・アームストロング航空宇宙博物館:Armstrong Air and Space Museum」があります。
画像のアームストロングの実際の宇宙服も展示されています。
「Birthplace of Aviation Pioneers」
「Birthplace of Aviation Pioneers」訳すると「航空術の先駆者たちの生誕地」となります。
オハイオ州は,航空関係の先駆者たちを多く輩出しています。
コインにも描かれているライト兄弟,ニール・アームストロングの他にも,アメリカ人として最初に地球の周回飛行に成功したジョン・グレンを輩出しています。
DW
おそらく,コインの原版のデザイン作者である「ドナ・ウィーバー:Donna Weaver」のイニシャルだと思われます。
今回はここまでです。
今回のページの情報源は以下のとおりです。
「state symbols USA」
「50州25セント硬貨 Wikipedia」
「コインと語源で旅するアメリカ50州」
次回は,北東部の大西洋中部地区の州を紹介していきます。
ニューヨーク州,ペンシルベニア州,ニュージャージー州の5州の記念コインの紹介をします。
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